ハッピー・オールド・イヤーのレビュー・感想・評価
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「物」は「物」だけじゃ無い
あと数日で今年も終わると言う時に観た秀作!! 本作も年末まであと1ヶ月ほどの11月の末に始まる。 北欧でミニマルデザインを学んで来たヒロインが 実家である三階建ての小さなビルを ミニマルなインテリアに改造して デザイン事務所として再生するために とにかく邪魔な「物」を次々に処分する話。 ガンガン「物」を捨てていたヒロインが 旧友の一言でハッと気づいて 無かったことにしようとしていた過去に向き合う。 「物」の向こうには人がいる〜 そう、人生には自分で買った「物」の他に 人から貰った「物」、借りた「物」 思い出のこもった「物」なんかがあって そんな「物」を捨て去ることで、 その人間関係や思い出も無かったことになってしまう。 人との繋がりを「物」を通して描く着眼点が面白い。 で、月に8回ほど映画館に通う中途半端な映画好きとしては タイ映画で近年ヒットした 「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」の 主演女優チュティモン・ジョンジャルーンスックジン さん が本作も主演してますが 前作の様なエンタメ要素の強い作品ではなくて 静かな中にフランス映画の様に 心の動きが繊細に描写された作品。 観て良かった! 偶然、私自身が巣篭もり期間に この映画のヒロインと同じ様に ある過去を清算する行動を行ったので 何だか感情移入がいつもより大きい(苦笑) それと自分の「物」を捨てるのも大変だけど もっと大変なのは人に「物」を捨てさせる事! その人の思い出が美しければ美しいほど難事業ですね。 この映画の中では夫の残した「物」に執着する母の心そのものが 残された子供たちの新しい生き方を阻んでいたりして ああ、そう言うのってキツイな〜〜と切なくなる。 有名なコンマリ 近藤 麻理恵氏の片付けの本が 引用されていて、アメリカだけでなく アジアなどでも出版されてるのか〜とちょっとびっくり! 年は開けちゃったけど、 今後も断捨離を続けようとしてる人には 一見の価値があると思います。 ========== いつも「共感!」やフォローをありがとうございます。 人の感想を読んでしまうとすぐ影響されてしまうので 皆さんの評論は遅れて少しづつ拝見してます。 どうぞよろしくお願いします。
モノを捨てても思いは消えない
スウェーデン留学から帰国したデザイナーのジーン。彼女は家を出た父が残した音楽教室兼自宅の小さなビルをリフォームしデザイン事務所にするぺく強引な断捨離を開始した。序盤の彼女は超クールだった。 しかしスローダウン。 借りていたものを返してまわるうちに、彼女の中にあった感情があふれ出した。超ウェットになった。 借りることができなかった、いや借りる人さえいなかった自分にわかるはずがなのだが、何故か彼女と一緒に涙した。 『モノに魂が宿る』のか『記憶の中に刻まれる』のか定かではないが、捨てるってホント難しい。 自分はここ数年でレコード、本、映画のパンフレットをすべて処分した。言葉にはできないが何かが変わった。でも自分の中にある思いは変わらない。なくならない。
ものを捨てるなら捨てるなりの覚悟を持て
. スウェーデンでミニマリストの思考を学んだジーンが実家をミニマムなオフィスに改造するために家を大掃除する話。 . 基本的にこのジーンの女優さんって表情の変化があまりないので、映画の冒頭で家のものを容赦なく捨てまくるジーンがどこかサイコパスに見えてくる。実際、捨てたものをもう一度確認してみると人から借りっぱなしになってるものがまぁ出てくる。チェロ修理するって預かってそれを返してないってなかなかやばい(笑). . ジーンは昔のことを切り捨てて忘れたふりをすること問題と向き合わずに生きてきた。それと対象にものを捨てられないジーンのお母さんは、ずっと過去のしがらみから前に進めていない。 . ものを持つのも捨てるのにもそれなりに責任が伴って、ミニマリストだからって簡単にものを捨てれば良いという訳では無い。ものを捨てるなら捨てるなりの覚悟を持てということがジーンの最後の涙から伝わってくる。 . 劇中でミニマリストの考えは日本発って言って日本人の女性がものを捨てるレクチャーをする映像が出てきたけど、それと相反する「もったいない」っていう言葉も日本独特の言葉っていうのがなんとも。 . 同じような映画で『100日間のシンプルライフ』ってのも同時期に公開されてたけど、こっちのが好きだな。あの人達がコンテナに入れてたものの中に大切なものは本当に他になかったんだろうか?. .
