「卵は人にぶつけないで焼いて食べよう」シカゴ7裁判 フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
卵は人にぶつけないで焼いて食べよう
反戦派アカデミー賞ノミネート者の話
裁判映画にハズレなし!
本作もとっても面白かったです。
今後の映画関係の賞はネットフリックスの独壇場になってしまうかも知れませんね。
面白い映画やりすぎですよまったくもう。
映画館でも上映してくれるからありがたいけれど
本作はまずキャストが豪華ですよね、バイプレイヤーズじゃないけれど見たことある俳優さんがいっぱい出ます。
主人公がエディ・レッドメインですがその他のメンツが濃い。
暴動を扇動した容疑の7人は学生、ヒッピー、活動家、そんなに特別な人間じゃないけれど活動の意義や使命感が熱い。
私もそれなりに政府に不満があったり政治に不満があったりするけど、表立って行動を起こせるほど勇気がない、彼等は本当に凄いと思う。
冒頭の5~6分で7人のキャラクターと立ち位置がわかりやすく説明され、あっと言う間に裁判開始。
圧倒的に不利な状況なのに彼等はなにも怖がらない、検事や判事をおちょくったり余裕を見せる。
なぜなら正しい事をしたと信じているから、そして法は全てを平等に裁くと信じているから。
裁判官が何度も法廷侮辱罪を言い渡しても悪いと微塵も思ってない。
この裁判官が堅物の嫌な奴すぎておちょくりシーンが本当に笑える。
でも物語が進むにつれ、法は権力の見方であり陰謀がまかり通ることを知り法は守ってくれないとわかる。
なんとか逆転の方法を探るものの最後に証拠として出されたテープに入っていた声は・・・
彼が終始冷静に裁判を終わらせようとしていたり、印象をよくしようとしていた理由がわかった時は衝撃的でしたね。
一応、打開策を発見するもののかなり苦しい言い訳に聞こえる。
どうあがいてもこんな事を言ってたら逮捕ですよ。
事実を元にした話なのでアメリカの反戦活動、裁判の結果、歴史がわかってよかった。
ラストは若干すっきりしないけれど満足感はありましたね。
見ごたえあって大変おもしろかったです。
政府は時として国民に刃を向ける。
権力者の都合で戦地に送られ、権力者の都合で刑務所に送られ、憲法が法律が守ってくれない時、我々はどうすればいいのか。
正しい事を信じ続けて進める勇気を持ちたいと思いましたね。
それにしてもアメリカって戦争ばっかりしてるけど、始めた頃は国民も納得してて、そのうち反戦運動が活発になる。そして引き上げる。
命だけが失われ、悲しみだけが残る。
いったい何回繰り返したら戦争しなくなるんだろう。
大義名分に騙されやすく、戦争で儲けるやつらはなんのお咎めもない、資本主義が極まるとお金の為になんでもやって、お金でなんでも解決できてしまう歪な社会になってしまうのかも知れませんね。
日本は戦争で負けてから70年以上経つけれど、少なくとも国民は戦争は二度としたくないと思ってるはず。
お金は大事だけれどまだ人間の道理を忘れてないはず。
負けて得た平和の尊さをいつまでも守り続けていきたいですね。
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劇中セリフより
「“僕ら”の血がながれるのなら、町中に“僕ら”の血を流してやれ」
血を流すことを恐れてはならない
血を流したことを忘れてはならない
血が流れることを避けなければならない
血が流れたならば癒さなければならない