ウルフウォーカーのレビュー・感想・評価
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ハッピーエンドのその先の未来
アニメーションとしての表現が素晴らしく、もう目のごちそうとしか言いようがない。自然と文明の衝突というテーマ自体は『もののけ姫』から『ロシャオヘイ戦記』まで、数多くの別バージョンが存在していて、決して独自性が高いわけではないのが、歴史を思うと、ことはそれほど単純じゃないなと思った。
というのも、劇中で示唆されているように、イギリスの清教徒がアイルランドを征服し支配する直前の物語であって、自然と文明、以外にも、イギリス人とアイルランド人の対立、宗教的な対立、などいくつかのレイヤーが重なっている。そして、歴史の上では、アイルランドはイギリスに併合され、アイルランド島の狼は絶滅してしまうのだ。
それらのことを踏まえて観ると、長い歴史の中で虐げられてきた者たちが、時空を超えて、自分たちの存在を知れ!と訴えかけているような、そういう物語なのではないか。主人公たちの冒険の旅はまだまだ続くに違いないが、果たして彼らは安息の地を見つけられたのだろうか。
籠中のコマドリはオオカミの夢を見るか? 全く新しいアートディレクションと、どこかで見たことがある物語…。
17世紀のアイルランドを舞台に、狩人の少女ロビンと森で暮らす”ウルフウォーカー”の少女メーヴとの友情、そして2人を待ち受ける試練が描かれたファンタジー・アニメーション。
主人公ロビンの父親、ビル・グッドフェローの日本語吹き替えを担当しているのは『20世紀少年』シリーズや『そして父になる』の井浦新。
第48回 アニー賞において、長編インディペンデント作品賞を受賞!
第46回 ロサンゼルス映画批評家協会賞において、アニメ映画賞を受賞!
第16回 オースティン映画批評家協会賞において、アニメ映画賞を受賞!
制作はアイルランドのアニメーションスタジオ「カートゥーン・サルーン」。
このスタジオのことは今作で初めて知ったのだが、なんでも制作した長編映画は軒並みアカデミー賞にノミネートされているのだとか。
創設から20数年しか経っていないにも拘らず、既に世界最高のアニメ制作会社の一つとしてその地位を確立しているカートゥーン・サルーン。こりゃ今後は要チェックだな。
ちなみにこのスタジオ、2Dアニメにこだわっていることから「ポスト・ジブリ」との呼び声も高いらしいが、これ言ってるのまさか日本だけじゃないよね?そうだとしたら恥ずかしすぎるんだけど、まさかそんなわけないよね…。
本作はカートゥーン・サルーンによる「ケルト三部作」の三作目。
『ブレンダンとケルズの秘密』(2009)、『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』(2014)、そして本作が「ケルト三部作」にあたるらしいのだが、前2作は未見。
このトリロジー、アイルランドの神話や民間伝承に着想を得て制作された映画群ということであり、各映画の間にストーリー的な繋がりはないらしいので、前作を観ていなくても多分問題はない。実際、前2作を未鑑賞の状態でも本作の鑑賞にはなんら影響はなかった。
さてさて、本作が舞台としているのは1650年のアイルランド・キルケニー。
夢を見ることで狼に変身する、というこの一風変わった人狼伝説は、もともとこのキルケニーを首都とした中世の王国・オソリーに伝わっていたものらしい。
ちなみにキルケニーはカートゥーン・サルーンの本拠地でもある。
監督もインタビューで言及していたが、1650年というのはイングランド共和国のアイルランド総督、オリバー・クロムウェルによる侵略の時代。
このクロムウェルによる侵略は残忍を極め、虐殺や飢餓により一説では当時のアイルランド人口の3分の1が殺害されたのだという。
そのため、今でもクロムウェルはアイルランドでは蛇蝎の如く嫌われているらしい。そりゃそうだわな。
クロムウェルが共和国の国家元首である護国卿に就任したのは1653年であるが、本作に登場する護国卿はまぁクロムウェルがモデルであると考えて相違ないだろう。
また、作中において執拗に駆除の対象となっている狼は、イングランドの手により虐殺の憂き目にあったアイルランド人たちのメタファーであるとも読み取ることができる。
つまり本作はケルトの民間伝承を今に伝える映画であると同時に、征服者クロムウェル殺すべし、慈悲はない、というアイルランド人の怒りと誇りを物語る映画なのである。
歴史を無視してでも憎き英国をぶっ潰す、という姿勢にはインド映画『RRR』(2022)を思い出した。いやぁやっぱりイギリスって色んな国々から恨み買ってんなあ😅
そんな制作体制も作品に込められたスピリットも純アイルランド的な本作ですが、やはり特筆すべきはそのアートディレクション!!