断捨離の難しさ
たぶん初めてタイ映画を観賞した。 スウェーデン留学から帰ってきたデザイナーのジーンが兄、母と暮らす家のリホームを始める為に物を捨てる話。 友達から貰ったものを捨ててたら、それをくれた友達が居て、返してもらうと持ち帰られた。その事をきっかけに貰ったものや借りてた物を返すことを始める。 ジーン役のチュティモン・ジョンジャルーンスックジン(長い名前!)が無茶苦茶冷徹に見えるが実際は・・・。 断捨離は良いことばかりじゃなく問題点も多い事を教えてくれる作品となっている。 ちなみに、「断捨離」って字幕が出て、日本人のやり方の紹介だったが、その方法がやましたひでこさんのなのか、近藤真理恵さんのかはわからなかった。
タイの映画、なかなかでした。
北欧風とか断捨離とか言うけれど、家の中にある物には一つ一つそれぞれ家族の思いがあり感情がある。感情の波に揺れて物語はまっすぐ進まない。 大げさに言えば、物を捨てることは過去の自分と訣別することであり、誰かにもらった物を捨てることはその人と訣別することである。だから、なんとか期限内に家中の片付けを終えて、念願のリフォームに着手できるはずが、主人公ジーンの涙がこぼれそうな表情で物語は終わる。感情のあり方を違和感なく受け入れることができて、外国の映画であるのが不思議だった。 そして、クールな雰囲気の主演女優がよい。 以上を一言でいうと、タイの映画、なかなかでした。
じんわりときました
断捨離、断捨離ってブームにもなってますが、頭ではわかっていてもなかなか出来なかったりしますよね。 でもこの映画を観て「そんなに頑張って断捨離しなくてもいいのかも」なんて考えたりしました(自分に都合よくw)。 前に進むためには捨てなくてはいけない... 主人公の揺れる心がとてもよく描かれていたと思います。映画の設定が年末年始なので、今の時期にもぴったり。とても良かったです。
微妙な断捨離話…
思い切って捨てる、で、過去にも決別、前進あるのみ。というのはわかるけど周囲を巻き込んでしまうのはいかがなものかと…。特にママがかわいそう…。あとタイの人達は仏教の悟りが出来てるのか、うなずかされるセリフが多かった。
フラれたあの人の面影を見た大晦日
この映画ね、2020年の最後に見てよかったなあと。先に進むしかないもんなあと。過去を見直して後悔しても泣いたとしても、どんどん捨てていくしかないもん。それでもそれでも前に進むしかないもん。 いやね、なんかね、キャスティングの方にありがとうございましたと言いたいんです。
人生に必要な物とは
最近よく思うことがある。年齢を重ねてくると、背負ってる荷物を減らして軽くしていかないと前に進むのがしんどい。背中から下ろすのは、気の進まない知人との関係であったり、神経をすり減らすプロジェクトであったり。 ジーンは20代で重荷になっていた恋人との関係を断捨離してしまう。自分の将来とエムとの結婚を天秤にかけてしまったことで、気づかないうちに心に大きな荷物ができてしまった。結婚なんて勢いでしちゃえばいいのにね。 コンマリメソッドを茶化してるけど、ときめきがあるかないかで、捨てる物を決めるってすごい発明だと思う。ジーンは古いカメラにときめきを感じたからこそ、未来に向かって進むことができた。逆に、ピアノには「重苦しさ」がまとっており、心の澱とともに売り払うしかない。 感動するにはいたっていないが、タイ映画のクォリティに驚かされた。
スタリリッシュとアジアンな湿度のフュージョン
チュティモン・ジョンジャルーンスックジンの名前を一向におぼえられないが、スェーデンでミニマムデザインを学んで染まって帰ってくる美大生役を、ハイファッション雑誌のモデルのような外見でいい感じに演じている。彼女にかぎらず、いろんな役にひねりがきいてて小気味良い。(特にお兄さん) ドライなデザインと、ジメッとした人間関係がいい具合に融合し、軽率な印象を受けることが実は非常に重い背景を背負っていたり、今のアジアのアジア人による描写に日本に住んでいる私も共感することが多かった。 無味乾燥すぎでもなくクドすぎでもなく、頃合いがよく、すべてがちょうどいい感じ。鑑賞後すっきりする。(いろんな意味で)
