いとみちのレビュー・感想・評価
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日本の青春の映画のクラシックになりそうな逸品。
何者でもない女子高校生の青春を描いた素晴らしい映画。横浜聡子監督というと、もうどんな頭の構造をしているのかと驚くようなぶっ飛んだ表現が強烈だったが、この作品ではそういう側面を前に押し出したりはせず、ひと夏の小さな心の揺れを、丁寧に、丹念に映し出していく。
ポスターを見る限り、ずいぶんとはしゃいだノリの映画だと思われそうだが、いい意味で地味で抑制されていて、正直、ポスターの印象とは全然違う。むしろ文芸作のようなイメージで打ち出した方がよかったと思うのに、映画を観てしまうと、このポスターもまたアリなのではという気がしてくるから困る。
いずれにせよ、一級の青春映画として、後々まで語り継がれるクラシックになるのではないか。いい映画は大概そうだが、出てくる役者が片っ端からみんないい。
ヒロインの健気な成長を捉える”まなざし”が素晴らしい
三味線を抱えた女子高生がメイドカフェでバイトする。それはそれで惹きのあるビジュアルであるものの、本作はそれにも増して、内面へ注がれた魅了的なまなざしを持つ。冒頭の教室での一場面から、ユーモアをにじませた温かなタッチが観客を引き寄せ、自分の思いを言葉にすることが苦手なヒロインが学校から自宅へ移動を続ける、たったそれだけの動線の中にも、瑞々しい感性が星屑のごとく散りばめられている。「自分には何も取り柄がない」とはこの年頃なら誰もが持つ悩みだが、そういった思いに固執せず、環境に刺激を受けてヴィヴィッドに変わっていけるのも思春期ならでは。昨日の自分にさよならと手を振るみたいに、日々、一歩一歩、前に進んでいく成長ぶりがなんとも胸を打つ。決して技巧に走らずナチュラルに紡いでいく演出ぶり、さすがにうまい。あと、主人公の純朴な魅力もさることながら、豊川悦司の飄々とした父親っぷりも実に見応えたっぷりである。
瑞々しい駒井蓮
久し振りに素晴らしい映画に出会いました。
ベタといえばベタな方の映画ですが、その直球がまた良かったのではないでしょうか?
主演の駒井蓮は初見だったので、三味線の弾ける素人さんの中からオーディションで選ばれたのかな~と思っていましたが、4.5年のキャリアのある女優さんだそうで、びっくりしました。実年令は当時19.20歳ですね。どう見ても16才の高校生にしか見えませんでしたが、またまたびっくり。
その初々しさと演技演技したところのない演技にまた驚きました。
例えば中学の時の三味線の大会で優勝した際の額入り写真を気恥ずかしさ(大股開きのため)で急いで取り外そうとしたり
例えば、メイド喫茶で、永遠の22才と自称する先輩に髪を梳いてもらいながら、亡き母に同じことをしてもらった記憶がダブり感極まるシーン
そして家出する時の、怒気を含んだ眼差しで父を睨みつけるシーン
最後の、父と一緒に登った山頂で大声を出して叫びつづけるシーン
数え上げればきりがありませんが駒井蓮の瑞々しさ溢れる、明澄な表情は心に沁みました。
横浜聡子監督の前作『俳優 亀岡拓次』見ましたが、こちらは何かケレン味が見え隠れして、少し残念でした。
この作品のようなベタでド直球のようなオーソドックスな作り方のほうがいいのではないかな~と思いました。
とにもかくにも、このような瑞々しく情感豊かな作品を作って頂き感謝します。
休眠打破!! 三味線の音色が人生の糸を紡ぎ出す作品
青森、津軽を舞台にした故郷を愛する気持ちの伝わるストーリーでした。
女子高校生の相馬いとが、メイド喫茶でバイト、働くことをキッカケにして、
今までとは違う自分自身の一面を知ることが出来たと思いました。
祖母、亡くなった母から引き継いだ三味線の
音色は伝統と新しさが溢れていました。
豊川悦司さん演じるお父さんと、行き違う
感情がありながら娘のいとを気にかける絆がありました。女子高生のいとが働くメイド喫茶にお客さんとして訪れたお父さんに
出されたアップル・パイは、甘いほのかな香りに味わい深い思いがありました。
