「女のひとってとても根深い」私をくいとめて 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)
女のひとってとても根深い
「勝手にふるえてろ」の大九明子監督作品なので、観てみた。作風は同じような感じで、監督名をみなくても大九監督作品だろうなと想像できそうだった。独白が単調になりそうなところを、Aという自分の分身を相手に置くことで工夫している。
映画づくりの基本はという教科書的な物言いで、”映画は映像で語るべき、主人公の独白は避けるべき”というのがあるけれど、この映画のテーマではそれを破った方がおもしろいという実証。重くならずに、コミカルで、映像も真面目に切り替わらずにあちこち飛ぶようにつながり、こころの表と闇を描くところは大九監督の真骨頂。
のんの演技も効いている。どこにでもいそうでいなさそうな朴訥な清涼さと、闇を一緒に抱えてそうな独身女子。カットも主人公の佳境な演技のときはぐっと寄りでとらえていて効果的だった。独身女性に共感を呼びそう。
コメントする