人生に自分らしい基準を持つ勇気を与えてくれる映画
これは、ただの断捨離映画ではない。 私たちは物を買うことにばかり意識を向けていないか。 人に何をあげるか考えるときにも、どのように捨てられるのかまで思いを馳せてプレゼントしているか。 私たちは、モノに宿るストーリーや想い、思い出の全てを、部屋にしまっているんだ。 だから断捨離とは、ありたい姿に向かうための過去との決別であり、痛みを伴うプロセスになる。 ときめく魔法に頼るだけでなく、人生に自分らしい基準を持つ勇気を与えてくれる映画。年末に観られたことに感謝しているし、ぜひもう一度観たい。
【なんか、胸に沁みて良い。僕はね。】
昔、付き合っていた彼女から、その前に付き合っていた元カノの写真を見つけて、こっそり持ち出して会社でシュレッダーにかけたと言われたことがあった。 どうやって見つけたのか、その探査能力に驚愕し、無謀な行動に腹が立ったのを覚えている。 しばらくして、その女性とはお別れした。 その後、「元カノの写真とか持ってるってのは〜、女子というのは〜」とか言って講釈たれてた女性がいたが、余計なお世話だし、お前は元カレから貰ったジュエリー取って置いてるって、ばーか、うるさいとも思った。 でも、結局、元カノの思い出は消えないし、当然、その女性との思い出も消えることはない。 前に別れた女性から、返したいものがあるから、引越し先の住所を教えて欲しいとメールがあった。 何のことだと思って、怖くなって、それっきり連絡していない。 この映画を観て、少し悪いことをしたなと思ったが、もう連絡が来ることはないし、こちらから連絡することもないように思う。 まあ、ものが返ってこようと来るまいと、その女性との思い出も消えたりはしない。 僕が、映画のレビューを書き始めたのは、記憶にとどまるようにするためだ。 たくさん映画を観てるのに、多くは忘却の彼方で、記憶にとどまらないことが結構ある。 映画のチラシや、パンフレットを取っておいたり、ポスターを写メしたり、観た日付や劇場をカレンダーに残したり、あらすじを書く程度では、僕は上手く記憶に残すことが出来ないようなのだ。 僕は過去を振り返ることが少ないタイプの人間だと言われるが、しょせん、自分の経験や知識から逃れることが出来ないのだと思うようになってから、自分の経験や知識を呼び起こして、レビューするのが最も記憶にとどめるには適切だと結論に達したのだ。 日本の断捨離は世界的に知られるようになって、ニューヨークでは、このアドバイザーになって大成功した日本人がいるように聞いた。 僕はなかなか捨てられない派で、自分自身にどんよりすることがある。 引っ越しなんかで、たくさんものを捨てても、実は、なんでもなかったり、思い出すこともなかったりするから、どんどん捨てても大丈夫だとは思う。 だけど、ピアノを捨てられたお母さんの気持ちも、分かる気はする。 ちょっとヒドイ娘だと思った。 田舎の近所に、縄文時代の竪穴式住居の市の史跡があって、その周りの畑や畦道で縄文土器がよく見つかった。 それを大事に金色のフタのカステラの箱に大事に取っておいたら、父親が箱ごと捨ててしまって、ものすごく腹が立って、悲しかったのを思い出したからだ。 まあ、人によってモノに対する思い入れは違うし、同じモノや出来事に対する想いは似て非なるものだったりもする。 エムが、最後にジーン対して言ったことは、本当だ。 モノと記憶が結びついていたら、尚更そうで、嫌な記憶を同時に整理したいと思う勝手な人はいるはずだ…。 ただ、テクニカルな方法などあるはずもなく、記憶が鮮明であればあるほど、僕達は。それと共に生きていかなくてはならないのだ。 モノを少なめにして、ミニマルに生きるのは悪いことではない…と思う。 でも、記憶は大切にした方が良いように思う。 楽しい記憶も苦い記憶も。 それが自分自身を形作っていることは間違い無いのだから。 なんか、素敵な作品だった。 ※ ただ、ピアノを売ったのは、お母さん、かわいそ過ぎる。その気持ちは変わらない。
