劇場公開日 2021年4月3日

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「風の音を聴け」ブータン 山の教室 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0風の音を聴け

2021年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

教師がサッカーの香川選手に似ていて、気を取られてしまうのには参った(笑)。

「僻地で苦闘する教師の物語」を予想していたので拍子抜けしたし、正直なところ、退屈して居眠りしてしまった。
足りないのは物質面だけで、心の面では他のどの場所よりも、やりやすかったにちがいない。
ただ、都会では落ちこぼれの若い教師が、村人に「先生」と持ち上げられて歓待されるのは、いささか滑稽だ。
「求められたから、頑張れた」というのは分かるが、キャラの造形が弱すぎる。この教師なら、それまでの4年間において「教師に向いていない」となっていたのは不自然だ。

ラストの別れのシーンの“お涙頂戴”はいただけない。
泣かせたいなら中身で泣かせなさい、というのが自分の感想だ。

この映画の主張は、おそらく牧歌的な「山の教室」を描くことそのものではなく、現代化で変わりゆくブータンの姿に対する、“時代錯誤”的とも言えるアンチテーゼではないのか?
終映後のトークによれば、首都ティンプーでは、スマホが普及し、車も一家に一台だそうだ。しかし、ルナナ村の子供は「Car」を知らないのである。
今や農業人口は5割に減少し、ホワイトカラー希望が多いという。

教師が英語の本を読み上げて、生徒が分かっているのでビックリした。
かつて教師不足のために、インドから大量に教師を呼んだ経緯で、小中高そして大学まで、英語で授業が行われているそうだ。
「ゾンカ語」という公用語をネイティブに話すのは、76万人いる国民の3割に過ぎず、英語が共通語としての機能を果たしているのかもしれない。
しかし、確固たる共通言語を持たないとすれば、一国としてのアイデンティティを維持するのは容易ではないはず。南部のネパール系住民の問題もあるようだ。

自分は全く気付かなかったが、この映画はルナナ村のようなハイランドならではの、“強い風”の音が聞こえるという。
風の音を聴け、である。

Imperator
かせさんさんのコメント
2024年7月21日

自分は松坂大輔のモノマネをする芸人さんに似てるなあと思いました。

かせさん