ようこそ映画音響の世界へのレビュー・感想・評価
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音は映像並みに重要
映画における音は、映像の従属物扱いを受けがちなところがある。「あの映画の、あのシーンすごい映像だったね」と感想を言い合う光景はたくさん見かけるが、「あの映画の、あの音すごいね」とはなかなか言ってもらえないように映像ほどに注目してもらえない(音楽は別だろうが)。でも映画において、実は音は映像並みに重要なのだ。少なくとも名だたる巨匠はそのことをわかっている。このドキュメンタリー映画を見るとそれがよくわかる。
この映画は、あの映画の名シーンにさりげなくついている効果音があるからこそ、感動的なのだという瞬間をいくつも見せてくれる。音がないと陳腐な映像も絶妙な効果音で見違える。
筆者は自然音が効果的に使われる作品がすごく好きだ。この映画で取り上げられている作品だとアルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』あたりだ。環境音がたんなる雰囲気作りだけでなく、感情を高める効果に使われている作品だった。
近年、ドルビーアトモスなどの特殊音響上映が人気になっているので、音への注目度が上がっている。良いことだと思う。音を知ると映画の感動はもっと深まる。この映画を見て、映画の感動をどんどん深めてほしい。
コレを観ればアカデミー賞の音響部門への興味が倍増!
音響効果スタッフとして経験を積んだ監督が、ハリウッド業界人の協力を得て、映画音響の歴史と魅力を伝えてくれるドキュメンタリー。ハリウッドでも70年代まで映画のサウンドトラックがモノラルだったという話に驚いたが、とにかく普段はあまり意識されることのない映画音響の入門編として、最高の入口になってくれる。
音響の効果を伝えるために、映画館の音響設備を前提に作られているので、5.1chのホームシアターが用意できないなら、映画館で鑑賞するのがマストだろう。どこでも上映しているような作品ではないので、近場の映画館でやっていたらすぐにでも飛び込んだ方がいい。
ただドキュメンタリーとしては不満もある。入門編としての役割に重きを置いているからか、広範な音響の役割を総ざらいしようとしたせいか、もっともっとマニアックに掘って欲しいと思ってしまう要素がサラッと処理されてしまう。その代わりに音響スタッフたちが仕事のやり甲斐を語り、感動的に盛り上げたりもするのだが、仕事そのものが充分に感動的なので、テクニカルな部分こそ、さらに深層まで知りたいと思ってしまう。
まあ、掘り始めたらキリがないのとは思うので、第二弾、第三弾もぜひ作って欲しいところ。さすがにマニアック過ぎて望み薄かも知れませんが。
音でたどる映画の歴史。メジャー作品が多く、実際の映像を見て(聴いて)いるだけで楽しい
著名スタッフの貴重な証言を交えながら、映画のサウンドデザインの歴史とこだわりを知ることができるドキュメンタリー。無音声、トーキー、5.1chサラウンドと、裏方スタッフの試行錯誤によって映画の音響が進化していったことがよく分かります。
エポックとなった映画の映像と音がぜいたくに使われていて、それを実際に映画館の音響で聴くことができただけで、良い体験ができたなと思いました。開始早々、音響目当てで映画を複数回見るきっかけになった「プライベート・ライアン」の戦場の音について触れられていたのが、個人的に嬉しかったです。
取り上げられているのは、「スター・ウォーズ」「地獄の黙示録」「エレファント・マン」「ジュラシック・パーク」「トイ・ストーリー」「インセプション」「ブラックパンサー」などメジャー作品が中心。少しでも映画の音に関心がある方に、広くお勧めできる1本です。
明日から映画の見方、聴き方、感じ方が変わるかもしれないドキュメンタリー
かつてスピルバーグはTV番組「アクターズ・スタジオ・インタビュー」の中で、映画をよりよく理解するためのアドバイスとして「試しに音を消して観てごらん。映像がどうやって繋がっているかよくわかるから」と語ったことがある。これは裏返すと「音」の影響力がそれほど巨大なものであることの証だったのだなと、本作を見て改めて感じた。
本作は映画の「音」を巡るドキュメンタリー。サイレントとして始まった映画技術が、やがてトーキーとなり、音楽や効果音を用いるようになり、さらには立体的かつ迫力ある音の響きがより大きなファクターとなって現在に至るまでを、様々な音響技師の功績に触れながら描いていく。歴史的名作から超大作まで、登場するフッテージは盛りだくさん。スピルバーグ、ルーカス、ノーランら重鎮たちも映画音響の重要性やこだわりを熱く語る。「音は感情に直結する」。誰かが本編中で口にしたそんな言葉がとりわけ胸に刻まれた。
映画では「音響」が第3の目になっていることを実感できる作品。これを見た後では映画の見方さえ変わる!