劇場でもう一度観たい
観ようとした回を逃して、その日の夕方の次の回はオンラインイベントで監督の話を聞けたのはラッキーだった。 劇中であえて詳しく描かず、観客に想像でストーリーを膨らませてくれるシーンや、 撮影はほぼ時系列で進み、役者の演技も深まっていたことや、 主人公を演じた女優さんはしばらく映画のキャラが抜けなかったらしいなど、 監督自身の片付けに関する話も聞けたり、 タイ人の音楽担当の方も劇場にいらしていたり(劇中音楽も素敵だった) この回になってよかったと思った。 冨永愛に似てるクールビューティーの主人公の演技が上手い、いや、全員上手い。 演技力が高い人ばかりなのでストーリーにスムーズにはいっていけたし、 テンポもセリフもすべて違和感なし。 セリフより表情などでの演技が多い映画と監督も言っていたけど、 その表情や間がホントに自然。 前にフィリピン映画を観たときも俳優さんたちの演技力に感心したけど、タイもなかなか。 東南アジアは最近カルチャーがめきめき変化発展して面白い。 片付け関連の物語や映像をみると、すぐさま帰って自分ちも片付けたくなるけれど、 この映画は、感情、人間関係、価値観などに関して自分を省みる機会になった。 この映画は、 脚本も演出もセンスも空気感も登場人物のキャラもみんな絶妙で、好み。 これはまた劇場でもう一度、もしかしたら二度三度、観たいと思った。 以前タイに住んでいたこともあり、 タイ語を聞いたり、タイの風景を観るだけで恋しくなるタイ。 今回もまんまとタイに行きたくてたまらなくなった。
だから断捨離は難しい。
これは良作!タイ映画見くびってました。反省してます。 スウェーデン仕込みのミニマルデザイナーのジーンはかつて父親が経営していた楽器修理工房を兼ねた実家をオフィスにするためリフォームを決意する。 まずはこの大量の荷物を処分しなければ。ジーンの断捨離が始まる。期限はたったの1ヶ月。 リフォームに反対する母親と妹に手を貸してくれる兄。黒いゴミ袋に手当たり次第に放り込まれてゆく“ゴミ”。次々と袋の口が結ばれそこかしこに積み上げられてゆく。 リフォームを依頼したのは親友のピンク。そのピンクからの贈り物さえ捨てようとするジーンに「物語は両方が忘れた時に終わる」と諭すピンク。 自分が黒い袋に投げ込んだ物は本当に“ゴミ”なのか。それとも捨ててはいけない“思い出”か。 一度は結んだ袋の口を開いてみると借りたままだった物が多いことに気がつく。まだ終わっていない。ひとつひとつ思い出の品を持ち主に返却してゆくジーン。 そしてかつて自分が“捨てた”恋人エムから渡されたカメラも。 荷物を断捨離することで逆に大切な思い出が増えていくような気がする。 ガランとした部屋の真ん中に違和感のある父のピアノ。捨てるのか。それとも残すのか。自分の未熟さや身勝手さを痛感するジーンが弾くピアノの音色に涙が出た。 前に進むために。自らを貫くジーンのラストカット。切なくて、でも美しかった。 音楽も効果的だしミニマルスタイルの無機質さと生活感のある実家のギャップも良かったです。あとエムがめちゃイケメン。でも私はちょっと頼りなさげなお兄ちゃんが好きです。なんたって優しさ無限大😊
片方が忘れても終わらない。両方が忘れて初めて終わりになるの
