VIDEOPHOBIAのレビュー・感想・評価
全7件を表示
「ポスト・トゥルース」へようこそ ネット社会と恐怖症
人間を見守る天使の瞳が、人々を監視するカメラアイとなって地上を覆うさまを、ヴィム・ヴェンダース監督は『ベルリン・天使の詩』から『エンド・オブ・バイオレンス』へのシフトで描いた。恋人が愛しているのは実際のところ自分の何なのか、と錯乱した女が整形を試みる姿をキム・ギドク監督は『絶対の愛』で描いた。そして、『VIDEOPHOBIA』になると、積極的にプライバシーを晒し、時にはプライバシーの切り売りが商売にさえなるネット社会で、不意にプライベートの情事をネットに晒された主人公が、最終的に整形で別人になる姿を描く。
監視を私たちは内面化した。内面化した末に順応し、見られることに無頓着になった。あるいは、快感になった。主人公の青山(朴)愛が、冒頭でPCの画面越しに肢体と自慰行為を見せるチャットレディのアルバイトをしているシーンがある。そして、行きずりの男との情事をネットのアダルトサイトにアップされ動揺する。ここには、パブリックとプライベートの揺らぎがある。ネット社会はその境界を曖昧にする。また、その動揺を抱えて参加した被害者同士のピア・カウンセリングの場で、リベンジポルノの定型的な被害体験を聞かされる。そしてまた、被害を訴えた警察には、ポルノ投稿サイトの年間総視聴時間が膨大であることを告げられる。そう、被害者当人にとって切実な問題が、社会から見ると「ごくありふれている」という残酷さ。
さて、主人公は女優の卵であり、演技のワークショップで別人を演じたり、アルバイトで着ぐるみを着て働いている。そしてこれは微妙なところだが、「在日」という属性を持つ。つまり、自分でない者になりたい、というアイデンティティの揺らぎがある、とも見える。そうした願望は、まさかではあるが、情事の動画を晒される、というトラウマティックな体験がきっかけで叶うことになる。強烈なアイロニーだ。
プライバシーとテクノロジーが交差する地点に「見られることへの恐怖」が生じる。しかしその「恐怖」がパッケージされて売られる社会のさらなる恐怖を私たちは知っている。
ところで、青山が自分だと思われる女が映っている動画を見返していると、明らかにアングルがおかしいのだ。とても盗撮で撮れるような映像ではない。彼女は何を見ていたのか。「真実」も「本質」も見たくない、刺激的な「虚像」だけを見せてくれ。ネット社会はそんなニーズに応え続ける。
何故、コリア?何故大阪?
この疑問は遂に解答を得ず終了。
コンセプトと環境がイマイチ理解できないまま観た映画だったが、ある意味クローネンバーク調と言えばそれらしく、ミニシアター向けと言えば都合良い映画だった。と言うのがリアルな感想◎
個人的には不思議な縁で繋がり得たBaku君のエンドミュージックで救われた。
丁度今、本作監督作品のオンラインフェアの模様。
しっかり観て評価を確定させたいものだ。
そんな解決策もあるよなぁ
大阪の実家に帰って来た女性がバイトをしながら演技の学校に通っていて、クラブで知り合った名前も知らない男と一晩寝て、その時のセックスをビデオ撮影されていてネットに流出されてしまう。そして警察に行ったりカウンセリングを受けたりして・・・という話。
まぁ、そんな解決策もあるよなぁ、って思った。
題は、ビデオ恐怖症、って意味なんだね。
モノクロにした理由もイマイチよくわからず、怖さや悩んでる感じもあまりみれず、平凡な作品に感じた。
主人公の女性役の廣田朋菜が胸も出してのセックスシーンを熱演してた。
予告編以上のものなく、、
予告編を何度も見たので、興味を持ち、観に行きましたが、予告編の醸し出すイメージとは違う設定、ストーリーだった。今時の話のようだが、演劇ワークショップも最初はなにかの疾患や障害を癒すワークショップ的なものか、主人公の女性はなにか障害か病があるのかと勘違いしたし、役者志望の人?で途中でわかり、家の人の会話、鶴橋の風景なんかそれなりに面白いし丁寧に入れ込まれた感じなんだがあまり関係ないようだし。白黒画面、今の設定らしいストーリー、登場人物や団体の時代感雰囲気陳腐さ、、が、全体にミスマッチでした。珍しく予告編に悪い意味で裏切られた感じが残念。
サービスデーだから観たが…
生活感ある映像や話が色々出て来た後、ようやく本線と思われる展開。
その後も伏線のような話が出て来るものの結局、本線とはほぼ無関係のまま薄っぺらいオチで終了…
昔8ミリ自主上映会に行くと山ほど観せられたような、ムダに白黒使った素人芸。
スキルに嗜好に性格までも?
20代女性が、クラブで出会った男の家について行き、致したところ、映像が撮られていてネットに流されてしまい、という話。
明らかに現代劇だけど、モノクロということは関係なしに、鶴橋という土地柄かどこか古臭い世界観。
バイトや演技のワークショップらしきものや、祭の件に鶴橋について語る人の映像がが差し込まれ、中々本題に入らず…地域振興映画という感じでもないだろうに。
本題に入ったら、それ自体は悪くないけれど、主人公のリアクションが大人し過ぎて感情が入って来ないし、アメリカの最新のヤツの件も前の人を踏まえてとか、変な掛け声とか???
正に変な宗教じゃないですか。
ラストも、一応一個だけ長い前振りのネタが回収されたけど、それだけですか?
そもそも、そんな怪しげなところでやる必要もないし、そこまでして梅香って。
アイデンティティがどうのというなら、そもそも本名で良くない?
尺の割に中味が薄くもの足りず、ショートだったら良かったのにという印象。
全7件を表示