「春馬君の姿が現実に重なる」映画 太陽の子 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
春馬君の姿が現実に重なる
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原爆開発が軸に物語が進むので、一見すると研究に打ち込む若者がテーマのように思える。
海軍/京大の原爆に関する「F研究」がモデルで、開発はアメリカの足元にも及ばなかった。
原爆の原料であるウランを抽出するため遠心分離法に挑むものの、結局は分離器の開発の半ばで敗戦を迎えた史実がベースゆえ、そこが物語の肝ではない。
戦争の犠牲になった「若者たちの青春」と、どんな悲惨な状況に置かれても「未来を夢見る」ことの大切さこそがテーマだったように思います。
主人公の研究者・修(柳楽優弥)の弟・裕之(三浦春馬)が、戦地に戻りたくなくて入水自殺しようとするシーンが、三浦君の自死により結果的に意味合いが重く、エグくなってしまったのが、映画の格を上げたと同時に、観ていてつらいものになってしまった。
それと、裏のテーマとして、「貧すれば鈍する」かな。
ウラン鉱石どころか石油も鉄も輸入を封じられて、電気供給すらままならなくなった中で、戦争も新しい技術の開発もない。
ウラン鉱石が手に入らなくて、国内で微量しか取れない硝酸ウラニル(陶磁器の釉薬)に含まれる、さらに微量のウランを抽出しようなんてこと自体が無茶だったわけで。
エネルギーや食糧を自力で調達できない国が、戦争なんかをやってはいけないと。
原爆忌~終戦記念日のある8月に観るには良い映画でした。
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