劇場公開日 2020年9月25日

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「女性を型にはめる社会への皮肉、監督それぞれの個性も楽しめる」蒲田前奏曲 かわちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0女性を型にはめる社会への皮肉、監督それぞれの個性も楽しめる

2020年10月11日
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鑑賞方法:映画館

女性を生きることへの弊害と社会の皮肉を映し出す、オムニバス形式の映画。こうしたオムニバスは初めてだったが、一貫したテーマと、監督がそれぞれで放つ「女性の生き方」が感じられ、とても良かった。
4作品どれも痛烈に映ったが、特に印象的だったのが、2番「呑川ラプソディ」と3番「行き止まりの人々」だ。「呑川ラプソディ」は、自身の生き方に不満はないものの、女としての幸せが型にはめられていることをむき出しにする作品。みんな一緒みたいな顔も、箍がはずれたように出てくるボロも。すごくまとまっていて面白かった。3番の「行き止まりの人々」は「#MeToo」運動もエンターテイメントで消費されることの危機感を痛烈に風刺している。演じなければならないシチュエーションは、実際に襲われたときに、自身を守るためには必要とする監督が憎い。「ミッドナイトスワン」の監督がツイートしたような言葉に見える、ある種の危機感が映し出されている。
短編でありながら、どこか線で繋がっていることで、監督のメッセージがより浮き出る。監督の好みも含めて楽しめる一本。

たいよーさん。