「脚本が酷過ぎて三浦春馬が気の毒」天外者(てんがらもん) アラカンさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本が酷過ぎて三浦春馬が気の毒
タイトルの「てんがらもん」とは、鹿児島の方言で「すごい才能の持ち主」を意味する。2019 年中に撮影が終了し、2020 年中に公開予定であったが、新型コロナウイルスの流行に加え、2020 年7月18日に主演の三浦春馬が急逝したため、公開日は未定となっていたものである。史実にフィクションを加えたオリジナル・ストーリーで、原作はない。
三浦春馬の遺作というべき作品であり、当時の風景の俯瞰映像など、見応えのある映像はいくつかあったが、残念ながら脚本が尽く足を引っ張っていた。五代と龍馬と伊藤博文と岩崎弥太郎が同じ鍋をつつくほどの仲間という安直な設定、架空の人物との恋愛を延々と描きながら、何をした人なのかを具体的に全く描かないというのはどういう趣旨だったのか?近代日本を技術的にも経済的にも導いたというだけでも、いくらでも苦労話が書けそうなのに、こっちが見たいと思っている物語を一つも見せてくれないのである。史上最低のクソ大河「うん地人」の無能極まる脚本家の手腕は相変わらずである。こんな奴に頼んだのはプロデューサーなのであろうか?ホントに何てことをしてくれたんだと腹が立って仕方がなかった。
薩英戦争の決着をつけたのが五代の武芸のお陰だったとか、デタラメにも程がある。そんなところにフィクションをぶち込むなら、大阪商工会議所初代会頭に就任する際の演説でもっと説得力あるものにすべきだと思うのだが、「俺についてこい」だけでは話にならない。当時の新技術を貪欲に吸収して事業化して行ったところが最高の見せ場であろうに、言葉で触れられるのみでは映画にする意義さえ問われるべきである。恐らく脚本家にその能力がないのであろう。熱演する三浦春馬が気の毒であった。
三浦春馬以外のキャスティングも非常に疑問を感じた。龍馬役はいかにも今までの映画やドラマのプロトタイプそのままで、イメージだけ先行して実存感が薄い。消臭力の歌手が岩崎弥太郎を演じていたが、最後まで違和感しか感じなかった。何故か大阪府知事と大阪市長が出ていたが、これまた違和感しか感じさせず、全く不要だった。三浦春馬の俳優としての実力とかけがえのなさは、あらゆるシーンで実感されたが、それだけに脚本の出来の悪さと周囲のミスキャストに腹が立った。
音楽はありふれていて、シーンを阻害するような曲もあり、かなり浮いていたと思う。印象に残る曲もなかった。世界観や人物像を伝えるべきであるのに、顔のアップばかり撮っていた監督は、作品の趣旨を全く理解していなかったと思うほかはない。つくづく三浦春馬が気の毒になる映画であった。
(映像5+脚本1+役者4+音楽3+演出2)×4= 60 点。
史実の知識はあまりなかったのですが、これは嘘だろうとか何か飛ばしすぎではというところが多々あり、実際の五代友厚の功績に興味を持って色々調べました。五代友厚のPVとしては私には結果的に効果があったようです。
大阪知事市長をアップで出したのは本当に残念です。いくら大阪が絡むとはいえ何故作品に泥を塗るようなことを受け入れたのかと不思議でした。
この脚本やキャスティングの縛りの中で作品をかなり救った三浦春馬の熱演には拍手です。
昨日初日に観ました。
三浦春馬のファンです。
残念ながら同感としかいえません。
映画は月に5,6本は映画館で観る映画好きです。
映画としては本当に面白さに欠け、いくつかのエピソードを繋ぎ合わせただけで脈略もなく、時間の制約はあるにせよ話が飛びすぎるし、それを補う説明もないので、五代友厚という人が何を成し、なぜこうもみんなに嫌われていたのか、渋沢栄一との差は何なのか?全く掴むことが出来ませんでした。
観覧後パンフレットを読み、ある程度は理解出来ましたが…。
春馬の繊細な演技は心打つものがありましたが、タオルを準備して行きましたが泣けませんでした。
とってつけたようなはるとのシーンは不要と感じ、それなら妻の豊子との関わりをもっと深く描いて欲しかった。名前を名乗ったあとのいきなりの進み方って、もう少し何とかならなかったの?はるのために横浜から長崎まで歩いて戻ったなんて…呆れてしまいました。
春馬が心血と熱量を注いだ映画がこの仕上がりなのは、ファンとしてとても残念ですが、彼の嘘のない美しい真摯な姿を、演技を、心に焼き付けて忘れないでいたいと思っています。
とはいっても最後の主演映画ですから、良いところを見つける意味でも、あと数回はスクリーンで観たいと思っています。
言われる通り。特に彼の業績をもっと上手く入れ込むべきで、脚本家の限界なのは同意。音楽も通り一遍で、工夫の余地は多いにあった。それでも、邦画をほとんど見ない私にとっては、映画の入りなどは中々と思う。春馬さんの殺陣、走り、セリフ、全て躍動感があり、それが映画を数段格上げしたんだと思う。