劇場公開日 2021年3月26日

「ハウスレスとは」ノマドランド プールサイドさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ハウスレスとは

2021年5月21日
iPhoneアプリから投稿

印象的だったのはファーンが女の子に「ホームレスになったの?」という質問に対しての返答。
「ホームレスじゃなくて、ハウスレスよ」
この"ハウスレス”、初めて聞いた言葉だ。
上手いこと言っているようだけれど、強がりなんかではなく、車の中では料理だってできるし、トイレやベッドもある。
塗装して、インパクトでネジを打ち込んでカスタマイズ。
あれらが家ではないなんて言わせない。
それに帰る場所があるという事だけではなく、前を見て生きている。
夢や目的が彼女らにはある。それが決定的な違いだと思う。

ノマドは英語で「遊牧民」という意味。
自らなった人もいれば、そうではない人、ボブが言っていたように野に放たれた、まさに「放牧民」もいる。
どんな経緯にせよ彼女らは助け合いが不可欠で、そのコミュニティーというのが本来人が1番大切にしないといけないモノなのではないかとしみじみ…
絆を育んだ彼女らの関係って何て言えばいいんですかね?
家族も友人も超越した関係ですよね。

1時間40分、ノマドを社会問題として扱うでもなく、逆に美化することもなく、1つの生き方として描くことに一貫していて、これら全てがリアルなんだと感じた。
ノマドは砂漠に咲くサボテンのように逞ましい。

プールサイド