「いまの世相をかんがえると」私をくいとめて kozoiさんの映画レビュー(感想・評価)
いまの世相をかんがえると
アラサーが「恋に奥手、このままひとりでどうしようかしら」みたいな悩みが贅沢すぎるというか。まじでどうでもよい。好きにしろ。
ブライダル総研の「恋愛・結婚調査2019」の調査結果によれば、(全国20~40代の未婚男女2400人を対象にした調査で)恋人がいる割合32.1%。いない割合は67.9%。
とくに男性20代の約4割が「交際経験がない」。女性20代は約2割が「交際経験なし」。
もはやバブル以前のような「20代のうちにすてきな恋愛をして結婚をする」のがいろんな事情でできなかったり、必要なくなった。それどころか恋愛や結婚出産のリスク部分が拡大されるようになってきた。
経済的事情、信条、そもそも1人が好き。個別の事情は色々あるだろう。
そこへきてみつ子(能年玲奈)は「おひとりさまでなんでもできる」と自己暗示のように唱えるくせに、イイ男(これも幻想)がでてきたらアプローチのしかたわすれたーどうしよーとウジウジした悩みを2時間以上かけて見せられる。さすがに退屈。芋虫の移動を2時間観察してるような映画。
アメリカじゃ「ブックスマート」っていう根暗女子2人が一夜にして高校生活の鬱屈した思いをぶっとばしトップに上り詰める、子供から大人に成長するパーティ映画が公開されている。
ブックスマートと私をくいとめてでは悩みの質が違うのでなんとも言えないし、能年玲奈の1人長台詞とかみどころもある。
女芸人が酔客に絡まれるくだりから繰り出される女性の怒りは、metooの問題提起をわかりやすく示していた。もともとあった女性に対する嫌がらせや暴力を、もうやめにしようね、というの。あそこはよかった。
話が逸れましたが、そもそも「みんなに取り残された」「恋愛ができない」みたいな悩み自体、歳をとれば取り返しがつかないしはっきりとどうでもよくなるので、なんでこんなことに悩むのやら、まったく共感しがたい。
「そんなに恋愛しなきゃダメなのか?」というのが結局のところポーズでしかないのがダサい。
この映画ではその一部しかみれないけど、恋愛や結婚をしていけば相手のやなところばかり目につくようになる。その入り口に立つところで2時間もかけて終わっていくというのはほんとに時間の無駄以外のなにものでもない。あと、前野朋哉がでてきたとこの「おもしろいでしょう」みたいなノリ。最悪な。