「破壊と再生」れいこいるか sergeさんの映画レビュー(感想・評価)
破壊と再生
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主人公の伊智子と太助は阪神淡路大震災で娘のれいこを失う。
心の隙間を「男」で埋めようとした伊智子。
作家になると言う「夢」にしがみついていた太助。
少しずつ軋んでいたであろう夫婦の関係は震災によって一気に崩れる。
虚無の中で生きる伊智子らに対し、周囲の人々が生きる証を探そうとする姿は滑稽なくらい貪欲で切実だ。
劇中、伊智子が視力を失い、再び見えるようになる描写に一瞬違和感を覚えるが、これは伊智子の「心の眼」だと思えば合点が行く。
見えているようで見えていなかったもの。
見えなくなって見えてきたもの。
20年余りの時を経て伊智子の心の眼は開かれる。
暗がりのスクリーンに映し出された追悼式のシーンはまるで自分がその場に佇んでいるようで、静かに祈りを捧げた。
乱調にも見えるウルトラマンの話しを「破壊」と「再生」の物語とするなら、この映画は死者と今を生きる我々への「オマージュ」と言えよう。
商業とは一味違う自主映画の力を感じる良作だった。
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