「簡単な問題じゃない!」スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話 ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
簡単な問題じゃない!
「政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」・・・邦題がすでにネタバレ(笑)でも、イェーイ、やったね!という単純な話ではありません。
パリの自閉症児ケア施設”正義の声”。経営者のブリュノは、よそで預かってもらえない重症者もすべて受け入れるので、常に定員オーバーです。一方、マリクが経営する団体”寄港”はドロップアウトした若者を支援します。自閉症者の症状は様々で、きめ細かいケアが必要だし、危険も伴います。彼らの自立を目指し、まずは社会に馴染ませる訓練として支援員と1対1で組むのですが、そのペアは一見どちら側か区別がつかなかったりします。”寄港”の若者を支援員として雇っているからです。
ここに政府の監査が入ります。国は現状を見ようとせず、規格からはみ出している=ルール違反→子供の安全が担保できないから閉鎖、と考えます。
これでは障害が重い子ほど支援を受けられないことになります。シンプルに、子供にとって何が必要かを考えれば、国のすべき事はわかるはずなのに。(予算を割きたくないのかも)
母親が、「私がいなくなったら?」と問うても、ブリュノは「安心して」とは言いにくい。
問題だらけの大変な仕事をなぜ彼らが始めたのかは語られませんが、彼らが移民だという事も関係あるかもしれません。彼らが(ディラン達も含め)なぜ辞めないのかは、映画を観てください。子供たちが少しずつ自分を表現できるようになってくる姿が救いです。
【まったくのオマケ】
上記作品とは関係ありませんが、映画つながりということで。
古い新聞記事で、”横暴編集長”というカード遊びを見つけました。(カードは自分で作るが、作らなくてもいい)古今東西の名作のタイトルを上下2つに分けて、バラバラのものをつないで新作を作ります。例えば、「ぐりと毒薬」
最近悲しいニュースが多いので、気分転換に自分のレビューの映画で作ってみました。
「あやしい雪の女王」「喜劇ダム」「フォードVS死なない彼女」「宇宙でいちばんふり、ふられ」「空の青さを落としただけなのに」「任侠若草物語」…夜中にやると逆に寝付けなくなります。
-----------------------10/29追記------------------------
タイトルの「スペシャルズ!」について、自分は考え違いをしていたようです。
宣伝ポスターのいかつい男二人に、太い文字で、「スペシャルズ!」・・・なんとなく、「俺たち最強タッグだぜ」的な感じで、それに当然だけど障害のある子供たちにも人権がある、ということも併せて訴えているようなイメージと受け取っていました。でも、内容に比べて主張が強いタイトルだなあ、なんて。
ふっと、WHAM!の”Last Christmas”の歌詞を思い出しました。
I'll give it to someone special…この歌では、specialをとっておきの大切なものといった意味で使っています。
スペシャルズとは、子供たちの事だったんですね。一人一人がかけがえのない大切な存在である、そういう意味ですね。
ゆり。さん、コメントありがとうございます!
WHAM!の曲と結びつけるなんて、すごい。素敵です。
俺もてっきりブリュノとマリクのことだと思ってたのですが、納得のひとことです!