100日間のシンプルライフのレビュー・感想・評価
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人の幸福に必要なものは?
一言で言って良い作品だった。人はものに囲まれても幸せではなく、人と人の関わり合いが幸福につながることを伝えるものであった。
物語のはじめに『時代の変遷とともに人々の個人的所有物は豊かになったが果たしてそれは人生の豊かさに通じるものであったか』を問いかける形で、映画製作者がこの物語で伝えたいことを真っ直ぐ伝えようとしている気概を感じた。
その後物語に入った後の感じはIT業界で働くIT業界のエネルギッシュな青年(20~30代)二人をおしゃれにコミカルに表現していて今風という形。彼らがITの世界で一発当てようとしているのがわかりやすく伝わった。その後の話しはIT業界のリアルな描写ではなく、二人が持ち物をゼロにして耐えられるかというゲームを通じた世界観に移り、そのゲームの中で彼らが出会ったり接したりする家族や買い物依存の女性、ダブル主人公同士の関わり合い、衝突を通じて人間の幸福の本質が物によるものでないことに迫る。
セクシーシーンもあるので小さいお子さんとともに家族で見ることには向かないだろうが、エネルギッシュでユーモアもあり幸福の本質に迫ったこの作品は誰もが見ても損はないと思う。
フィンランドの元映画を引き合いにちょっと批判する気持ちも分からなく...
フィンランドの元映画を引き合いにちょっと批判する気持ちも分からなくもないが、この映画はコンセプトがはっきりしていると感じたので、自分としては好印象だった。そう思ったポイントは3つある。まず、第一にドイツ映画であることで、第一世界大戦時の貧しい状態、ナチ政権とその後の時代。そして現代の3つの時代背景で冒頭に物の数と祖父、父、そして自分の世代の対比が紹介される。ここでもポイントは、物の数と幸せは等価ではないのではないかという問題提起。2つ目に、依存症の問題。スマホ依存と、拝金の今の世代を代表とする主人公達の振る舞いの滑稽さである。それぞれが当たり前と思っているシーンは、ともすれば自分も陥っている状態を指摘されたかのようにずきっと効いた。そして最後に、何が幸せだったのかという答え合わせである。ここで勘違いしそうになるのは、主人公がモノに固執しなければ幸せになる、という単純な結論ではないということ。主人公の一人が物を手放したのだから、恋を得たという解釈は安直である。私の解釈は、人の幸福は人の数だけバリエーションがある。この映画はたまたま、物を整理することをきっかけにその幸福の糸口を探し出せたのが良かった。ということではないだろうか。
断捨離リバース!
そんな極端な!とは思いました。
断捨離リバース(あるものから捨てていくのではなく、ゼロリセットしてから必要なものだけピックアップしていく)のシチュエーションは憧れるけれど、初めから終わりまで劇的すぎるかもしれない。
スタートアップストーリーと合わせて、過度な物質社会や行き過ぎた経済合理性、ザッカーバーグ的な描写の成功者など、対比にしたいものはよくわかりました。最後にヒッピーに行きすぎているようには感じましたが、人間が必要とするもののシンプルさは美しいです。
フィンランドのドキュメンタリー映画「365日のシンプルライフ」を観てみたいなと思いました。
コンタクトの使用期限は必ず守りましょう
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酔った勢いで持ち物を全部没収して1日1個ずつ持ち帰れる100日間チャレンジをすることになってしまった、ベンチャー企業を経営する二人の男の話。
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私は欲しいものを思いついたらすぐにAmazonを見てポチり、欲しいものが無くなることを知らない物欲の塊女なのでぜひこの物欲をなくしてほしいと思って見たんだけど、残念ながら物欲は無くして貰えなかった(笑).
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今の時代は何もしなくても自由と未来が約束されてるから、心の隙間を物で埋めているという理屈は納得した。何か物を手に入れれば、自分のステータスが上がったと勘違いしてる。
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でも結局、物で満たされた気分になるより良き友と家族と恋人を大事にしろよという結論はちょっと普通すぎるかなと。人との関わりを大切になんて何度も言われてるような事じゃ私の物欲は無くならない(笑)もっと強い言葉でなくして欲しかった(笑).
