「ソ連での市民虐殺事件を描いたコンチャロフスキー監督作」親愛なる同志たちへ たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)
ソ連での市民虐殺事件を描いたコンチャロフスキー監督作
オンライン試写会にて鑑賞。
まさに現在、ロシア軍がウクライナ侵攻という戦争(プーチンが起こしている戦争)の真っ只中で、ソ連内での虐殺事件を描いた映画だった。
旧ソ漣で実際に起こったソ連軍による市民虐殺事件を描いたアンドレイ・コンチャロフスキー監督作品。
1962年、ソ連の工場で賃下げに抗議する労働者たちのストライキが起こった。
フルシチョフが目指していた豊かな共産主義に陰りが見えてきて、食料品や日常生活品が品薄になってきた状況で起こったストライキ。
これに危機感を覚えた政権は、スト鎮静化を図ったが、なかなか収拾できずにいた。
そんな中、軍隊に持たせた銃を発砲させ、ソ連軍による一般市民への銃撃が始まった。
共産党員で市政委員の女性リューダは、18歳の愛娘の身を案じて、地獄のような風景の中を必死に捜索する。そして、彼女が見た真実とは……といった社会派映画。
個人的に、映画を観て政治を語るのは殆どしないが、この映画はソ連という国の暴挙を描いた作品であり、政治に深く関与する映画である。
熱心な共産党員で市政委員の課長もしている女性は、共産党国家の掲げる方針に忠実であり、会議の場でも「ストライキを起こした中心人物は全員逮捕すべき!」などと発言するものの、自分の娘の生死不明の状況では母親としての姿勢も見せる。
苦悩に満ちた映画であり、こうした映画を観ると、現在ロシア(プーチン)が起こしている戦争をロシアはどう考えているのか?、早く戦争を止めてウクライナから撤収すべきではないか……と思ってしまう。
本作をアンドレイ・コンチャロフスキー監督が作ったのは2020年なので、ロシアによるウクライナ侵攻前だが、やはり現在ロシアが起こしている戦争を考えさせられる。
「No More WAR」と思わせられる映画。
(※)評点は付けられない。
<映倫No.49114>