映画を見る際には「音楽」だけでなく、「効果音」なども含めた「音響」の存在が、思っていた以上に重要なことが、作り手目線から客観的に分かるようになりました。
過去の名作と共にスティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、フランシス・フォード・ コッポラ、ジョン・ラセター、そしてクリストファー・ノーランなどが登場し、よくある「芸の少ないドキュメンタリー映画」とは違って、構成も巧みな「引き出しの多い興味深いドキュメンタリー映画」になっています。
第1回アカデミー賞で作品賞を受賞した「つばさ」の時は、あんな形式で上映されていたのか、など、「映画の歴史」と「進化の過程」も面白く、「映像技術」と同様に「音響技術」の進化があったからこそ「今の映画」があることを見事に表現できていました。
これまでは、「目に見える映像」で認識しているといった錯覚をしていましたが、実は「音響」によって、2つの目では「見えない映像」を見えるようにまでしてくれていたのですね。
本作を見てからは俯瞰でき、映画の見方さえ変わっていきそうな作品でした。
アカデミー賞などでも「評価に共感できる感性」が深まることになったと思います。
これから映画業界を志す人にも
自室に5.1chのスピーカーを組んでいるサラウンド好きとしては、喝采を送りたくなる好企画。「百聞は一見に如かず」の諺どおり視覚の情報量は聴覚のそれを凌駕するため、映画はえてして映像面が注目を集め熱く語られがちだが、音響が観客に与える効果も実に重要であることを、名作・話題作からのシーンを多数例示しながら解き明かしていく。
60年代のビートルズのレコーディングにおける実験精神が映画音響にも影響したこと、「スター誕生」で主演のバーブラ・ストライサンドがステレオ上映を熱望して実現したこと、コッポラ監督が日本のシンセ奏者・冨田勲のマルチチャンネル録音アルバムに衝撃を受けて「地獄の黙示録」をを5.1chサラウンドにしたことなど、興味深いエピソードの数々と共に映画音響の歴史も語られる。登場する音響編集者たちも皆いい顔をしていて、音響に限らずこれから映画業界で働きたい若手にも大いに刺激になりそうだ。
映画が大好きな理由の再確認
文字通り、映画音響の進化について、丁寧に映画の歴史、発展を紐解きながら、超一流の音響関係者の証言を構成して行くスタイルで説明されていきます。
音響に魅せられて(ってか、ガルパンの砲撃音からのIMAX、爆音上映、LIVE ZOUND、ドルビーアトモスなどなど)、映画沼にハマった身としては観ておいて良かったです。
とても、意外な人(失礼を承知です)が、映画音響に果たした役割の大きさに驚きました。モノラルをステレオ音響にするのにとてつもないハードルがあったなんて逆に驚きましたし、サラウンド音響に関しては、日本の有名な音楽家が与えた影響もありでこれにも驚かされました。
常々、音のいいのは七難隠す、と思っていますが、シナリオ、映像、音響で映画は成り立っていると思っている身としては、次、映像版を観てみたい気になっています。
映画好きなら観ておくべき一本です。
音が最速で感動を伝える
常々、音楽ってズルいなぁって思うときあって。言葉や映像でばんばって感動を伝えようとしても、音楽がさっともっていってしまう。歌のうまいひと、楽器が弾けるひとってトクだなぁって思う。それほど、人間の感覚、感情に音は影響を与えるもの。その影響を一番意識しにくいのも音であると。
ネットの発達、VODの充実で自宅でラクに映画を観ることができるようになったけれど、映画館で観たいと思うときは、意識してか無意識か、映画館での音響を意識している場合がある。天井や四方から包まれるような音の臨場感は自宅では味わえないものだから。
それに、俳優の声自体も音だとすると、印象に残る俳優はやはり声も魅力的なことは確か。自分の声って、一番、自分がわかりずらいんだよね。客観的に自分の声を聞くことができるのも演じることのたのしさであり、厳しさでもあると思う。
映画音響の歴史をみると、いまは、音の編集もPCと編集ソフトがあれば、編集できる時代になっていて、ひと昔に比べれば、ずいぶんそうしたツールが手に入るようになったものだと感慨深い。
鑑賞後、映画の見方が500%変わる⁉️
映像造りに携わる「匠」のドキュメンタリー作品なのですが・・・
これがまぁ語り口が上手い‼️ どんどん引っ張られて行く、映画好きなら更に、尚更、強力に‼️
「素晴らしき映画音楽たち」に続き、なんともまぁ素敵な作品、いや・・・これは日頃、映画を楽しみとしている我々への「贈り物」でわないだろうか❗️
嗚呼~❗️映画を観るのがたまらなく面白く、楽しく成ってしまう‼️
音の偉大さ
難しいことはさっぱりわからなかったが、今までは映画において"音楽"が素晴らしいものだと思っていたが、音楽ではなく"音"そのものが映画を作る上でとても重要で観客を夢中にさせるんだと思わされた。
レビュー
声、効果音や背景音など、さまざまな音について歴史的な流れで解説してくれるドキュメンタリー映画。
知識がなくても作品として面白く、映画好きなら一度は観ておいて損はないと思います😇
これを観れば、今後の映画の楽しむ幅が広がるかも🦊✨
素晴らしい音響の世界!
