AWAKEのレビュー・感想・評価
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ただ勝つことが目的じゃない。ヒリヒリする戦いをして勝つこと。自由な一手を見つけること。
自分よりも頭いいやつを見ると嬉しくなる、ワクワクする連中が出てくる。
将棋会館の前で少年時代の浅川が清田に向かって言った言葉に表れている。
「君強い?よかった。強い相手とやったほうが面白いから。」
清田は自分が作ったAWAKEと対戦し、感慨深く「強くなったなあ」。
このときもとても嬉しそうな横顔であった。
主人公がプログラムを習得していくところが胸アツ。
元棋士なだけあって、吸収が速いのなんのっ。 AI研究部の磯野の一切容赦ない課題もクリアしていく。磯野うれしかっただろうなあ。
個人的に賢い人のシーンみるの大好き。
浅川 vs AWAKEの電脳戦はほんと先生が言うように不自由な感であった。
不備があることをわかっているのに修正せず戦うしかない清田、
将棋界のためにもそこを攻めるしかない浅川、、、。
本当の二人の戦いはあの大一番でなく、その前、浅川が一人でPCの前にむかってAWAKEと黙々と戦い続けた日々になる。バグとか関係ない純粋な勝負。 「強かった」と浅川が清田に言ったのは電脳戦でなく、この日々を指している。 だから清田はうれしかった。
最後の甥を挟んだ二人の対局が微笑ましい。
※題材がユニークで新鮮であった。
テクノロジーが夢やぶれた若者を立ち上がらせる
2015年の電王戦を題材にした映画だが、人間関係などは基本的にフィクションだ。しかし、あの電王戦でもしかしたら我々が見落としたかもしれない人間ドラマを描いてるなと思った。
AIと人間のプロ棋士が対決するというコンセプトの電王戦は、多くの視聴者にとってプロ棋士側のドラマだった。日進月歩で進化するAIを相手に、人間代表のプロ棋士たちがどこまで戦えるのか、AIが人間の知能を超えるのではと言われはじめた時代に、人間の尊厳をかけた戦いとして多くの人が楽しんだと思う。
しかし、この映画はその反対側、AI開発側のドラマだ。モデルとなった2015年電王戦に出場したAWAKEの開発者は元奨励会の人だが、映画もその設定を引き継いでいる。一度夢に挫折した人間が、AIというテクノロジーに接して再び夢を得る、というドラマになっている。プロ棋士側も人間のプライドを背負って戦いに挑んでいた。しかし、AI開発側にも人間として託した望みがあったのだ。
将棋映画に外れなし。いよいよ本作では「人間」vs「AI」という流域に踏み込んだ。
これまで将棋映画は「3月のライオン」「聖の青春」など地道に作られてきていて、どれも名作揃いです。ただ、なぜか興行的には失敗していて、将棋映画というのはニーズがないのか、と思ってしまうくらい残念な状況になっています。
そんな中、本作はこれまでの「人間」vs「人間」から「人間」vs「AI」まで描く、という新たな領域まで描いています。
本作のベースとなったのは、2015年の電王戦FINAL第5局。
2014年に第2回将棋電王トーナメントで優勝し第二代電王に就位したAIソフト「AWAKE」の実際の対戦を基に、登場人物を映画用に脚色したものになっています。
「AWAKE」の開発者は、実際に奨励会にいて挫折して退会しています。その後、AIソフト「AWAKE」を作って再び将棋の世界と向き合います。
本作では、そんな「AWAKE」の開発者を吉沢亮が演じ、吉沢亮の演技で作品のクオリティーが上がっています。
また、本作の脚色として、「AWAKE」の開発者と、「AWAKE」と決戦する相手が奨励会で一緒にいたライバル、という形になっています。
そのため、この2人の対比として描かれ続けているので、作品の世界に入り込みやすくなっていると思います。
実は、今回の映画で描かれた2015年の電王戦FINAL第5局というのは、当時かなり大きな物議を醸した一戦だったので、これをベースにするのは、見終わった後でいろんな意味で考察の余地が残る面白い試みなのかもしれません。将棋とは何か、AIとは何かを考える上で非常に示唆に富む題材になっています。
ちなみに、「AWAKE」とは、「目が覚めた状態」「覚醒」を意味しています。
9×9の将棋盤の中で、動きが制限された駒同士の戦い。閉ざされた世界...
