私をくいとめてのレビュー・感想・評価
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ざっぱーん
大九明子監督、いいですね。
主人公みつこ(のん)が、気楽なひとり暮らしで、妄想相手に楽しんでるところは、「勝手にふるえてろ」と同様の設定。ただしこちらは、妄想世界ではなく、脳内話相手のA。姿は見えないけれど、主にAの声(中村倫也)とのやりとりで物語は進んでいく。やりとり、と言っても自問自答なのだけど、これがなかなか軽妙で楽しい。中村倫也の声も合っていて、絶妙の間合いで会話が弾む。
のんのクルクル変わる表情と、時折見せる感情の暴発が見どころのひとつ。コミカルに自問自答しながら、暴走していくあたり「勝手にふるえてろ」に負けない走りっぷりだ。多田くん(林遣都)との、進みそうで進まない恋愛模様がまた、物語を彩る。多田くんは年下の設定のようだけど、ここだけは少し違和感あったかな。
多分監督も私と同じ年代だからか、大好きな大滝詠一の「君は天然色」がバリバリに使われていて、びっくりとともに大満足。飛行機の中の文字が飛び交う演出が、遊び心満載で好きだな。奇しくも明後日は大滝詠一の命日。こうして映画の中で使われるのも良い供養ですね。
何はともあれ、若い女性の妄想全開の大九ワールド、またまた楽しめました。
前野朋哉の場面 声は中村倫也のままでお願いしたかったです
みつ子(のん:能年玲奈)は小さい会社勤めのひとり暮らしの女子(30前後設定)。ひとり暮らしが楽で、他人と密に長くいるのが苦手。飛行機も超苦手。多重人格ではなく、独り言を言うわけではないが、自分の中のもうひとりのAとのやり取りを日常として精神のバランスを保っている様子。Aの声は中村倫也が担当。下着は攻めているものの、男性経験はほぼなしかな。好きと思える会社の取引先の年下の営業マン多田クン(林遣都)との付き合いもストレスを感じてしまう。パニック障害傾向あり。
原作は綿谷りさ。後半のネガティブに切れるところと前半ののんならではのほのぼのムードのギャップが見どころ。
会社の先輩(臼田あさ美)も大事な心の支え。この先輩の憧れの男性社員がかなりのキモキャラ(ご本人には悪いが、どこがイケメンなのかさっぱりわからん🙏)。圧巻は東京タワーでの、まるで織田信長に藤吉郎(豊臣秀吉)が懐で温めた草履を用意したエピソードを超えるほどのシモベと化したシーン。片膝をつき、反対のふとももに彼氏の足を乗せ、足用ホカロンを貼る手際の良さに、口がポカンでした。
「みんな生まれながらのおひとりさまなんだよ。人といるためには努力が必要。」深い。深すぎる。痛い。痛すぎる。
若い男をさりげなく自慢する「山田真歩」とそのお連れのワンピのトーンダウンの共有はなかなか面白かった。まあ、それだけだけど。
みつ子自身の一番のトラウマは会社の課長に食事デートに誘われたエピソード。映画館(ヒューマントラスト渋谷でした)のカットに引き続き、あのビルの一階の Tomorrowland での刺繍がかわいい高いワンピースやパンプス、バッグの衝動買いからの背伸びした厚化粧デート後の強烈な自己嫌悪と相手に対するねちっこい呪いの言葉。お給料の2ヶ月分ぐらいは買ってたので、妄想なのかもしれないが、なんか、今日が初出勤の水商売のティーンエイジャーみたいで、うんと痛々しかった。おじさんコーラスグループの映画(星屑の街)では水玉模様のワンピースがすごく似合ってたのにね。
嫌いな人の披露宴で貰った日帰り温泉チケットはやっぱりツイテなかったね。
橋本愛(さつき)はキレイでした。のんのセリフにもちょっとあったけど、遠くに行ってしまった感を、こちらもしみじみ感じてしまいました。ふたりで泣くシーンはとても自然で、いいお芝居でした。ゴメンって言っちゃいけないところだったけどね。やはり後で、みつ子には腹にいちもつあったみたいで、荒れてましたね。もう、イタリア行かないんじゃないかな。飛行機駄目だし。
飛行機のなかの「君は天然色」のシーンはなかなか楽しめました。のんが天然だからね~ かれこれ、40年前の歌なんだけど、色褪せないですね。大瀧詠一は亡くなってしまったけど、のんのテーマソングとして復活って感じでした。