西洋の木版画的というか、ルネサンス以前の中世絵画的というか、とにかく平面的なパースで描き出されたロマンチックなアニメ表現、こんなの今まで見た事ない!😳
絵画がそのまま動き出したかのようなユニークで芸術的な映像には、目が釘付けになること間違いなしです✨
下書きの時のラフ線をそのまま残しているのもまた特徴的。
この線の力強さをそのまま残す手法には、高畑勲監督の『かぐや姫の物語』(2013)が思い起こされる。…と思ったら、監督自身がインタビューでこの作品を影響を受けた作品の一つとして挙げていた。やっぱりね。
画風以外にも、父親からの愛情に閉塞感を感じている少女ロビンのキャラクター性には『かぐや姫』からの影響を感じさせますね。
アニメーションからは非常にオリジナリティを感じるし、アート性も高い。
そう言った点はとても興味深かったのですが、その反面物語はありきたりというか、ちょっと驚きが少なかった。
文明と自然の対立の渦中にいる山犬の娘、というとやはりどうしても『もののけ姫』(1997)を思い出してしまうし、ストーリーやキャラクター設定の端々からは『美女と野獣』(1991)や『ノートルダムの鐘』(1996)などの、ルネッサンス期ディズニーアニメの影響を強く感じる。
それらの先行作品は、アート性・物語性ともに優れており、それらと比較してしまうと本作はちょっと劣るかな、というのが正直なところである。
せっかく1650年という、アイルランドにとって地獄のような時代を舞台にしたのだから、もっと毒気と狂気を孕んだ一筋縄ではいかない物語にしても良かったのではないか、とも思ったのだが、このくらいの甘さの方が大衆には受けるし、何より子供が喜ぶだろう。とどのつまり、アニメなんてのは子供に向けて作られるものなのだし、この味付けで正解なのだと思う。
個人的にはあと一歩という感じなのだが、今まで見た事のないアニメ表現には大変驚かされたし、一アニメファンとして観て良かったと思う。
本作が2Dアニメの一つの到達点である事は間違いない。手書きアニメ表現の未来はアイルランドにある…のかも?
美しくスケールの大きなイマジネーションを感じる!
アイルランドを舞台にした狼を統べる魔法使い「ウルフウォーカー」をめぐるファンタジックなアニメーション。
ストーリーも良ければ、アニメーション映像も美しく素晴らしい…!!
絵本をそのままアニメーションにしたような世界観が素敵すぎるし、作り手のイマジネーションが素晴らしい。
ケルトの要素が入ってる音楽も素敵。
めちゃくちゃ良い作品だった…。
悲しいというわけでも、めちゃくちゃ感動するっていうわけでもなく、ただ登場人物のひたむきさやこの作品世界が美しすぎて、途中知らず知らずのうち涙が出てくる。本当に美しいのだ。
ロビンとマーヴの種族を超えた友情もとても良かった…。狼の視点の演出もアニメーションならではでとても良かった。
比較するのは申し訳ないのだけど、かつてのジブリ作品を彷彿とさせられた。それくらいスケールの大きな「アニメーション作品」だった。アイルランド版「もののけ姫」と言っても過言ではないのではないかしら。
中世アイルランドの森にほど近い小さな町の出来事。 幼い娘・ロビンは...