9×9の将棋盤の中で、動きが制限された駒同士の戦い。閉ざされた世界の中での勝負だ。つまり、数学的に勝利の理論はたてられると言う事だ。
不可逆的な永久機関が無いのと同じだ。物理的に不可能な事は絶対にある。無限の可能性を秘めた人間の頭の中と言えど、その勝負に一定の決まりがあるとすれば、人間の頭脳にもの限界が生じる。
だから、それでも、
機械に勝つ方法がある。それは決まりを破ればよいのである。どう破るかは、人間は詩人であるから、人によって千差万別であろう。まぁ、僕なら『コンピューターのコンセントを引っこ抜く』とか。
個人的には僕は将棋、麻雀、パチンコ、囲碁が余り好きになれない。映画や本が好きだから、インドアが駄目と言う訳では無い。
価値観の押し付けな感じがするからだと僕自身は思っている。
テレビを見なくなったのも、旧国営放送で将棋や囲碁の番組を休みの日にやっていたからである。旧国営放送の教育番組で大半の国民が休みの日に将棋、囲碁を共通の娯楽って言うのが嫌だった。だから、カラオケとかも好きになれない。
もう一つ将棋が好きになれない理由。
酔った我が亡父相手に将棋で一度も勝った事が無かった。我が亡父は『お前は才能ないな。時間の無駄だから将棋なんかやめとけ』と励ましてくれた。それが中学校二年の時である。それ以来、将棋、囲碁はやった事が無い。親父に感謝している。
成長して、麻雀にも才能が無いのを知り、最小限の損失に留める所に抑えた。
将棋の将棋盤を18×18にして、王将を二つにしたら面白いね。
また、実際の戦争は『歩』が犠牲になる事が問題で、味方同士が争いになる事が一番大きな悲劇。将棋や囲碁が単純なゲームでしか無いと理解できるだろう。繰り返す、遊戯(ゲーム)として観た場合である。
敬意とは何かを知る
奨励会に入れるほど将棋に打ち込める人は将棋が好きだからだ。その好きな理由は人によって多少の違いがあるだろう。
吉沢亮演じる主人公の清田はとにかく負けたくない。勝負の世界に生きていれば誰でもそうだろうが、清田にとっては勝つことが楽しさなのだろう。
勝つこととは強くなること。根底に将棋が好きだという気持ちがあるため勝てばいいというわけではない。
若葉竜也演じる浅川は、勝つことよりもゲームそのものが楽しいようだ。仲間と共に指す将棋、それが楽しい。
生き残りをかけたサバイバルのようなプロの世界では弱い者から淘汰されていく。幸か不幸か将棋が強かった浅川は勝ち残るが、それはつまり浅川の楽しさが消滅していくことを意味する。
清田が奨励会を去ることとなった浅川との一局。勝てるはずの勝負に自分のミスで清田は負けた。
清田は悔しかったことだろう。ミスをしなければ勝てたという思いがあったに違いない。
クライマックスの浅川対AWAKEの電王戦。
このとき浅川は将棋界の威信を背負った負けてはならない立場となっていた。
AWAKEのバグVS浅川という構図に展開していくのも面白い。
そこで浅川はバグを誘発させるハメ手を指すことになる。普通の棋士ならば絶対に指さない手だ。それはつまり棋士として「ミスしている手」ともいえる。
ミスをして奨励会を去った清田。AWAKEのバグもまた清田のミスだ。
しかし棋士としてミスをしながらも勝つ浅川が目の前にいる。負けるのはミスをするからではないと知り、同時に、このハメ手にたどり着いた浅川の膨大な努力を知る。
投了は相手への敬意だと教えを受けるが、その敬意とは、自分を上回る努力に対するものだと知る。
ミスをしないのもミスをするのもたゆまぬ努力の結果なのだ。
清田と浅川は同期でありながらほとんど言葉を交わさない。互いにどう思っているか真意は分からないが、全く意識していないことはないだろう。
清田にとって浅川は常に立ちはだかる壁であり、いつか倒したい相手だったろう。
浅川にとっては、消えていったかつての仲間の一人が再び挑んできた喜びがあったかもしれない。
しかし電王戦という場は二人の純粋な「将棋が好きだ」という想いに応えてくれるところではなかった。
それと対をなすようなエンディングは、不思議とあたたかな気持ちにさせてくれる。
相変わらず言葉を交わさない二人だけれども、将棋に対する情熱で語る二人に言葉はいらないのかもしれない。二人の「楽しさ」が同じになった瞬間に感じた。
