劇場公開日 2022年4月8日

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「モノクロームを通じて身の震えが伝わってくる」親愛なる同志たちへ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0モノクロームを通じて身の震えが伝わってくる

2022年4月11日
PCから投稿

なんとも痛烈なタイトルである。60年代、ソ連の南部にある街で起こった労働者たちの大規模なストライキが、無差別銃撃事件へと発展していく過程をモノクロームで描いた作品だ。興味深いのは、ストライキの参加者が主人公というわけではなく、むしろこの混乱をどう収めるか頭を悩ませる”市政委員の女性”にスポットを当てていること。党への忠誠を誓う彼女の瞳を通じて、フルシチョフ政権が派遣する軍やKGBの暗躍、人が逃げ惑い命を落としていく凄惨な状況が浮き彫りになる。そして彼女自身も一人娘の行方を探して街を彷徨い続けーーー。徐々に不安と絶望に覆われていく主演女優の演技に言葉を失う一作だ。この事件から60年が経つが、時代は何も変わっておらず、「力で抑える」「恐怖で治める」ことがもたらす悲劇はいまだ無くならない。現在TVやネットを通じて伝えられるウクライナの凄惨な光景もまた延長線上にあるものではないかと意識させられた。

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牛津厚信