隣人のホーミー(モンゴル人?)は近所迷惑だわ。管理人通して、苦情を言わないと大変なことになるね。
足立区の商店街と古い住宅公団と思われる団地の部屋はなかなかのんちゃんにお似合いでした。コロッケ2つで80円は安い。さすが、足立区。北区の十条商店街も安いけど、あの惣菜屋のオヤジのニタニタがスゴく良かったから、若いふたりの密な関係を期待して、楽しめました。托鉢坊主の例え(映像化)は面白かったです。イライラする若いふたりでした。玄関あけたら、2分でベッドですよね。普通。
スタッドレスタイヤなしで、一泊したら、次の日も帰れないので注意しましょうね。彼女と泊まる口実でしょうけど。サイドテーブルのシードルは4%で、氷要らんでしょう。あぁ、じれったい。ホテルの廊下の電気の点滅はウルトラマンのカラータイマーのようでした。Aは飛んで行ってしまいました。
だらだら書いても仕方ないので、もうおしまいにしますね。
今出会えて良かった映画
誰もがおひとりさま
「私をくいとめて」観ました!
31歳おひとりさま女性のひとりを望みつつ、恋をした現実と理想を描いたドラマ。
「勝手にふるえてろ」の原作・綿矢りさ、監督・大九明子の最新作。
ヒロイン31歳おひとりさま女性・黒田みつ子をのん。
年下営業マン・多田くんを林遣都。
みつ子の親友・皐月を橋本愛。
これだけで最高なキャスト。
31歳おひとりさま女性・黒田みつ子はおひとりさま生活に慣れすぎて、脳内に自分のことを否定せず、求めてるアンサーを返してくれる脳内相談役Aがいた。
土日は1人でお出かけしたり、掃除や料理などをして満喫している。
誰もが1人を好むが、誰もが孤独を嫌う。
その孤独を補うためにもAという存在が必要なみつ子。
Aは自分であるが、Aがいなくなることを恐れ、行動に移せない。
そんなある日、年下営業マン多田くんとご近所が判明。
そこから謎のご飯をお裾分けする関係に。
そんなおひとりさまの日常。
序盤はみつ子の生活模様が分かり、多田くんとの関係にもやもやしている。
中盤で2年前に結婚した皐月との関係性により、みつ子とAの関係が分かる。
そして終盤にて行動を移すといった構成。
一見いらないような皐月との再会なども全てに意味がある。
皐月に会った際に、お互いの気持ちが理解できているのが、親友であり、支え合ってたことが分かる。
その中でAの完璧なアンサー。
また皐月という支えがいなくなった時、不安な時に代わりにAという存在がいた。
恋をして新たな支えができた時にAも消えてしまうのではないかという不安。
自分では決めれないからAと相談してきたみつ子。
しかし、Aも自分自身であり、今までもこれからもAではなく、みつ子自身で決めてきたことが分かる。
またみつ子の感情が周りの電気の点滅具合で表現されてるのも分かりやすい。
多田くんが来た時にはまだもやがありながら、帰る時に電球を変えることでもやがなくなっている。
またLINEの返信に対して、みつ子が1周くるっと回ることで電気の点滅具合の変化など見ていて気持ちいい。
飛行機での音楽の演出は良き過ぎる。
さらに皐月との関係性。
一目見ただけ、一声でお互い理解しあってる感がいい。
2人で泣くのが良い。
あまちゃん以来の共演であるのんと橋本愛というキャスティングがまた良い。
タイトルの「私をくいとめて」が来た時の最高潮。
ここで来るのかと思う。
またAのなんでもできるというのは、みつ子自身がまだまだなんでもできるという可能性を秘めている気もする。
1人でなんでも楽しんでいる側からしたら凄く分かる内容にも。
誰もが1人になりたいし、孤独を嫌う。
誰もがおひとりさまであり、誰にでも当てはまるような、そんな映画。
「みんな生まれながらのおひとりさまなんだよ。人といるためには努力が必要。」
独身女性の先輩の言葉が実は凄く刺さる。
全キャストがハマっていた。
のんとみつ子の可愛さが溢れてた。
のんと脳内の相談役Aとのやり取りが魅力の作品 特にお一人様の方は、...
