スパイの妻 劇場版のレビュー・感想・評価
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お見事です
ちょこっとだけ気になってはいて、優先順位はそれほど高くなかったのだけど、時間が丁度良いので鑑賞。映画館で観ると、そんな出会いもある。
第二次大戦前後の話なので昭和レトロなのだけど、古さを感じない画面。ドラマ放送からの上映とのことだったので、それほど期待もなかったのだけど、まずは画面がいい。古い時代の建物や小物がきちんと並べられて、隙がない。ちょっと舞台劇の匂いがして、それがまたシンプルながら、違和感のないシーンが作り上げられている。
役者さんたちは、テンポ、台詞回しや立ち振る舞いを昭和初期の映画に寄せながらも、現代のドラマとして観やすい範囲で成立させているので、観ていて心地よい。蒼井優、高橋一生、東出昌大らが熱演。
ストーリーは、はじめは派手な展開はなく、仲の良い夫婦の平和な物語で、上手く伏線が貼られていく。やがて、夫の優作(高橋一生)はスパイなのか、夫を信じてきた妻の聡子(蒼井優)は、夫の裏の顔を知っても信じてついて行けるのか。憲兵の手が迫る中、物語は中盤から怒涛の展開を見せる。サスペンス要素が入り、俄然盛りあがって来る。
全体的にとても丁寧に作っている感じが伝わり、好感が持てた。いやはや、「お見事」です。
カンヌ映画祭・銀獅子賞など多数受賞
賞を取ったことが、
評価のハードルを上げてしまったんですね。
そもそも、テレビドラマとして制作されたものだけに、
やはり、チープさが色々と見えてしまう。
それでもストーリー展開やスピード感、あるいは
映像美があれば楽しめるのだが。。。
突き詰めると、
「蒼井優だのみ」
の映画になってしまっている。
女囚さそりの梶芽衣子や、緋牡丹の富司純子
などと変わらない。
実在した戦争犯罪を背景に
国家権力の象徴である憲兵と、
それに抗う高橋一生&蒼井優夫婦の闘い
を重すぎず、軽すぎず描いた黒沢監督が
国際的に高く評価されたことは、
素直に嬉しい!
だが、しかし、、、、、
・爪はぎの拷問を受ける甥っ子(フミオ)、
海に浮かぶことになる元731部隊看護婦・草壁弘子
の存在は、この映画に本当に必要だったのか
・必要だとして、満州で知り合った経緯が見えなさすぎ
→この映画の肝なのに、さらっと語られるだけ
・組織に属さない一個人が、単独でアメリカ密航を遂行
・いや、、、死亡報告書の偽造までできるなら
やはりアメリカのスパイなんじゃない?(笑)
なんて、どうでもいいことに引っ掛かりまくりました。
あと、偽らざる感想として、、、
ファンの方には申し訳ないが、
東出昌大演じる憲兵将校は、あまりに平板で
抑制をきかせすぎた印象。
パンク侍の時のお殿様と同じ。
道化役なんだとしても、物足りない。
むしろ、女中を演じた恒松祐里の演技に好感を
持ちました。今後が楽しみです!
拷問と劫火に痺れました。
劇的な知的なお遊戯が散りばめられていて十分楽しめました。
拷問シーンには震えました。
三池監督の爪いじりに続く、いや〜なシーンでした。
ラスト近くの病棟の会見もぞわぞわしました。
精神病棟内の長髪の和服の女性って...最高です!
空襲の長回しも気持ち悪くて素晴らしかったんです。
終わり方も仕掛けが入っていて良かったです。
東出さんのあの怖さ、嶋田久作とかクリストファー・ウォーケンの方向でもいけるんじゃないかと。
イケメンで長身で、世界で活躍できる俳優です。
残念です。
イタ過ぎるのが女の愛
これは色んな意見もあると思いますが、純粋なラブストーリーとして見させていただきました。
自分と重ねて思う所があって、号泣でした。
聡子はイタい女だと思います。でも愛に全てを捧げられる所に、涙してしまうのです。
きっと密航する船が撃沈されても、本望だったかもしれません。本当はあの船の中で死んでしまいたかったのかな?と、ふと思ったりしました。最後の海に向かって泣くシーンの所で。
死ねば魂は優作の元へ飛んで行けるのにと。
ラストの字幕で、聡子がアメリカに渡ったと書いてたのに、個人的には救われました。
優作は生きてないかもしれない、生きててももう昔の優作ではなくなってるかもしれない。
それでも聡子は探しに行くのだと思います。自分の愛を信じているから。
聡子が優作を忘れて、別の人生を歩むというラストでなくて、私は良かったと思います。
愛とは本来執着に似てイタい物なのだけど、求め続けずにはいられないという本質を描いた、究極のラブストーリーだったと思います。
台詞も文学的で素敵でした。
素晴らしい作品を見させていただいた脚本と監督に感謝です。
三者三様
いやぁ、やっぱ、高橋一生は裏切るのね。まぁ、一回あの奥さんには裏切られてるし、奥さんの目的は旦那とイチャイチャすることだけだから、志は同じじゃないもんなぁ。旦那の方が賢かったってことね。今まで高橋一生嫌いだったけど、この作品で好きになった。正義を内に秘める知性が奥ゆかしかった。
東出昌大もいい。背があれだけ高く、顔も正統派イケメンなのに、声が小者だから、そのギャップが持ち味だなぁ。あのちょっと猫背気味の、長身を持て余したアンバランスさも気味悪さを際立たせる。
蒼井優は、あの時代の女優のような話し方まで体得していてさすがだった。
謎が残る映画でした
時代の雰囲気、セリフ回し(特に蒼井優役)、豪邸や貿易商の部屋、街中、なかなか好きな感じのリアルさ♫
蒼井優さんは、素晴らしいですね。夫役の高橋一生さんの趣味の8ミリ映画が、本作にも関係ありでミステリアス感が高まります。
ラスト終盤、え?こんな木箱で2週間???と心配になりましたが、残念!密告ありで下船し連れ戻されてしまう、、、
密告したのは女中さんかと思いましたが、まさかの?!夫??
