劇場公開日 2021年3月26日

「ノマドという生き方」ノマドランド Kazuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ノマドという生き方

2021年3月27日
iPhoneアプリから投稿

主人公がノマドになったきっかけは企業の倒産、企業城下町の閉鎖、そして夫の死を受け入れ切れないといったものだった。だが、彼女は元々人とは異なる生き方を好み、何れにせよそうせざるを得なかっただろう。
ノマドの多くはそれしか選ぶ道の無い人達かもしれない。でも、主人公のようにノマドという生き方を選ぶしか無い人達もいる。その人達は自由を求めて、意味を求めて、自分を見つめるため、死んだ人を大切にする為にノマドを選ぶ。可哀想とか、辛いとか、そう感じることも多い生活に見えるかもしれないが、そんな言葉だけでは説明が付かない、もっと大切な何かのためにノマドという生き方を選ぶ。だから、そこに出会いが生まれ、友情が生まれ、恋が生まれ、別れがきて、気付きがある。

私はプロアクティブに孤独と不安定を選ぶノマドの生き方を羨ましいと思う。私は、街に住み、定職を持ち、家族と暮らす安定した生活を、自信を持って自ら選び、幸せだと感じながら暮らしている、と言い切れるだろうか?
ノマドは、ノマドとしての生き方を考え抜き、選び、生き、幸せを感じているように見える。
その証拠にエンドロールを見て欲しい。一本筋を通して生きるノマドの出演者の多くは、主人公を含めた2人を除いて実際のノマドなのだから。

そして、ノマド達が生きるアメリカの荒野は、いつも美しく、厳しく、素晴らしい。

Kazu