劇場公開日 2020年10月23日

  • 予告編を見る

「ロックが商業化される前の話なんだが・・・」ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった はるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ロックが商業化される前の話なんだが・・・

2021年7月3日
PCから投稿

「ラストワルツ」は随分と前に観ていた。有楽町のスバル座という、今はすでに閉館してしまった映画館でだ。エンドロールが終わって館内が明るくなるまで動けなかったことを鮮明に覚えている。仕方のないことだけれどロビー・ロバートソンの創った映画なのだ。自伝映画みたいなものだから、想像だけれど過去を脚色していることは紛れもないだろう。カッコ悪くは作らない誰だってすることだ。この映画を観る少し前にグレートフルデッドのドキュメンタリーを見てしまっていたので比較してしまった。時代もほぼ同じ、ディランのバックをやったバンドでもあった。しかしながら、バンドとしてのスケールが余りにも違い過ぎていて、ロビー・ロバートソンが可哀そうになってしまった。それは人としてのジェリー・ガルシア(グレートフルデッド・リーダー)の大きさの凄さだった。バンドスタッフ全部をひとまとめにできる統率力はサウンド・ウォールを作り上げたことで立証されてしまっている。半端なヤクザプロモーターなど傍にも寄れぬそのパワーはこの時代の最先端を走っていた。チライブチケットの販売にいたるまですべてを彼らが仕切ってしまっていたのだから・・・・そして、なによりも誰に阿ることもなく(観客も含めて)自分たちの気に入った音楽しか演らなかった。ロビー・ロバートソンは苦しんだと思う。レコード会社にプロモーター・・・そして何よりもディランに阿なくてはならなかったろうに・・・・ひどく疲れ果てて出来上がった曲が「ラストワルツ」だったんじゃないのかな。したがって名曲となったんだ。
ディランは余りにも難解すぎたんだ。

はる