中世アイルランドの森にほど近い小さな町の出来事。
幼い娘・ロビンは父親とともにイングランドからやってきた。
父親の仕事はオオカミハンター。
町を支配したイングランドの領主のもと、森を切り拓くための仕事である。
父の仕事にあこがれるロビンは、父の言いつけを守らず家を抜け出し、オオカミハントの仕事をする父の後をつけ、少女メーヴと出会う。
メーヴはオオカミを統べる者・ウルフウォーカーの数少ない一族のひとりで、魂はオオカミ、眠っている間だけ魂がオオカミとしての実体を持ち、活動することが出来る。
そして、メーヴと仲良くなったロビンは、彼女から、母親が行方不明になったと聞かされ・・・
といったところから始まる物語で、物語の骨子もさることながら、アニメーションの醍醐味を味わうことが出来る、傑作ともいえる作品。
とにかく、こういう絵が動くのか、と感嘆させられます。
森の中の描写は曲線主体で、木洩れ日までも繊細に表現されている。
対して、町の描写は、直線主体のデザインされたもの。
時折、俯瞰描写と横からみたフラット描写が組みあわされて、ハッとするような構図も登場します。
そして、人物たちの躍動感。
ウルフヴィジョンと名付けられた、オオカミ視点での画づくりもあります。
(このウルフヴィション、古い映画ファンなら、『ウルフェン』という映画を思い出すかもしれません)
メーヴに咬まれたロビンも、自分では知らないうちにウルフウォーカーと化し、行方知れずだったメーヴの母親を見つけますが、イングランドから来た領主はオオカミを敵視し、最終的には森を焼き払い、オオカミたちの殲滅を図ろうとします。
この後半の描写は、イングランド兵士たちが極度にデザイン化されてい、かつ、三面分割のスプリットスクリーンなども用いられて、すさまじい迫力です。
個人的には恐ろしく感じましたし、たぶん、自分が幼ければ、泣き出していたかもしれません。
(この後半の描写は、ユーリ・ノルシュタインの初期作品を彷彿とさせます)
最終的には、イングランドの領主は、キリスト教の神に祈りながら敗北していきますが、森の大半は焼き払われ、オオカミにとっての全面勝利ではない結末を迎えます。
イングランド領主の、アイルランド住民無視なども含め、要所要所にアイルランド的価値観が滲みだしています。
ま、そんな歴史的背景などがわからなくても、「この絵が、こう動くのか!」というアニメーションの驚きは充分に感じることができる「傑作」だと感じました。
狼。お話の世界ではとても身近な動物なのですが…。これはアイルランドに伝わるお話。
アイルランドに伝わる伝説。
狼と少女というモチーフ。
それだけで凄く興味が湧いてきました。
予告編で観た通り、綺麗な映像。
水彩絵の具で描いたような美しい世界は
いつまでも眺めていられそう。
主人公は二人の少女。
ロピンは人間。 ハンターの娘で見習い中。
メーブがウルフウォーカー。
ロビンに対し、最初は素っ気なくするメーヴ。
それが、次第にロビンを認め
心を開いていく過程が観ていて心地よいです。 うん。
◇
話のテーマはやや重め。
「人間 vs 狼」
森を切り拓き、町を広げる人間。
次第に住処を失っていく狼。
この作品の描かれる時代 =1650年頃のアイルランドは
狼が住処を徐々に失いながらも
まだ共に生きていられる時代だったようです。
※アイルランドでは、狼の絶滅は18世紀後半らしいですね。
このお話より100年以上は先のこと。
そのような時代背景を理解してこの作品を観ると
一層楽しめるのかな、と思いました。
◇
映画観た後に、いろいろな事が気になって少し調べてみました。
・アイルランドとイングランドの関係
古くから、民族的な対立問題があったようです
ケルト人とサクソン人
・宗教的違い
アイルランドはカトリック、英国はプロテスタント って
違いがほとんど分かってないのですが…
・清教徒革命(ピューリタン革命)
むかし高校世界史で出た記憶が…(遠い目)
・「護国卿」って何ですか?
イギリス国王に等しい権力を持って送り込まれる
統治者らしいです
掘り下げていくとどれも奥が深そうで、
歴史の暗部に行ってしまいそうなヤな予感もするなぁ うーん
やはりこの作品は、そういうことを余り考えずに
単純に観たほうがいいのかもしれません。
(↑って、上で書いた事と違うし …汗)
◇
公式サイトを見ていたら
「ケルト三部作の最終作」 と書いてありました。
前の2作品、タイトルに覚えはあったのですが、未見です。
これは観てみたくなりました。
字幕版で鑑賞したのですが
吹替版だと、ロビンの声が「新津ちせ」ちゃん
そっちも観てみたかった。
◇
素朴な疑問
ウルフウォーカーって
生まれつきウルフウォーカーなのか