妻を庇ってなのか、それとも??
死亡診断書も偽造なので、生きてるかもね〜。
謎めいた役に高橋一生さんは、最適。
夫が村上見つけたあの氷、東出さんが持ってきてから、かなり経ってますよね、溶けてるやろ〜っ??
しかも満州から連れて来た女が、不気味に登場!って思ったら、悪夢でした。(^^;)
愛し合ってるからこそ、ややチクリと嫉妬ありの場面も美しいのですわね(*^_^*)
あれこれ想像できる、よい作品だったと思います。
悪いことした男優がなぜ堂々と出演しているんですか?
おみごと
1940年兵庫で商社を営む夫が、甥と共に訪れた満州から、軍事機密に関わっている可能性のある謎の女を連れ帰ったことから、憲兵に目をつけられる様になって行く話。
満州から戻って直ぐに、甥は仕事を辞め小説家になると有馬温泉の旅館に籠もる。
又、夫が連れ帰り有馬温泉に仕事を斡旋した女は水死体でみつかって…。
この時代というのもあるのだろうけど、正に一途な、旦那無しでは生きていけないとばかりの妻の思いと、巻き込んではいけないという思いから隠そうとする旦那。
更に、それを知ってからの流れは、倫理感も載っかったであろう強い意志と決意が有りつつも、何だかそれを楽しんでいるかのはしゃぎっぷりもあって、ちょっと可愛らしいw
まあ、その性格も読んだ上で、尚更隠そうとしたんだろうなと思いが及ぶ。
全てがみえていざアメリカへ、からまさかの密告?
まあ、この段階の密告といわれた瞬間読めてしまったけれど、気付いた時の主人公のリアクションは正におみごと。
きっとこの国では…は今の世の中にも思うことや、感じることのある感覚だよね。
字幕でのラストはもの足りなかったけど、そこは想像を膨らませてねということで。
軍事機密がどうこうではないし、スパイじゃないのに「スパイの妻」というタイトルだったり、あくまでもそこに於ける女性の機微をみる、ある意味恋愛ドラマという感じかな。
傑作だね
良かったよ…!!!何も予備知識無しで観に行ったから、1940年の日本と満洲の話でついていけるだろうかとひやひやしたけど、話が進めば進むほど、国家機密や人間関係や男女のもつれ、心の闇や政治の闇、騙し合いなど…怖いけれど惹き込まれていくし先が知りたくてどっぷりハマっていった。蒼井優の演じる聡子の、高橋一生演じる優作への深い愛情が見所だね。人間が惚れた相手にもつ愛情ってのは、美しいし素敵なものでもあり、でも視点を変えてみればホラーにでもなる…。というのを知らしめてくれた映画「寝ても覚めても」をこの映画みてふと思い出したけど、寝ても〜の濱口監督がこの映画脚本参加してたんだね。上手いなぁこういうの笑。
そして黒沢清監督。黒沢清監督の作品はいつも、人間や時代の闇が割と根本にある気がするし、その「闇」を、人間ドラマとホラーの絶妙な間をとった感じに昇華させてて唯一無二の世界観が生まれてて痺れる。このシーンを見て笑っても良いのか、このシーンに幸せを感じても良いのか、映画が進めば進むほど自分の感情の純粋な部分が信用できなくなり壊されていく感じが怖い…けどそれが心地よくもある◎
政治や国家、社会の闇を描いているところが「新聞記者」と似ている気もするし比べるものでも無いんだけど、「スパイの妻」は闇もモラルも全て超越していく「夫への強い愛」が、怖さもあるし心揺さぶられる瞬間も多々あって、この映画を更に面白いものにしてて、好きだなぁと思った。新しい蒼井優のキャラクターも観れて、大満足でした◎
私は狂っておりません。ですが、それが狂っているということなんです、この国では。
拷問シーンは私は耐えられない
いやぁ〜面白かった。と一言。
ただ、途中でわからなくなる。どこからが真実でどこからが嘘なのか。
ただ、蒼井優演じる奥様は嫉妬深く、夫を愛している(もはや、執着)と感じることはできる
愛と憎しみは表裏一体
騙し騙され、最後の最後までわからない。特に最後のテロップが、より、私たちを困惑させる。
ただ、高橋一生が色っぽく男らしく、こんな人に寄り添い甘えて、そして、抱かれたいと思った。
そして、蒼井優、お上品な言葉遣いが美しく、彼女もとても凛として美しい。嫉妬に狂いながらも夫を愛す、一途な可愛い奥様がとても似合っていた。
東出昌大演じる役(名前忘れた)と蒼井優が山でバッタリ会い、家に呼ぶシーン、普通あの状況じゃ〇〇xしちゃうんじゃ?とハラハラしました。私なら寂しくて絶対してる笑 でなきゃ、家に呼ばないでしょ?え、違う?