父親と娘が一緒に山を登ったあとに
見えた風景は、澄み渡る空と緑に自然の力を
感じたシーンでした。
2021年、12月ごろ観賞。
成長
青森に住む高校生がメイド喫茶を舞台に成長する話。
私を含め津軽弁に慣れておない人は、聞きづらい部分が多いと思います。
引っ込み思案だった主人公が、素の自分をさらけ出せるように成長する様は見ていて楽しかったです。
また、父親との関係性も見どころかと思います。
駒井蓮さんの今後に期待❗️
本作をDVDで観ました。標準語字幕というメニューを生まれて初めて見ました。最初はOFFにして見始めたが、すぐにONにして見直し。劇場で見た方達は、内容を理解できたんでしょうか。久しぶりに心地よい青春映画に出会えました。駒井蓮さん初見でしたが、物凄く魅力がある俳優さんです。笑うと超可愛い。これから来るぞ!って感じがします。三味線は本当に弾ける人なのでしょうか?あれが演技だったら大したものです。豊川悦治もおばあちゃん役の方も含め、他のキャストも良かった。特に店長役の中島歩光ってました。
横浜聡子監督の少女の成長譚
映画『ウルトラミラクルラブストーリー』で衝撃的なデビューした横浜聡子監督の最新作。
本作も津軽弁全開であり、青森を舞台にした少女の成長ドラマを描いた佳作。
冒頭の学校場面から津軽弁だらけなので「理解できるかなぁ…?」と思いながら観ていたら、全編の物語把握は概ね問題なかった。
ただ、細かいところはニュアンスが微妙だったかも知れないが、DVD観終わって[メニュー画面]が表示されたら[標準語字幕 ON/OFF]切替えがあった…(笑)
JR板柳駅という駅が2回ほど出て来るが、青森にある駅。
横浜聡子監督の映画は、やはり風景描写が美しさが浸みる。単線列車が自然の中を走るシーンなどは構図も見事!
物語は、青森県の高校に通う相馬いと(駒井蓮)は人見知りで友人もできず、特技の津軽三味線も弾かずに過ごしていた。いとは思いきってメイドカフェのアルバイトを始める。客に痴漢されたりするが女友達も出来て、人生に推進力を持たせるような少女の成長譚。
そうしたドラマの中で、いとが祖母(ばば)と二人で津軽三味線を弾くシーンからは、二人の楽しそうな気持ちが伝わって来て、微笑ましい。
いとの父(とっちゃ)を豊川悦司が演じていて、「東京出身で津軽弁は覚えるのに時間がかかった」との発言もあるが、メイド喫茶で働くいとに「けっぱれ!」と言う。「頑張れ!」の意味だと思われる。
本作で、16歳のいとを演じた駒井蓮は、鼻筋が通った美人で津軽弁もバッチリ、三味線も上手い……と「本作の いと役に、これほどの適任はいないのではないか」と思わせられた名演。
横浜聡子監督の見事な映画。
(2021年キネマ旬報ベストテン第9位)
<映倫No.122597>
黒髪
最後の方で誉められるが終始目を引く黒髪である。前髪は揃ってなくて、あまり手入れされているようには見えない。それが主人公のあどけなさを引き立たせているようであった。幾段かギアを落として表情も作ったのか、その流暢な方言とともに素人っぽい素朴さをよく体現している。
達観した婆さんが、親子に玄関で餞別を渡すシーンがよかった。
原作とはかなり違うが
Amazonレンタルで鑑賞。
原作が好きだったので本作を観たけど、正直原作からはかなり改変されている。
原作では小柄ないとを演じる駒井蓮さんはどちらかと言えば長身だし、登場人物の関係性やキャラクター像も、原作とはかなり違うし全体的に描き込みも足りず、原作ファンとしては物語の展開が唐突な印象を受けた。
ただ、原作はマンガやアニメ的な設定や表現も多く巻数も多いので、そのまま実写化は難しいことも理解できる。
なので、「いとみち」という物語の核心の部分を押さえててくれればOKで、少なくともそこはクリアしていたんじゃないかな。
クライマックスは、いとの三味線ライブ。
そのクライマックスシーンをしっかり説得力をもって描けるかが本作の成否のカギになるんだけど、駒井さん弾くの三味線には説得力があったし、いとの三味線ライブがちゃんとクライマックスになっていたと思う。