心の壁、愛の橋
今年一番
今年一番良い映画とは言いたくない。なぜなら今年一番イタイ映画だったから。何がイタイかと言うと、イタイみつ子のイタイ狂気が分かってしまう自分がイタイ。
お一人様が歳下に恋ってラブコメだと思うでしょ?ヤラレタ。遣都くん目当てで見に行ったのに、遣都くんどーでもいい位のんちゃんが凄かった。
みつ子が飛行機に乗って息が出来なくなるけど、映画後半同調し過ぎて自分も息出来てなかった。
正直もう一度この映画を見たいとは思わないし、人にも勧めない。胸に刺さったものが苦しい。
自分では気づかなかったけど、私は思ってた以上に怒りを抱えてて、吐き出せてなくて、そしてそのことに傷ついていたんだな。知りたくなかった。
のんちゃんってキムタクと同じタイプでどんな役をやってものんちゃんでしかない。全然好きじゃない。
でも映画終わって1時間後くらいにまた泣いた。やっぱり凄い子なのかも。
誰もが、Aを内面に持っていたと思う
東京は一人暮らしが多い。自分もかつてはそうだった。そして内面にAがいたような気がする。
そして多田くんもAはいたと思う。そして、一人暮らし卒業とともに、結婚してもある程度入るかもしれないが、気がつくといなくなっている。
多田くん、のんともにその存在を忘れた時、ほんとうのカップルになったと言えるような気がする。
感覚的に
のんを見る
同じ大九監督×綿矢りさ原作の『勝手に震えてろ』と似てるテイストの作品。一見普通の人も心の中では様々な感情が蠢いていて、攻撃的にも悲観的にもなるが、その人なりの方法で処理をしているのだろう。そういう本音の部分を曝け出すような作品はすごく好き。もっとドロドロしていてもいいが、自分に重ね合わせて腹落ちさせるには良い塩梅だと思った。ただ、女性特有の嫌悪の感情の発生源に対しては男としてナイフで刺される思いがすると同時に、もっと社会的な認知を広げなければいけないと感じた。
全編出ずっぱりののんは、演技も表情もよくて、こんなに凄い役者だとは気づいていなかった。反省。
足立区のコロッケは安い。安過ぎる。
あんだけ買って¥390-? んな訳あるかいや!
と。突っ込み入れたのは私です。
「能年玲奈」の「カラスの親指」が2012年。8年前ですが、相変わらず天使です。と言うか、偉く立派な女優さんになったもんだよ。ってのが、先ずはある。橋本愛との共演も懐かしいけど。
エンドロール見て「中村倫也は何処に居た?」
Aの声役だったんですね。ホント、色んな事やるよね、彼。好感持てます。
お一人様女子の日常と非日常。内心の声を「A」と名付け、意思決定にも自己逃避にも登場させて自己防衛する女の子が、恋愛に踏み出すまでの物語り。
あっちゃこっちゃに飛び回るエピソードに振り回されて取り散らかした感はあるけれど、終始一貫、のんの演技と天然の天使感のおかげで、物語りから振り落とされずに済んだ気がします。
日帰り温泉でステージに向かいながら表情を一変させる場面や、閉鎖されたプール横での独白とかは、もう最高の演技で拍手もんです。色々あったけど、この子はやっぱり凄いわ。
綿谷りささんの原作で、脚本・監督が大九明子さんなんで、野郎には合わないかも知れないと懸念してましたが、全然大丈夫。面白かったです。
良かった。結構。
尚、あの海の場面で、スイスアーミーマン…と呟いてしまったのは私です。
大九監督作品らしい
「のん」ではなく「能年玲奈」だ!