海外留学から帰ってきてイケイケのジーン。自らをミニマム主義者であると宣言し、早速"断捨離"を決行するリアリスト。でもね、平然と本屋で写メ撮っちゃうとこはNGだよ。そんなんだから友達が寄り付かないんだよ。 そんな出発点から始まるミニマム生活が、いろんなところで反故が起こる。そりゃあ、起こるべくして起こるわけだよ、自分の都合や主義を押し付けて、相手の事情や感情はまるっきり無視だもの。だけど、だからこそ自分の過ちに気付くことができたとも言える。当たり障りのない生き方をしていれば波風は立たないが、主張を曲げなかったことが、自分に足りないものに気付く近道だった。そのかわり、随分と自分も周りも傷ついたけど。 「みんな自分に最善の選択をする。みんな同じだ。」と言った。ただ、その行為が独善的でなく、相手を思いやる気持ちをもっているかどうか。すべてが丸く収まるわけではないが、せめて、自分も周りも少しでも幸せには近づける。
捨てることで前を向こうとする姿勢
母と兄と一緒に暮らしている女性が、実家をリフォームするためいろいろ断捨離していこうとする話。 母の意向は聞かずに強引に家にあるものを捨てていこうとする主人公。そこにはどんな背景があるのかってところがポイントなのだが、あまりピンとくるものではなかった。むしろいろんな友人たちに不義理してて、ちょっと性格悪い奴だなって思ったくらい。いろいろつらいことがあったのはわかるけど。 父親、恋人、仕事、いろんなものを抱えながらも前を向こうとする姿に若干共感できる部分はあるが、基本的に心に響かない作品だった。 ちなみに主人公を演じる女優は、「バッド・ジーニアス」で主演していたあの少女。やはり演技がうまかったことはたしか。
心の痛みは成長の劇薬
ミニマリストに憧れる主人公が断捨離を通じて物だけでなく、過去の恋人や離別した父との蟠りまでをも断ち切り、成長していく姿を描く物語。 「過去を捨てて前を見る」的な"ミニマリストの信条''に忠実になろうとするも、それとは相反する感情が芽生え、その想いに揺れる主人公の姿がとてもリアル。 「ごめんなさい」が言えなかったり、対話する勇気がなかったりで中途半端に終わらせた人間関係は誰もが心当たりあるはず。蓋をしてきた蟠りと向き合うことで自己嫌悪に陥るジーンの姿を見ていると辛くなり、そして彼女のストーリーが進んでいく様子に勇気をもらった。 ジーンのとった行動は一方的で、自分勝手だと非難されるだりろう。実際エムからは「君が謝ることに腹が立った。僕は許すしかないじゃないか」と顰蹙を買い、母親には離別した父親の存在を思い出させ苦しませた。当然、ジーン自身も痛みを伴う負う結果となった。しかし、この痛みはジーンの感性をアップデートさせる彼女自身が生み出した劇薬なんだと思う。私はジミーが取った行動を肯定したいし、私自身、自分の気持ちに素直でありたいと思った。 ストーリーの感想はこれくらいにして最後に演出の感想を…。 画面構築はキレイに整えられていて、デザイナーというジーンの職業と繊細な心にマッチしている。 ゴミ回収のバイクを追いかけるシーンで浮かんでいる霧は、ジーンの気持ちを嫌味なく伝えてくれている。 ジーンのファッションはミニマリストらしいシンプルなコーデではあるものの、毎回デザインの異なる服を着ていて飽きさせない。 音楽はストーリーの邪魔をせず、場面ごとの感情を観客に優しく示してくれる。 ストーリーも演出も見ている人を素の気持ちにさせてくれる素敵な映画だと思います。
ときめくで推し量れないもの
断捨離ブームに抵抗感がある。 劇中にも出てくるが、断捨離ブームの火付け役にもなったあのメソッドが引っかかっていたからだ。 ときめく、その表現とライフスタイルビジネスへの違和感。 その空前のブームを絡めたり、散りばめられている日本の物。小洒落た日本を皮肉ってる様で面白かった。 黒いゴミ袋への描写は心の中とリンクしてた。 考えないで捨てた物はいろんな形で戻ってくる。 物も感情も人間関係も捨てれば終わりじゃない、蓋を開けなければいけない日がくる。 開けるつもりじゃなかった蓋が空いてしまった家族、押し殺していた感情も無理矢理こじ開けられた感じがして胸が痛くなった。
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