劇場公開日 2020年10月16日

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「~「僕が従うのは国じゃない。万国共通の正義だ。」~」スパイの妻 劇場版 門倉カド(映画コーディネーター)さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5~「僕が従うのは国じゃない。万国共通の正義だ。」~

2021年1月18日
PCから投稿

怖い

知的

難しい

【賛否両論チェック】
賛:激動の時代にあって、窮地に立たされる夫を支え続ける妻の強さに、観ていて思わず圧倒される。
否:物語は非常に淡々と進むので、惹かれないと退屈してしまいそう。拷問シーンもあり。

 なるほど、確かに雰囲気は「ザ・NHKドラマ」といった感じです。
 満州で国家機密を知り、なんとか行動を起こそうとする夫と、そんな彼を支えてきた妻。戦争へと突き進んでいく時代のうねりの中で、1組の夫婦を通して感じるのは、やはり“妻”という1人の女性の強さです。恐るべき国家機密を知った時、夫・優作の人となりにも勿論変化が生まれますが、そんな彼の変化以上に、妻・聡子の「夫を守りたい」という気持ちが、彼女自身を強くしていくようで、そのある種の逞しさには頭が下がります。
 戦時中のドラマ特有の、拷問シーンなんかもあったりして、苦手な人にはやや向かないかもしれませんが、淡々とした世界観の中に鬼気迫るものを感じさせるような、そんな作品です。

門倉カド(映画コーディネーター)