素質があれば後天的になれるのか
どうなのでしょうね
全く登場しませんでしたが
ロビンの母 と メーヴの父
この人達のことも気になってます。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
アイリッシュもののけ姫に隠されたメッセージ
アイルランドを舞台にした「もののけ姫」のようだ、と感じた。
ただし、宮崎作品のようなボーイ・ミーツ・ガールの要素はなく、つまり、そういう華はない。
むしろ、主人公2人が少女で、LGBTの趣を感じる。片方の名前がロビンという、本来は男性の名前であるのも意図的か。
自然を母系、町(人間)を父系とする対比が鮮やか。
ゆえにウルフウォーカーのメーヴには母親しかおらず、ロビンには父親しかいない(護国卿の妃も描かれていないことに注意)。
そして、自然は自由、城壁に囲われた町は管理の象徴とする対比も分かりやすい。
その壁を越えるのは少女、つまり、子どもであり女性だ。
大人の男は管理する側に回り、柔軟性がなく、不自由だ。ロビンの父親は、初め、そのように描かれ、ロビンに対し「お前のためだ」「お前を守りたいんだ」と繰り返すが、それに対してロビンは「ここは牢獄だ」と叫ぶ。
ラストのロビンの父親とメーヴの母親との結婚は、人間と自然の共生を象徴すると思うのだが、しかし、最後のシークエンスで住む森を離れていくのはどう理解したらいいか。
本作の舞台はアイルランドだが、ロビン親子はロンドンから来たイングランド人という設定だ。つまり、この地に残ったとしても「よそもの」であることには変わりはない。護国卿がいなくなった以上、ロビン親子はここには住み続けられないのだろう。
本作には、人間が自然を侵すことと、イングランドによるアイルランドの征服、という「二重の支配」が描かれている。
町の住民は不安と不満を抱えているように描かれているが、これは狼に関することだけではなく、護国卿の政治に対するものも含まれているはずだ(護国卿の森林開発には、食糧問題の解決のため、という説明がある)。つまり本作は、「護国卿が、政治課題を森林開発で解決しようとして失敗した物語」とも解釈できる(護国卿は森を開発できなければ、自分はこの土地に残れないと悟っていたから、死を選んだのではないか)。
このラストシーンが「自然と人間とは共生できる」というメッセージとともに、「だが、人間同士の対立は克服できなかった」ことを表しているのだとしたら、痛烈である。
アイルランドとイングランドの歴史的対立を思うと、アイルランドの側がイングランド支配を容認できないのは当然とも思える。
独特の作画だが、中世ヨーロッパの味わいが感じられ、何より美しい。
メッセージ性と娯楽性を兼ね備え、子どもも楽しめ、大人の鑑賞にも耐える。
傑作である。
【”現代にウルフウォーカーを呼べないかな?生物の中で一番偉いと勝手に思っているニンゲンに”全ての命は平等だ、共存しろ!”と言って貰いたい・・。” ”分断する事の愚かさ”を描いた作品でもある。】
ー森林を開拓し、狼を駆逐しようとする”護国卿”は明らかに、現代の人間をシンボライズした人物だろう・・。彼なりの”行動理由、思想”もきちんと描かれているのだが・・。ー
■印象的なシーン、他
・人間と狼が一つの身体に共存しているウルフウォーカーのメーヴとイギリスから来た女の子、ロビンが徐々に親しくなり、ある日ロビンも(メ―ヴに噛まれたため)ウルフウォーカーになり、行方不明になっているメーヴのお母さんを探すシーン
-二人とも、”あの国”では、異端者なんだよね・・。同じ匂いがしたのかな・・・。
イングランドとアイルランドとの関係性は、今でも良くはなっていない・・。
一時期のアイルランド解放戦線による凄惨なテロは最近起きていないが・・。
狼と護国卿の軍との戦いを見ていたら、ふと、思い出してしまった・・。-
・メーヴが、おぢさんの腕の傷や、ロビンの傷を不思議な金色の光で癒すシーン
-けれど、お母さんの傷を癒すには、みんなの力が必要で・・。-
・メーヴのお母さんの居場所が分かり、ロビンが助け出そうとするシーン
・メ―ヴが母を助けようとする思いと、ロビンが”護国卿”の配下で狼猟師として働く父親を大切に思う気持ちが、複雑に錯綜してしまう部分。
・劇中にしばしば流れるケルト風の音楽の心地よさ。
-昔、聴いていた”ザ・チーフタンズ”の曲を思い出す・・。-
・護国卿の軍団が迫り、絶体絶命の中現れた大柄なオスの狼の本当の姿は・・
-あ、お父さんも噛まれていたね・・。-
<あのラストシーンは、とても良い。
狼と人間が共存している身体を持つ、二組の親子がいつの間にか、家族になっていて・・。幸せな風景である。