プログラミングの裏には人間がいる
ずいぶん前に、AIとの将棋対決が話題になっていた記憶はあった。
そのAIを生み出した経緯をフィクションで描いたもの。
プログラミングでほっておけば勝手に組み立てられでもいるかのような気分で流しているが、それも作り出した人々にはそれぞれ抱えてる思いがあるのだと改めて気づいた。
愚直なまでに将棋に向き合って人生の時間をかけてる人たちの業を少しだけ垣間見たようだった。
実話ベースとは・・
観賞後調べて分かったのだがAWAKEは実在、開発者清田英一のモデルは巨瀬亮一さん、実際に奨励会に在籍していた。浅川陸は阿久津主税さん、AWAKEと阿久津八段の対決も実話、まさにAWAKEの弱点を突き21手で勝利したのも全く同じ。
ただ清田と浅川が奨励会時代からのライバルと言うのは山田監督のフィクションです。
人間対コンピュータの頭脳戦というセンセーショナルな電王戦のエピソードに触発され、将棋に魅了された青年たちの一途な青春ドラマに膨らませて仕上げています。
ただ、のめり込む性格であることは分かるのですがご丁寧に懐中電灯までつけて夜道を読書しながら歩くのは危ないですよね、昨今の歩きスマホへの反面教師的演出なのか・・。
アクション映画なら闘いぶりの描写が肝なのに頭脳戦の描写をどうするかは難しいでしょう、延々実況したらNHKの将棋番組みたいになりますし、盤上の駒を映しても凡人には読み切れないのが難点ですね。
映画では解説者やギャラリーのリアクションでそれらしく見せてはいました。同様にAWAKEのコンピュータプログラムの実行画面を映されても何か高度なことをやっているんだろうくらいにしか判りませんでした。ソフトに強い人がいたら解説して頂きたいものです。
自宅のパソコンの将棋ソフトはAI将棋GOLD3ですが初段に設定すると全く勝てないので5級にして遊んでいます、手加減してくれるのもAIの賢さかもしれませんね。
コンピューターは人間の頭脳を超えるのか?
実話を元にした棋士とコンピュータ将棋プログラムの対決を描いた作品。
電王戦やAWAKEについて調べてしまうとネタバレになるので未見の人は注意。簡単に書くと映画は元となった電王戦FINAL第5局について細かい設定に違いはあれど実際の出来事に相当近く描いている。当時は賛否や当事者へのバッシングもあったようだが、この勝負への当事者たちにしか分からない葛藤や想いがあっただろうと想像出来る。
主役の吉沢亮と若葉竜也が表情や仕草など役の雰囲気があっていてとにかく上手い。
お互いの秘めた情熱が昇華していく展開も熱くて良い。
遠回り、しかし再び向き合えた二人
将棋のルールは全く知りませんが、予告で気になり鑑賞しました。
セリフや説明が少ない演出で、吉沢さん、若葉さんの目や表情の演技に引き込まれました。
「将棋は本来楽しいもの」
将棋プログラムに出会って生き生きとし始めたものの、これまで将棋をしている英一はどこか苦しげでしたが、
余計な勝敗を気にせず、プログラムを介さず、純粋な笑顔で浅川と直接向き合うことができた最後に、私もすっきりとした気持ちになりました。
雨で、暗く閉鎖的な会場と、光が差し開放的な空港との対比も素晴らしかったです。
あんまり気持ちが動かされなかった映画
実際の出来事をもとにして作られた作品だが、あまりニュースや新聞を見ないので、結末を知らなかった。
俳優たちの演技はよいが、話の流れが微妙で少しダラダラした印象を受けた。
圧倒的なストーリーのアップタウンは特になくて、少しずつ進んで行く。
登場人物それぞれの家族?女性キャラクターが出てくるが、物語上の役割、立ち位置がよくわからない。
最後の結びのために家族の存在を出したのはわかるが、あんまり感動はしなかった。
実際の電王戦を知っている人は見る必要ないかも。
ライバルは人を強くも弱くもする
将棋というシビアな世界、W主人公のようなテイストで青年になってからの違った道を歩む二人の努力の天才を描いている作品のように思えた。
子役は大抵違和感を拭えない演技によって作品の質が変わりますが、今回は青年になる二人の癖や仕草などがそっくりで、苦い場面は1つも無かったのが最良でした。
AI対人間、確かに魅力的な題材ですが基本的にはヒューマンドラマ。派手さは差ほどなく淡々と静かに渋く進む物語。
