劇場公開日 2020年11月27日

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「最後には善が勝つ」ヒトラーに盗られたうさぎ MARさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5最後には善が勝つ

2020年12月5日
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幸せ

新聞ラジオでヒトラーの批判をしてきた父をもつ9歳の少女アンナ。選挙でヒトラーが勝ちそうになり、身の危険を案じた家族はスイス、パリ、そしてイギリスへと亡命を繰り返すことに…。

9歳でありながら、やけにませた物言いと振る舞いをみせるアンナ。
亡命先での言葉の不自由や友達との関係に悩まされるも、その性格が幸いしてか、亡命先でもそれなりにやっていけているようだが。。

亡命によるいくつかの別れのシーンが魅力的。
トラブルがありつつも仲良くなった友達。好きだからこそ意地悪してしまう小学生らしい姿。
子供の別れの理由が戦争というのがなんともやるせない。

側転をしてみせる親友。そして最後、こころなしか少し大人びた表情でアンナを見送る「おバカさん」。
哀しくも、確かに彼らを強くさせる別れの経験。

そして何より、家族4人がとても素敵。
まずはお父さん。こんな状況で、子供たちだけでなく、ちゃんと妻にも…そりゃ惚れ直すわ!
さらに、母と喧嘩した息子を、なけなしのお金で喜ばせる。
だからこそ、あの家から帰ってきた時の3人を許せなかったのでしょうね。強さと健気さが備わっている感じが◎

そして、ああは言っても、電球の方が大事ということをちゃんと理解している息子にもグッとさせられる。ちゃんと妹も可愛がるし。

何というか、本当にこの家族ならどんな状況になってもやっていけると思えたのが良かった。
風船、届くと良いなぁ。

この作品は実話を基に作られているとのこと。
本当にこんなに大変な思いをした家族は何人もいたんだろうな。。
それでいて、ちょくちょく笑わせてくるポイントがあるというのも本作品の良い所。
欲を言えば、アンナの作文最後まで聞きたかったなぁ。

ユリウスおじさんも魅力的だった。幼きアンナを案じて相手してくれていた所。
分かっていても、吹いてあげれば良かったとアンナは思っただろうか。

彼がアンナに言ったように、最後には善が勝つ。
まさに今後の世界においても、どうかそうであってほしいと切に願います。

MAR