劇場公開日 2020年8月21日

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「お疲れ様です」狂武蔵 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

0.5お疲れ様です

2021年4月11日
PCから投稿

この映画を見たくはなく、むしろ見るのがイヤだったので、わたしも悪いのですが、コンセプトを見た時点で、つっこみを入れたくなってしまったのです。どんな理由であれ、見た以上、わたしの負けですし、しっかり有料で見たので、そこはご安心下さい。RE:BORNもそうですが信者が御教祖を崇める映画。とうぜん映画をつくっていちばん満足する・したのはご当人です。
言うまでもない(とわたしは思うのですが)ことですが、事実上この映画の主旨は「お疲れ様です」という一点のみです。多数の敵もワンテイクも、お疲れの状況へ至らしめるための仕掛け・装置であり、言うなれば「たいへんだったんだから労をねぎらってよ」と、うったえている映画です。知っての通り、日本映画界にだけ存在するジャンルです。
日本のエンタメというものが努力(というか運動量)にたいして賞賛を求めるシステムなのです。いや。ていうか。なんだろう。職場に、ちょっとの動きでハアハアを大仰に言うひとがいるんですが、あの感じです。「なぜハアハアをおおげさにするんですか」って聞いたことはありませんが(おそらく)かれのなかでは「しっかり働いた気配を醸し出す」ことが、基調の処世になってしまっている──わけなのです。かれは疲れたように見せた方が人生がうまく渡れると信じているわけです。
いやもちろんこの映画で主人公はじめ大勢のスタッフが本気で動いて疲労したことはまちがいありません。彼が呼吸を荒げているのは、ほんとにしんどいからでしょう。ただし。だ・か・ら・な・ん・な・の。──ということです。
つまり日本映画界が映画をつくる才能の替わりに編み出した日本ならではの手法が「しっかり働いた気配を醸し出す」ことなのです。なぜなら「しっかり働いた気配を醸し出す」と3~5割ていどの人々が、映画自体には一切感心しなくてもその運動量にたいして一定の好評を呉れるから──です。お疲れのご様子を見て「すげえな」と思ってくれる神様のような人が、けっこういるわけです。合掌。
その仕事中にじぶんのなかで情陸のBGMが鳴り響いているタイプのにんげんが実在します。日本映画の天才とか鬼才とかはみんなそのタイプだと個人的には思っています。
せめて、それを見る人は、それがいったい誰にご満足いただこうとしているのか──楽しいのはおれなのか、あんたなのかを、かくにんすることが最低限なリテラシーであると思っています。いや、ていうかこんなク・・・(以下割愛)。0点。

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津次郎