素晴らしい音響の世界
映画作品には欠かすことのできない映画音響
映画を観ているときはどうしても映像に集中してしまうけど
後で思い返せば、音楽、効果音、セリフなどなど
重要だったなと気づきます。
音響で作品の良し悪しにも影響するのは当たり前
思い出に残る作品は音響も思い出に残っています。
音響の世界って凄い!これを観れば、映画の見方が変わる、かも?
映画音響にスポットを当て、その変遷から仕事の内容までを明らかにしてくれるドキュメンタリー。
出演は…
ジョージ・ルーカス…『アメリカン・グラフィティ』、『スター・ウォーズ』シリーズ。
スティーヴン・スピルバーグ…『インディ・ジョーンズ』シリーズ、『ジュラシック・パーク』シリーズ。
デヴィッド・リンチ…『エレファント・マン』、『マルホランド・ドライブ』。
アン・リー…『ブロークバック・マウンテン』『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』。
ライアン・クーグラー…『クリード チャンプを継ぐ男』『ブラックパンサー』。
ソフィア・コッポラ…『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(出演)、『マリー・アントワネット』。
クリストファー・ノーラン…『ダークナイト』トリロジー、『インセプション』。
ロバート・レッドフォード…『スティング』「MCU」シリーズ。
映画音響という、一般ピープルからすると「小豆で波の音作るんでしょ?」みたいな、フワッとした印象しかない業界のことを、その成り立ちからプロの流儀までかなり詳しく、しかも具体的な例を示しながら解き明かしてくれる、初心者にも易しい映画on映画。
本作は大きく分けて前半・後半の2つのセクションに分かれている。
前半はエジソンによる蓄音器の発明から現代に至るまで、映画の録音・編集の歴史を辿るといういうもの。
後半は、映画音響を成立させているそれぞれのお仕事の一つ一つにスポットを当て、その職務内容やプロの技を明らかにしていくというもの。
前半パートで興味深いのは、ウォルター・マーチやベン・バートという、映画音響の世界を変えた天才たちのエピソード。
公民権運動やベトナム戦争など、リアルがフィクションを超えてカオスになっていた1960年代。映画産業は完全に下火で、斜陽の時代を迎えていた。
そんな腑抜けた映画界に殴り込みをかけた、フランシス・フォード・コッポラとジョージ・ルーカスの若きヒゲコンビ!
