「【”自国の民に銃口を向ける国に未来はない。”1962年、旧ソ連で起きた「ノボチェルカッスク事件」を描いた作品。暗澹たる気持ちになるのは、この事件が30年の間、徹底的に隠蔽されていた事実である。】」親愛なる同志たちへ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”自国の民に銃口を向ける国に未来はない。”1962年、旧ソ連で起きた「ノボチェルカッスク事件」を描いた作品。暗澹たる気持ちになるのは、この事件が30年の間、徹底的に隠蔽されていた事実である。】
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・全体主義且つ独裁国家は何時かは滅びる事を、今作を観て再確認した。
・今作で、物価高騰や、賃金カットによりストライキを行った、国営工場の労働者たる民衆に銃口を向け、虐殺したのはKGB(カー・ゲー・ベー)となっている。
- 現在のロシアを統べる愚かしき男がKGB出身である事は、周知の事実である。-
・熱心な共産党員で、ノボチェルカッスクの市政委員であるリューダの娘が、ストライキに参加し行方不明になるシーン。
- キツイ女、リューダが、旧ソ連の最高幹部たちを前に”反逆者には制裁を!”と会議で叫んだあと、彼女の娘は行方不明になる。
彼女の国家への忠誠心と葛藤しながら、愛する娘を必死に探す姿。アイロニカルであるが、リューダの姿は心に響く。-
・今作は、徹底的に共産主義の理想と、厳しき現実の隔たりを炙り出している。
・虐殺が行われた数日後に、党の意向で町で祭が行われるシーンも、実に監督の意図を上手く反映している。
<全体主義の危うさ、情報統制国家の恐ろしさを克明に描いた作品。現況下の状況を鑑みると、人間とは過去から学ばない生き物である事が良く分かる。
今作では1962年、旧ソ連で起きた「ノボチェルカッスク事件」を描いているが、2022年の現代、旧ソ連を継いだ国が行っている事・・。
それにしても、今作はアンドレイ・コンチャロフスキー監督だからこそ、制作出来たのであろうか・・。(ラストの描き方などで、当局の検閲を逃れたのでは・・、と私は思った。)
今作で描かれた事には背筋が寒くなるが、観る側に大切なことを訴えかける力を持った作品である。>
<2022年5月22日 刈谷日劇にて鑑賞>
幾多の歴史家や哲学者や文学者が、歴史に学ぶことの重要性を、幾度も繰り返し訴えてきたのに、必ず歴史に学ばない権力者がまた出てくる、ということを、今、世界はまざまざと思い知らされていますね。
これだからシン・ウルトラマンに出てくる外星人が地球人を放っておいて大丈夫か?と心配になるのももっともですよね。