一方で、青森空襲の話を体験者から聞くくだりは、その後の物語に繋がっていくわけでもなく、何のために入れたのかちょっと意図が分からず、関係者のごり押しだろうかと勘繰ったりもしたけど、関連記事を読むと、どうやら監督の意思で入れたらしい。
あと、いととおばあちゃんが津軽弁で話すシーンを、無理に分かりやすくしようとしなかったのは英断だと思った。
女子高校生とメイド喫茶、津軽三味線の三題噺 再送信
前のアカウントが分からなくなったので、履歴保存のため再レビュー
1 内気な女子高生の家族との日常やアルバイト先での出来事を通じて成長していくさまを描いた青春ストーリ
2 主人公は、小さいときに母がなくなり、青森の母方の祖母に育てられた。そのため、土着の年寄り並に津軽弁がキツイ。また、津軽三味線の奏者として鍛えられた。学校では友人がおらず、家では亡き母のことを想い寂しさを覚える日々。ある日、三味線の稽古をさぼり、胴体の手入れミスから音が歪み祖母から厳しいお小言。そんな彼女が三味線の修理代稼ぎなどからメイド喫茶で接客アルバイトに入る。言葉づかいなどで苦労するが、店長や同僚のフォローにより彼女にとって大事な居場所となる。喫茶店が存続危機に陥ったとき、彼女は三味線ライブを思い立つ。
3 主人公と父親との親子関係は、とても淡白。母親の死後、娘を長らく祖母に預けたままにしていたのだろう。そして、その後同居したが、主人公と心の距離は縮まらなかった。その後、娘のバイトを巡り、互いに背を向けあうが、喫茶店で真正面から向き合うことでわだかまりが氷解し、ようやく心が通い合う。コ−ヒ−を飲みアップルパイを食べる。言葉はなくともとても良いシ-ンとなった。三味線のライブ演奏やラストの山登りのシーンでは、主人公の顔付きや表情が様変わりしており、内面の成長が見て取れた。
4 横浜監督は、女子高校生とメイド喫茶、津軽三味線という三題噺みたいなリアリティに乏しい設定の中で、親子が関係を見つめ直し、人間的に成長する様を真面目に描いたと思った。 また、配給会社はロ-カルな話をよくぞ全国配給した。とはいえ、主人公や祖母などの津軽弁の会話は、理解できないことが多く、字幕での表示があればと思った。
原作ファンは満足できない
おそらく原作ファンには満足できない作品だと思います。
なぜなら原作の良さを何も表現できていないから。
そもそも理解できていないのか演出が下手なのか。
例えば原作の主人公は、恥ずかしがり屋で人見知りで口下手の設定ですが、映画では単なる無気力でガサツな今どきの女子高生にしか見えません。
同じ越谷オサムさんの小説で実写化された「陽だまりの彼女」は大変良かったのですが、こちらは明らかに監督の力不足ですね。
駒井蓮の究極の一撃を目撃せよ‼️❓
なんか、津軽三味線の青春映画と思いきや、メイドカフェで、とりあえず、戸惑う。
じわじわと、ヒロインの演技に吸い込まれる。
いろんな映画で個性的な役柄で、大河にも。
ああ、なんか、久しぶりに開花した女優の演技観た、ちはやふるやチアダンのすず、三月のライオンの清原伽耶、それらを超えて来た。
なんだか、身長と血液型が同じで親近感が、関係ないけど。
なんか、親目線で応援したくなる、駒井蓮、恐るべき才能、これだけで鑑賞の価値あり。
駒井蓮の伝説が始まる映画🎞🎟🎬🎬是非。
青森愛が強い(過ぎたかな?)
原作ありの映画化、
の難しさを、知った作品でした。
監督、脚本家が、どのように咀嚼、昇華させるか?
それとも、忠実に原作をなぞるのか?
今作品は、舞台である青森への半端ない思いが
2時間の映画には、収まらなかった感がありました。
原作を読んでいれば、ストーリーがわかるが、
未読なわたしには、展開が突飛すぎます。
相馬いと役の駒井蓮さんの好演
西川洋子さんの、なんと自然なおばあちゃん
横浜聡子さんの思いが、画面(カメラ)に乗り移った。
素晴らしい映像です。
青森のアーカイブ映像です。
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