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良いテーマなのに100日間のチャレンジも途中でなぁなぁになっちゃうし、途中からこじらせ独身貴族男子二人の喧嘩がメインになっちゃうのが残念。
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でも笑える小ネタは沢山あって、映画ファン的にはトニーとルーシーの初ベットシーンが劇中でも出てきた『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の男女の立場が逆転バージョンになってたり、アメリカ人の社長にパウルが誘われた時「ダークサイドに誘ってるのか?」っていうのが面白かった。
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自分だったら何を最初に持って帰るか?って考えてみるのは楽しいね。
思ったほどシンプルではなかった
タイトルと予告から想像していたストーリーとは違っていた。
物と人との関係がメインテーマではなく、友情や家族、恋人との関係などいろいろあって、すこしわかりにくかった。ドイツ語が聞き取れないため、字幕以外のことばのニュアンスが入ってこなかったせいもあると思う。
アプリのナナについて、どんな仕組みかが全くわからなかったけど、少しは知りたかった。
ザッカーマンがザッカーバーグに似ていたのはおかしかった。
自動翻訳がフィンランド語だったところも。
お母さんもおばあちゃんもタバコを吸っているのが特徴的。
そして二人とも、30代後半の子どもたちに、昔のように膝枕をしてあげようと言い出すところも面白い。
話があちこちに飛んで、置いてけぼり感があったわりには、最後のほうでは心が動いて涙が出てきて、わりと満足した。
音楽は好きなタイプだった。
サントラを聞いてみようと思う。
だいぶ極端だけど、自分に置き換えながら楽しめる作品
経済的にも裕福で、一定の欲しい物は手に入れることができる環境で生活する主人公のパウルとトニーの2人。
アプリの開発により大金が手元に入る見込みがうまれ、飲み会の場でどちらが物に頼らず生活を送る事ができるか…この酔っ払い同士の半ば言い掛かりのような発案がきっかけで物語は始まる。
まぁこの辺りは予告でも伝わる為どういうストーリーでそして最後は落としてくるのかワクワクしていたが、まぁストーリー性や作品の落とし方は良くも悪くも想定通りだったかなと言った印象。
笑える下ネタが多々あった為決してつまらない、退屈に感じる作品ではなかったが、映画作品として評するのであればごくごく普通の作品と言ったところか。
ただこの作品の面白さは下ネタ以外にも自分の生活に置き換えながら鑑賞と同時進行で自分の生活を振り返りながら鑑賞する事ができる。
作中でも描かれていたが、物が少ない昔の方が生活が充実していて気がするのはなぜか…まぁそれは若ければ若い程あらゆる面の欲がまだまだ活発で満たされておらず、
少ない物の中でいかに充実感を得ようと必死に頭を使ったり、工夫して使う事で充実感だったり達成感だったり色んな欲が満たされる事ができていたのであろう。
決して物が恵まれてる今が不満や自由を奪われてるわけではないと思う。
慣れや歳を重ねる事で年々欲望の内容が高くなったり、欲が満たされにくくなっているのは事実だろう。
そんな事を自問自答しながら鑑賞している自分もいた。
作品としては最後は主人公の二人は無一文となり、恋人そして親友こそが何より大切だ。ゼロからまた新しい大切なものを探すといった展開で終わる。
まぁこの辺りは少し想像はできちゃったかなというのが率直な感想であり、また恋人描写が個人的にはこの作品においては少し苦手でもあった。
だいぶ極端な作品ではあるが、今一度自分の生活を振り返りそして考えながら楽しめる作品である事には違いないだろう。
【"次々に新しいモノを買う事は、幸せかい? 心に空いた穴を塞ぐのは、モノ?虚栄心?。本当に大切なモノは何?本当の幸せって何だろう・・” という事をコメディ要素を塗しつつ、問いかけてくる映画である。】
-パウルとトニーはアプリ開発の共同経営者。ある日、持ち主の性格を反映させるアプリを開発し、第二のジョブスと言われる若き天才、ザッカーマンに認められ、巨額の契約金を手に入れる事になるが・・・。-
◆最初に敢えて記載するが、ストーリー展開はやや、粗い。
だが、それでも私は観て良かった・・と思った作品である。
■感想
・パウルとトニーの性格は全く違うが、何故か気が合う。イロイロと面倒な二人なのだが、観ていて、憎めないのだ。
- パウルは、常に流行最先端のモノを手に入れる事に執着し、トニーは自らの外観をいつも気にする。特に育毛剤は欠かせないし、似合わないメガネは絶対にかけない・・。
だけど、皆、多かれ少なかれ、そういう事はないかなあ・・。-
◆で、二人はツマラナイ事から、"面白いルール"を課し、契約金を巡って、勝負を始める。
・前半はコミカル要素強めで物語は進む。
二人の全所有物を入れたレンタル倉庫に夜な夜な表れる、謎の美女ルーシー。
彼女が複数保有する倉庫には、それはそれは素敵な装飾品が沢山ある・・。
・トニーがメガネを嫌がる故に、結膜炎になるシーンと(気持ちは分かるが、コンタクトレンズの装着期間は守るように!)、トニーが目薬を優しくさしてくれるルーシーに惹かれていったり・・
- 男はねえ、弱っている時に優しくしてくれる女性には弱いのである。そして、魅力的な女性であるルーシーも、トニーが自分に似ている事に気付いたのではないかな・・。-
・しかし徐々に、ルーシー・デンスケの哀しき性癖が露になり・・(ヤッパリなあ・・)
・ザッカーマンも、遣り手だが、ナカナカ下衆な男である事が徐々に分かり・・
- 消費社会に生きる人々を、金を稼ぐターゲットにしか、観ていない。現代消費社会の勝者の象徴として、ザッカーマンを観るが、彼も余り幸せそうではないなあ・・。漂う孤独感・・。-
・パウルは、久しぶりに会った祖母から"ある大切な言葉”を聞き、今までの生き方に疑問を持ち始める。
-"幸せは、掴もうとすると・・・流れてしまう・・"-
◆パウルが、トニーのルーシーへの想いを知り、仕掛けた素敵な事。
そして、”全てを晒した”トニーが、漸く寄り添ってくれた大切な人。
- 彼は、今や、普通にメガネをかけているよ・・、そして、実に幸せそうだよ・・。-
<忙しい毎日を生きる中で、ついつい忘れがちな、
”本当に大切なモノって何だろう・・。”
”本当の幸せって何だろう・・”
という深淵な事を、コミカル要素を絡ませて描いた作品。
モノに溢れる現代社会に生きる中で、イロイロと考えさせられる作品でもあります。>
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