様々な緑を基調とした映像の色合いも、とても風合の良い生命讃歌のアニメーション。
今作は、中世アイルランドに伝わるウルフ伝説がベースであるそうだが、
北欧って、夜が長いから様々な妖精たちを主人公にした物語が多いのかな・・、と思った作品でもある。>
自分の居場所をかけた戦いの話し。
96本目
森に住む狼と街に住む人間と、眠ると魂が抜け出し狼になる「ウルフウォーカー」を取り巻く、自分の居場所をかけた戦いの話し。
狼と人の森をかけた戦いはもののけ姫と似てるけど、もっとストレートで見やすい感じ。
ストーリーもキャラ造詣も王道でわかりやすいけど、だからこそ世界観にすぐに入り込めたし、素晴らしい映像美と独特な表現によって「既視感」を超えた世界が出来上がっていた。
美術や色彩、アニメーションの完成度の高さや独創性、ロビンとメーヴの関係や、それぞれの魅力など良かった点は多々あるけど、それはもう沢山書かれているので、個人的にとても良かった点を。
物語後半、父もウルフウォーカーになりロビンを助けるシーン。
人の状態の父がオオカミ状態のロビンを助け、その後、人の状態のロビンがオオカミ状態の父を助けるっていう構図、そして潔く死を受け入れる護国卿。
対立の終了と相互理解を表現しているというのがヒシヒシと伝わってきてとても良かった。
振り返った瞬間ボウガンを手にした人のロビンが居たの、鳥肌立っちゃったよね。
あと、音楽を担当しているKiLAというグループが昔から好きで(民族音楽にハマるタイプの厨二病だった為)、久々に聴く王道ケルトミュージックがめちゃくちゃ心地良かった。サントラ欲し過ぎる。
この作品、「ケルト三部作の三作目」らしいが、それ以前の作品は観ていないので、これを機に観たいなと思いました。
他の2作品もKiLAが音楽担当らしいし。
あとは護国卿が単なる悪役ではなく護国卿なりの正義があったこともしっかり描きながらも勧善懲悪としてまとまっていたのが素晴らしかった。
終わり方も最高。
自分たちの居場所を見つけたのはオオカミ達だけではなく、ロビン達もまた然り。幸せなハッピーエンドでしたね。
どうかその便利な治癒能力に目をつけられウルフウォーカー狩りが始まらないことだけを祈る…笑
上映館がかなり少ないから気軽に観に行けないかもしれないけど、映画好きの方には是非観て頂きたい上質なアニメーション映画でした。
要約:めちゃくちゃ良かった!!
純真無垢な気持ちで
アイルランドのアニメーション映画は多分初めて劇場で鑑賞した経験となったであろう。とても貴重な体験となった。
主人公のロビンと森に住むオオカミ使いのメーヴが友情が芽生え育み、人間とメーヴはじめ森に住むオオカミたちとの対立を描いた作品。
ロビンの住む村やロビンの父は森を支配下にしたくオオカミ狩を行なっている。その辺の溝に苦しむロビンの心の成長が主となる。
話のルーツはもののけ姫なんかと似ているなと思った。ただこの作品の主人公のロビンはもっと幼く、自分の素直な気持ちやありのままの本能を大切に行動に出る。この辺りの行動に理由や意味を求めすぎると引っかかる点は多い。いかに見てる側も純真無垢な気持ちで見られるかはさらに楽しく鑑賞できる要因になりそうにも思えた。
ロビンとロビンの父も最後はメーヴ親子のように人間とオオカミのハイブリッドとして森に住む事となる。
この結末やそれまでの描写含めかなり展開が読みやすくありきりたな展開に感じた。
自分と対する存在の価値観や、彼らの生き方考え方。この辺りをメーヴと出会い、ロビン自身オオカミになる事で理解や成長に繋がるのだが、この辺が物凄くストレートに描かれているため比較的子供たちが楽しめる作品に思えた。
もちろん大人でも楽しめるとは思う。個人的には比較的子供向け作品のように感じ、物凄く興味を惹かれる事はなかった。
子供連れが思ったよりいたけど
表現が綺麗。
手描きの繊細なタッチなのに躍動感があり、色彩豊かなアニメーションだった。
日本の最近のアニメとは全然違うものを観たなー、というのがまずは感想。
ストーリーはわかりやすいけど、人間として複雑な気持ちになる。
文明、自然、破壊、支配、信仰、宗教、自由、親子。
うーん、、軽くはない。
鑑賞前に気にしてたもののけ姫との比較だけど、観ていて気になるなあと思う時もあったが、全体的にそこまで似た印象は持たなかった。
跨って駆けてくシーンとか、森への進軍とかはさすがにフラッシュバックしたが、やはり当たり前だけど別物。
全体的に扱うテーマはけっこう考えさせられるけど、綺麗だし、テンポはよいし、異文化や歴史に触れられて面白かった。
なお、吹替え版も違和感なし。
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