吉沢くんの低い声、若葉くんの飾らない容貌、二人とも言葉数が少ない役柄だからこその苦悩、嫉妬、寂しさなどの表情は犇々と伝わり演技力の素晴らしさを実感しました。
本当のクライマックスは微笑ましく後味が心地良いものでした。
イケ面の吉沢亮はイケテない役が不思議と似合う。
実際に2015年4月11日の将棋電王戦EINAL第5局にインスパイアされたドラマです。
(将棋はこの棋譜でなぜ勝ったか?が分かる程度の初心者ですが・・・)
この映画、将棋映画として凄く面白かった。
英一(吉沢亮)は、奨励会(日本将棋連盟の棋士養成機関)を、
ライバルの浅川陸(若葉竜也)に歯が立たない理由で断念する。
棋士への夢敗れ、抜け殻になった瑛一は大学生になる。
ある日コンピューター将棋に出会い、かつてのトキメキを取り戻す英一。
コンピューター・プログラミングの師匠となる磯野マスオ・・・ではなくて、
(達也役の落合モトキが、雰囲気最高!!新しい時代の流れを感じさる)
磯野の人工知能同好会で、プログラミングをイチから教えてもらう英一。
スクリプト語など、プログラミングはメチャ難しい。
夜道を解説書を懐中電灯で照らして歩くほどの努力家。
頭脳はもともと最高レベル、おまけに努力と執念の男だ。
なにより生き甲斐を取り戻した英一が輝く姿に胸が熱くなる。
AWAKE(覚醒)と名付けたコンピューター将棋ソフトはメキメキ強くなる。
3段4段レベルに上がり、町で道場破り(?)とか、メチャ楽しい。
イケメンのオタクをやらせたら右に出るもののいない吉沢亮。
まったく人とコミニケーションの取れない引きこもりをリアルに演じる。
《生き甲斐って、メチャ大事!!だ!》
そして山場!
運命の対決だ!
若手棋士ナンバーワンに成長した浅川陸が、AWAKEの挑戦を受けて立つと言うのだ。
直前にAWAKEの弱点(入力不備)が見つかり焦る英一。
ここから、勝敗の行手は是非映画でご覧ください。
「聖の青春」「3月のライオン」「泣き虫しよったんの奇跡」と観てますが、
異色の将棋映画としてこれが一番楽しめました。
ラストのシーン、とてもイイです、ホロッとします。
コンピューター将棋ソフトとの出会いで救われた青年・英一の成長物語です。
最高のラスト。将棋は楽しむためにあるのです。
(原作未読、ネタばれなしレビュー)
AIに関する作品とのことで鑑賞しました。
夢を諦めた将棋棋士が最強のAI将棋プログラムを作り、夢をあきらめる理由にもなったライバルと再戦する物語。
ストーリーとしては評価の高いものだと思います。400年の歴史のある人間か、現在の人類を支える最新AIか、どちらも譲れないハラハラするシーンが多く面白かったです。そしてさすが今を時めく若手俳優吉沢亮さん。将棋しかできない不愛想な青年から大会で優勝するほどの天才と小さな仕草などで区別をつけとてもわかりやすく、見やすいものになっていました。癖まで演技で分けるとはさすがです。
カメラワークも素晴らしいです。吉沢亮さんの目で訴えるような演技をしっかりと捉えていました。シーンが変わるシーンもモニター越しで変わったりとあまり映画では見ないような工夫がされており映像作品としてもクオリティの高いものでした。
吉沢亮ってこういう役が合うよね
本作の主人公は将棋以外のことは興味なし、側から見たら変人のやばい人。吉沢亮は正統派なイケメン役よりもこういった少し変態性のある役の方が魅力を感じる。
夢を持った大半の人が直面する現実。つらい、つらすぎる…。冒頭は何でこんな辛い思いをしながら映画を観ているんだろうと思ってしまうくらいの辛さ。そんな彼がAWAKEしていく物語。
全体を通して感じるのは「渋さ」。
実際の出来事を脚色はしているが変に盛るようなことはせず、むしろ淡々と登場人物達の感情や物作りの楽しさを表現しており、将棋の試合中は息をするのを忘れてしまうほどの緊張感があった。
「渋さ」の反面、どうしても地味な印象が拭えない。ビジュアルもリアリティを重視しているのかもしれないが、エンタメとしてはもう少し頑張ってみてもよかったのかもしれない。
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