そんな彼らを音響面で支えたのが、ウォルター・マーチやベン・バートという音のスペシャリスト。彼らの音への執着ほとんど変態的。
『地獄の黙示録』での5.1chサラウンドや、『スター・ウォーズ』でのリアリティを追求した効果音など、革命的な手法で映画音響の世界に革命を起こしていく。
今まで当然のようにR2-D2やチューバッカの声を受け入れていたけど、それを創造した人物がいるんだもんなー。
当たり前のことなんだけど、めちゃくちゃ不思議な気分。
後半パートでは、映画音響を①「ライブ録音」②「ダイアログ編集(録音時の雑音を編集する)」③「ADR(アフレコ)」④「SFX(効果音)」⑤「フォーリー(足音や鎧の擦れる音など、効果音をカスタムメードする)」⑥「環境音」⑦「音楽」⑧「ミックスダウン(音の調整)」の8つに分別。
それぞれの仕事を実際に映画の場面を引用しながら、その道のプロたちが解説してくれる。
本作ではこの職人たちの連携を「サークル・オブ・タレント」と称していたが、この映画を観ればまさに映画音響とは多くの才能が一つの輪を描くような作業であることがよくわかる。
この映画を観るまでは映画の”音”といえばジョン・ウィリアムズやハンス・ジマー、久石譲などの作曲家のことばかり考えていたのだが、服のはためきや波の音、足音や動物の鳴き声、時には無音でさえ映画音響のピースであり、それはフルオーケストラのBGMと同じくらいに重要なものであるということを、この映画を観て学ぶことが出来た。
反響音や風の音が、千の言葉以上に雄弁に語るのが映画音響の世界。
「言葉とは音の表情。抑揚が意味を伝える。」という、ベン・バートの言葉は最高にプロフェッショナルである。
「仕事とは何か?働く意味とは?」という、普遍的な仕事論についても考えさせられる作品なので、映画音響に興味のない人でも鑑賞の価値はあると思う。
映画って奥深いなぁ〜。凄い才能と執念の世界だぁ…。
映画音響入門
監督のミッジ・コスティンさんや製作・脚本のボベット・バスターさんは映画学校(USCシネマティックアーツスクール)の教授でもありますので、さながら映画音響の入門書の趣に仕上がっていますね。サイレントからトーキー、モノラルからステレオ、ドルビー立体音響へと映画サウンドの足跡を多彩な作品の引用で振り返ります。
音響といっても録音、整音、効果音、音楽、ミックスダウンと幅広く、機材も日進月歩ですので全てを網羅するのは大変です、そこで本作は主に創造的な分野に注目、インタビューを交えサウンド・クリェーターたちの仕事ぶりにフォーカスをあてています。
コッポラの「地獄の黙示録」で初めて5.1chに挑戦したウォルターマーチさん、「スターウォーズ」のベン・バートさん、ピクサーでアニメに生気を吹き込んだゲイリー・ライドストロムさんらが登場。レジェンドといっても裏方、授賞式くらいでしか、お顔を出しませんので初めて知りました。
「地獄の黙示録」にシンセサイザーのパイオニア冨田勲さんの作品( ホルスト 組曲 惑星の4ch録音盤)が影響を与えていたとか、チューバッカの声が動物園の熊だったとか当時の裏話が面白い。自ら出資までしてステレオ製作にチャレンジしたのが「スター誕生」のバーブラストレイサンドさんだったとは驚きました、歌手だけに音への拘りが強かったのでしょう。
多くの先人たちの努力や挑戦のお蔭で趣や臨場感に富んだ映画を愉しめているのですね、ありがとうございました。
才能と魔法の輪音
映画音響。
よほどの映画通か実際に映画の世界で働く人でなければ関心ない地味な技術部門…。
否!
映画から聞こえる“音”のほとんどは、音響デザイナーが作っている。撮影現場で録られた音は1割にも満たないという。歩く靴音さえも。
あまりにも当たり前過ぎて“普通”。だから、非常に大事。
映画に絶対欠かせない!
撮影現場そのままの音だったら、ノイズや風の音入り交じり、役者の声もよく聞こえない。
ノイズや風の音を消し、役者の声をクリアにする。
ミュージカルだったら、心を揺さぶるような歌声をより効果的に。
映画音響が何より物を言うジャンルが、SFやアクション。誰だってSFの未知な音やアクションの爆発音や銃撃音やカーチェイス音に高揚。
映画音響ナシに映画は観れない!
自分は映画音響は非常に関心あるので、このドキュメンタリー映画を作ってくれて嬉しい。
存じ上げる音響デザイナーも多々。オスカーの同部門も毎年注目している。
ちなみにオスカーで区分けされている“録音”と“音響効果”。ざっくばらんに言うと、音響効果が“音を作る係”で、録音が“音の調整係”だとか。(でも今年から、“録音賞”として一つに統合)
前半は映画に“音”がついてからの、映画音響の歴史が語られていく。
映画ファンならだれもが知っている。映画に初めて“音”がついたのは、1927年の『ジャズ・シンガー』。
まさしくそれは、革命だったと言えよう。それまで映画は“観る”だけだったのに(映像に合わせてオーケストラ演奏したり、日本では活弁士が居たりしたが)、“喋った”のを“聴く”事が出来るようになったのだから。
当初は撮影や録音が大変だったというのを聞いた事がある。役者の台詞が上手く録音出来ない、衣装や小道具のガサガサ音が入る…などなど。
でも、そんな“トーキー映画”に観客は大盛り上がり。その一方、日本では活弁士の仕事が無くなったりも…。
後の映画音響の天才たちを驚かせたのは、1933年の『キング・コング』。この作品、怪獣映画や特撮技術だけではなく、音響でも古典だったとは…!
