劇場公開日 2021年3月26日

「存在を生きる」ノマドランド ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5存在を生きる

2021年3月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

アメリカの自然は厳しい。どこまでも厳しく、どこまでも美しい。その厳しさ故に人は家を建てて凌ぐのだが、敢えてそれをせず、どんなに厳しくても自由を重んじる人達がいる。どこまでも自由を求めるそうしたノマド達の姿を1年間掛けて描いている。
主要な登場人物二人以外はすべてそうした生活を実際に送っている人たち。スワンキーやリンダメイ達の姿は、人生の最期まで自由を求める彼等の生活と幸福と厳しさを、彼等の考え方を教えてくれる。
フランシス・マクドーマントは彼等の中に入り込み、役を生きる、というかファーンという存在を生きている…
彼等のそうした生活を前提として、クリスマス時期のみに迎え入れるAmazonや収穫期のみに雇用し彼等をキャンプサイトに住まわせるビーツ農場などは彼等を搾取しているように見えるが、むしろ彼等を尊重しているのかもしれない…
素晴らしい撮影による美しい映像と印象的なフォーキーな劇判がこの作品を唯一無二のものにしている。
アカデミー最有力は伊達じゃない。

ぱんちょ