「下衆」おとなの事情 スマホをのぞいたら U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
下衆
公開処刑な設定とあざとい演出に萎える。
イタリアのコメディのリメイクらしいのだけど…果たして日本に当てはまるのかどうか甚だ疑問だ。
「やましい事が無ければスマホを見せれるでしょ?」この至極厚かましい持論に免罪符を与えたような作品。
全てを共有する事になんの真理を見い出すのだろうか?俺にはさっぱりわからん。
女性ならば共感する人の方が多いのだろうか?
言えなかった事、もしくは知りたかった事が白日の元に晒されて満足なのだろうか?
言い出しっぺはやっぱり女性。
しかもネガティブな思考ときてる。彼女は自分1人では出来ない事に仲間を巻き込む。
秘密を暴露される結果になるのだけれど、彼女の提案に対する非難は全くなく話は進む。
そして、誰1人としてその場を離れようとしない。なんの躊躇いもないかのように隣の席に座る。
スマホが鳴ると該当者はビビる。
…なんつうくだらん演出か。やましい事がないって前提で出したスマホが鳴る度にあんなに躊躇ってたら、やましい事があるのがバレバレやろ?
誰もそこは知らんぷり。クソ演出も甚だしい。そんな風にしか逃げられへんねんやったら、こんな題材をするな、情けない!
相当なダメージを受けつつ、ハッピーエンドに向かいつつある空気感も気持ちは悪いのだけれど、許容量を超える感情の行き着く先としてはナシではない。
ナシでは無いが、皆様自分の失態に無頓着すぎないか?あんなもんか?
どおにも何かを上塗りされてるようで居心地が悪い。
結局は「建前と本音」な展開なのだけれど…建前を取り繕うのが悪しき事だと俺にはどおしても思えない。
ラストは和気藹々と食事をしてるとこに鳴り響く着信音。皆の注目がスマホに注がれ、楽しそうだった空気が消える。
…まぁ、そうだよね。
なんつうか、晒し者を皆で笑ってるみたいな感じで気持ち悪い。で、笑ってるのはおそらく自己肯定感の塊のモンスターどもだと思われる。
「私は悪くない。だって責められるような事してないもの」それ自体が不寛容だと言われても改める事は決してない。
秘密を持つ事がいいって訳ではないけれど、秘密を暴露する事が正義とは断じて思えない。
だから、下衆ってタイトルになった。
あとは…俳優陣が優等生すぎるのか、演出がスタンダード過ぎたのか、予定調和を最後まで崩せずにいた。鈴木保奈美さんが1箇所食い気味に話し出したとこくらいだろうか?アレはチャレンジだったのか、ただのミスなのだろうか…とにもかくにも人の話をしっかり聞くわ、誰かの台詞の時には全然動かないわで、随分とお行儀が良かった。
そういうシステムを考えても、このシチュエーションが日本に当てはまるとは考えにくい…。
私見ではあるが、日本では「私らしく」よりも「良い子」である事が推奨されてるような気がする。
個性を封じ込める教育を施しておきながら、社会に出た途端、オリジナリティを発揮しろなんてスローガンを掲げられる。
そんなクソみたいな下地がある民族には、この手の話は異次元の掛け合いにも思えてしまう。
誰1人として納得できる人物像ではなかった。
東山氏のゲイは、意外と違和感がなかった。
おそらく評価の高い方は、やましい事がない方なのであろう。他人事と思って笑えるだろうから。
評価の低い俺なんかは、やましい事がある人だ。
やましい事がなかった事などなかったので、やましい事がない人の精神状態が全く理解できない人である。