のん映画
なんにも知らずに鑑賞。
勝手に震えてろに似てるな?
原作者、監督同じだった。
能年玲奈の演技すごいな。
自分は、はしゃいだ姿は、少し違和感がある。
しかし、自分の本心を暴露する所は、凄い!
演技を超えたものを感じる。
橋本愛、との共演。よかった。本当の友人なのかな?
別の観点から。
小道具がすごく気になった。
マジソンスクエアガーデンのバック。懐かしい。
グレーの袖側のスタジアムジャンパー。持ってる。
黄色い革手袋。
白いチルデンセーター。
ルービックキューブ。
だけど、なんで「のん」なんだろう?
芸能界の闇?本名なのに、名乗れないっておかしくない?
のんという個性
勝手にふるえてろ、よ、もう一度、という企画なのだと思うけど、前作の方がハマっていた気がする。自分。のんはそれ自体が貴重な俳優で、お芝居って何かを考えてしまった。極端な話、劇中納得もするし魅力的であれば決して泣き叫ばなくたっていいんだ。お芝居してないようにみえるのが最良のお芝居だと思うので。その意味で本作は「おひとりさま」から脱する女の子のエモーションがそれほどうまくいっておらず(要するに恋すること)、それをカバーする訳ではないのだろうけど芝居以外の小細工が横溢する。まあそれはそれで面白いのだけど、いろんなものが丁寧でないのが気になる。特に音。似たような設定の『おらおらでひとりいぐも』と比べると演出も音も圧倒的に弱い。脳内グルーブ感が薄い。小細工も編集が悪いのか、大滝詠一まで流れていながら乗り切れない。のんの声というとどうしても『この世界』の冒頭のひと声で世界に没入するほどの威力があるのでそれを期待してしまう。
逆に前作にあった雑な感じのテイストの監督とのんの持っている能力がマッチしてないのか。
芸人のところも別に叫ぶ、爆発するのが表現という訳でもないのにね、のんの個性を考えたら、と思ってしまった。同じ爆発でも『この世界』が如何に個性を活かしてそこに至るまで含めて演出されてたのかを思い知ってしまった。
共感か?あるあるか?
予告で気になって観賞
主演ののんはやはりこの世界の片隅にの
素朴で淡々としつつ強い思いを秘めた女性すずの
インパクトが強烈でずっこびりついている感じです
今作の感想としては
・とかくのんの怪演に圧倒
・アラサー女子主人公ながらどこか誰にも刺さる感じ
・こういう人いるよね
・こういう人はいる…かな…
・中盤までがややしんどいも
・後半は仕掛けが色々効いてくる感じ
など不思議な作品でした
都内でOLをしているアラサー女子の黒田みつ子は
自分でプチお局さまと言うくらいの「お一人さま」
ながらそれを満喫していたがそれは何故かというと
自分の中に「A」というもうひとりの自分がいて
みつ子を絶対否定せず悩んでいるときも
イケメンボイスで励ましてくれたからなのでした
Aは(みつ子)自身なので事前の予定にうるさかったり
しますがみつ子を絶対に否定しません
ですが結局自分なので結構無責任な事を言ったり
都合が悪くなると出て来なくなったりします
このへんで主人公の心理変化をうまく
表現しているのですがじゃあ客観的にはどう見えるのか
というと独りごとを言っているようにしか見えないので
周囲の人には当然奇妙に思われがち
ですがこの話は周囲の登場人物も全体的に
ヘンな人が多いので気になりません
そのせいで埋もれちゃってる気もします
結局会社でどういうポジションなのかもよくわかりません
(まあまさに「よくわからないポジション」なんだろうけど)
話の展開をギャグ的に振ってしまうので
共感よりはあるあるネタに見えてきて軽くなってます
のんの迫真の演技は目立ちます
演じているのか本音なのかわからんくらいの剣幕を
見せつけてくるシーンもあります
そういう見方でも十分なくらいの映画でした
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