「格差社会の最下層」ノマドランド ノリック007さんの映画レビュー(感想・評価)
格差社会の最下層
漂流したくない働きたくない高齢者たちが、漂流しながら
でも働くしかない高齢者たちの姿を描いた映画です。
漂流しながらでも働くしかない高齢者たちは、映画を観る
ことさえできないと感じました。
映画を観るだけの生活基盤、経済基盤を持っていて映画を
観る人や映画評論家が、この映画を観て、何を、どう評価
したのか理解できません。
映画を観るだけの生活基盤、経済基盤を失いそうな人々は
この映画を観ると、何かを感じることはできるでしょう。
この映画をロードムービーとして評価する人もいますが、
ロードムービーは、成長し、将来に向かっていく姿に
自分や過去の自分を重ねることできるところが良いです。
この映画は、旅をしますが、年老いて、状況は悪くなる
一方で、最終的には死を想像させるところがあるので、
ロードムービーとしても暗く、厳しいです。
アマゾンの時価総額は、世界首位にもなる7968億ドル(約86兆6000億円)
もあり、新卒社員の年収1500万円、Amazonの創始者でありCEOの
ジェフ・ベゾス氏は、2018年に世界長者番付で1位です。
アマゾンは、どれだけの非正規雇用者から、利益を上げているのか
ということです。
高齢者たちが、労働力の調整弁として、利用され、声を上げる
こともできません。
定住し働くことのできる若年労働者が、漂流しながらでも
働くしかない高齢者たちに対する偏見は、精神的に厳しいです。
主人公が、定住し働くことのできる若年労働者や定住し働くこと
のない高齢者たちと過ごすことができないことが端的に表して
います。
正規雇用者が、非正規雇用者に対する偏見と同じです。
主人公のファーンを演じるフランシス・マクドーマンドは63歳です。
現代の日本でも、63歳で働かざる得ない人は多くいますし、減ること
は無く、増えるでしょう。
60歳を過ぎて働くことの過酷さは、若い人には想像することすら
できないほど過酷です。
60歳以上の人々でないと、実感できないと感じました。
日本政府や厚生労働省は、企業を保護するために、非正規雇用を増やし、
若年の労働者の減少に伴い、高齢者たちを労働力の調整弁として、
利用しようとしています。
高齢者たちの持つノウハウや経験には、リモートワークなどの社会環境
の変化に伴い、一瞬で使えないノウハウや経験になります。
高齢者たちの握力、上体起こし、長座体前屈、開眼片足立ち、
10m障害物歩行、6分間歩行、下肢筋力測定、Timed up & goテスト、
5m歩行、ファンクショナルリーチ等が以前より向上しているから
働くことができるというのは、嘘でしかありません。
握力、上体起こし、長座体前屈、開眼片足立ち、10m障害物歩行、
6分間歩行、下肢筋力測定、Timed up & goテスト、5m歩行、
ファンクショナルリーチ等が必要とされる仕事はないからです。
日本は、非正規雇用が広まり、一人当たりのGDPが下がり続け、
格差は広がり、少子高齢化が進み、65歳までは働かねばならず、
将来的には70歳まで働くことになり、財政赤字は増え続け、
増税されることになるでしょう。
日本政府や厚生労働省は、間違っていて、日本に将来はないと
感じました。