しかしその後、目立った映画音響作品は無く…。ほとんどが各スタジオにある音の使い回し。
昔も今も変わらない。スタジオ上層部が見てるのは華やかな部分だけ。縁の下の力持ちの事は気にも留めない。
が、勿論、見てる人は見てる。
オーソン・ウェルズ、アルフレッド・ヒッチコック、デヴィッド・リーン、スタンリー・キューブリック…。
映画に於ける“音”の重要性に強くこだわる。だからこそ、今更言うまでもない名作群が生まれたのだ。
そして70年代に入り、いよいよ映画音響が台頭し始める…。
3人の音響デザイナーにクローズアップ。
ウォルター・マーチ。
コッポラやルーカスと出会う。『地獄の黙示録』では当時画期的だった多重録音に挑戦(そのインスパイアは我が日本の作曲家、冨田勲!)。映画音響の可能性を切り拓いた。多くの音響デザイナーは言う。彼は現代の映画音響の父だ、と。
ベン・バート。
あの未知なる力に導かれるようにしてルーカスと出会い、壮大なスペース・オペラの世界へ。ウーキー族の声、ベイダーの呼吸音、ライトセイバー音、タイ・ファイターの飛行音、R2の“声”…全てを一から創造。今聞いてもゾクゾクワクワクするほどカッコいいんだもの、当時の人にとってはどれほどだった事か。『SW』は色んな意味で映画音響を変えた作品でもあった。
ゲーリー・ライドストローム。
CG時代の申し子。『トイ・ストーリー』などピクサー作品で名を馳せる。スピルバーグとも出会い、『ジュラシック・パーク』『プライベート・ライアン』を担当。キャメロンの信頼も厚く、『T2』や『タイタニック』も担当。90年以降屈指の映画音響の巨匠に。
新旧映画音響逸話も面白い。
後半は映画に於けるあらゆる“音”を分かり易く分析&解説。
映画の音は、3つで構成される。
台詞、効果音、音楽。
しかし、全てを盛り上げてもただうるさいだけ。
画面に合わせ、どの音を下げ、どの音を上げるか。そのバランス加減が難しい。
それも音響デザイナーの腕に掛かる。
マーチ、バート、ライドストロームの他にも現在第一線で活躍中の音響デザイナーたち。男性だけではなく、女性やグローバルなデザイナーも多い。
音響デザイナーの仕事ぶりや映画音響そのものについて語る名匠たち。ルーカスやスピルバーグの他にも、デヴィッド・リンチ、クリストファー・ノーラン、アルフォンソ・キュアロン…。
確かに幾人かの作品は、どれほど迫力ある音響に助けられている事か。
台詞、効果音、音楽…何も三位一体ではない。
音響デザイナーたちの創造を膨らます監督やスタッフ、キャストたちの才能。
監督やスタッフ、キャストたちも音響デザイナーたちが創造した音に創造力を膨らませる。
劇中でも称されていたが、映画音響は“才能の輪”。
映画に音がついてから、才能と魔法の音は、これからも永遠に観る者を魅了し続ける。
映画での“音”の大切さが分かる
黎明期から現在に至るまでの映画の歴史を、映画音響の進歩にスポットを当てて描いていくドキュメンタリー。
映画の中の「音」がどう作られているのかを基本から丁寧に追った本作は「知らない事を知る喜び」が味わえると思うし、過去から近年のメジャー映画や有名監督の証言の数々をテキストに「映画音響」が解説されているので単純に見ごたえがある。
映画の作り方に興味のある人もない人も楽しめる良作。
確かに
劇場ではなく自宅で鑑賞したので、後悔。確かに、スクリーンで鑑賞すると、感度が10倍位になるので、これは音響の影響も絶対にありますね。自宅鑑賞用にプロジェクターを購入したのですが、音は劇場と本当に違うと思います。
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