「万人向けの映画ではない。だが、戦で一緒に戦っている雰囲気を味わいたい方にはお勧め!」狂武蔵 Vampy Sorratuさんの映画レビュー(感想・評価)
万人向けの映画ではない。だが、戦で一緒に戦っている雰囲気を味わいたい方にはお勧め!
賛否両論がある作品。本人たちもこれは普通のアクションを求めて観に行ったら、裏切られる、とも言っています。主演坂口拓のドキュメンタリー映画に近いです。
初日に観た時に、どんどん武蔵の戦いに引き込まれ、77分の最後のほうには一緒になって疲れていました。1カットアクションなので、「段取りに見えないように」デザインされたアクションワークではないので、攻め方は単調になっているように見える方が多いようです。インタビューでも言っていましたが、段取りがないから、本気で戦っているから攻撃が段取りっぽく、単調に観えるとのこと。戦い方はマジ当てなので、基本的にやられ役なプロテクターのある所しか打てない中、坂口さんは防具も着けないで一発当たったら映画が終わり、という緊張感の中の撮影。相当の労力、集中力がないとやっていられない。後半は疲労の限界を超えて、ゾーンに入った坂口さんの構えが変わってどんどん攻撃のスピードも上がっていく。この戦いは息ができない程の迫力だった。
そして最後7年後の武蔵。強さもスピードも段違いに強くなった武蔵は何をやっているかわからないくらい、本当に強かった!この戦いはもうちょっと観たかった。映画を観終わった後、こんなに疲れた映画はなかった。
元の映画の企画がなくなり、意地で映画を作ろうとして70分以上のワンカットアクションを撮ることで生まれた映画。準備期間も極端に少ないので、あら捜しをしようとしたら沢山あるでしょう。もう少し準備期間があったら、かかってくるアクションマンの人数を多くするとか、戦いのデザインも色々できたでしょう。あの時点で精一杯の結果がこのアクション。撮影後の坂口さんは、本当に戦場に帰った人のように鬱状態になり髪の毛も抜けて、刀を掴むと吐く、という状態で俳優を引退しています。映画を冷静に観ちゃう方にはお勧めできない作品かもしれないです。ただ、坂口拓が命をかけて作った映画は、観ている側の体力を奪うほど壮絶でした。是非今のうちに映画館で体感して欲しい。こんな映画は後も先もこの映画しか絶対ない。