ミステリー作品として十分楽しめる作品だと思います。
ただ、拷問シーンは見るに耐えず、ずっと目を伏せていました。しかもやたらとシーンが長い。こういうのは嫌いな人にとってはあまりかも、、、。
何が言いたかったのか・・☆
映像が美しい。
何より蒼井優の演技が見とれるほど素晴らしく、それだけで鑑賞する意味がある。
言葉使いが、時代に合っているかは別のして 美しい日本語という感じがして
これも何だか時代を表していると思った。
高橋一生はもちろん、東出昌大もとても雰囲気があって良かった。
ただ、監督賞を受賞したのだが、一体何が言いたい、もしくは訴えたかったんだろう・・
人体実験の悲惨さ、もしくは戦争の悲劇?
それとも、蒼井優の女性としての強さ。
物語自体は良く出来ているし、展開も早くて面白いけど 見終わった後での
印象が何だったのかなぁ・・と疑問符が浮かんでしまう。
朝日新聞の映画レビューで、傑作という表現が使われていたし、何度も予告編を
見て楽しみにしていたのだが。
正しいことを貫くのは時に難しい
蒼井優さんをはじめ演者の皆さんの演技と熱量にどんどん引き込まれていきました。
高橋一生さんの役どころもかっこよかったですが、夫とともに覚悟を決める蒼井優さん演じる聡子がとてもかっこよかった。
「狂っていないことが狂ってる、この国では」という聡子の言葉がすべてを物語っているように、正しいことを貫くことって実は時に物凄く難しいことですよね。
※最近の邦画はハズレが少ない気がします。これは演技や演出など邦画のレベルがあがったからなのか、たまたま僕がそういう映画をチョイスしているだけなのかどちらでしょうか?
フィルムの力
物語、展開もいい。特に蒼井優の演技が秀逸。
今年度最も危険な映画
表向きは貿易会社を営む福原勇作と、それを支える妻駒子の話。勇作が満洲での旅先で、731部隊が生物兵器を使い、大量の中国人をペストに罹らせて殺戮した場面を目撃する。その文書とフィルムを持ち帰ったことがきっかけで、軍隊を巻き込んだ騒動へと発展。スパイ容疑をかけられた勇作と、妻駒子がとった行動とは。
大きな話だが、ロケセットで行える範囲で上手に撮っており、美術、衣装、キャスト、照明、音楽等、粗のないつくりでストーリー展開も明確である。また国会に帰属意識を持たない「コスモポリタン」という主人公の生き方が、ヴェネチアの心を捉えたのだとも感じた。
しかし、これは日本にとってまずい映画である。仮に731部隊の残虐な行為が本当だとしたら、今頃中国は日本に莫大な賠償金を請求するはずである。がしかし、1999年のクリントン政権下では、ナチスと日本の戦争犯罪を再検証するためIWG(記録作業部会)を組織し731部隊による人体実験、従軍慰安婦問題などの戦争犯罪の証拠資料を探させたが、戦争犯罪につながる資料は、何も見つからなかった。そしてさらに2007年米国立公文書館は情報機関の対日機密文書10万ページ(731部隊に関するものなど)を公開したが、人体実験や細菌戦を行った証拠は何も見つからなかったと言われる。
このような歴史改ざんを見逃すわけにはいかない。これでは日本の愛国心を損ねるだけであり、中国に揚げ足を取られる要因になりかねない。
エンタメとして美しい色彩に彩られているとしても、共産主義的な影を見逃すことなかれ。
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