おもかげのレビュー・感想・評価
全8件を表示
期待したのにエレナの行動がアレ過ぎて
評価高いので、もっと心に沁み入るような話を期待していたのに。
6際の子供がどこの海岸かもわからないところで迷子になっていると電話があって、なんで一緒にいるはずの父親の携帯に電話しようとしないんだ?
母親のエレナはそんな大事な時に取り乱して最悪。警察に電話するも理不尽に怒鳴りまくって。まずどうにかして父親に連絡を取れないか模索しないのは不思議。
そしてシーンが切り替わって、10年以上経ってるのに全然老けてないエレナ。
ジャン、初対面の人相手によく喋るなw
電話番号聞くし。親子ほどの年の離れた女性をナンパ?
エレナの尾行に気づいていた、わくわくしたと?
下手すりゃ中学生くらいの子供たちに混じって、酒、タバコ、青臭いセツクスの話に混じるエレナ。スペインやフランスでは普通のことか?
エレナにジャンの元カノね?と問われ、あなたはビーチの変人と返すジャンの元カノ。どんな会話だよ。
泥酔して夜中の海に入ろうとするジャンを止めないエレナ。
そのあと酒場で知り合った3人組の男と飲酒運転ドライブ。そして急に気が変わって、降ろせと騒ぐ、変人と言われても仕方がない。
失踪した息子に似ているとジャンに最初から言えば二人の距離感は定まるのに、言わないとこらにエレナのいやらしさを感じる。息子に似ているということは、元夫にも似ているに通じるので、下心もあったのでは?
ジャンの両親を怒らさせ、彼氏にも勘付かれて引っ越しの予定を早めることになったのに、またビーチに会いに行き、ジャンがそこにいないと知るとこっそり家のトイレで電話をかけ、両親がエレナと夜遅くまで酒を飲んでいたことに怒って外出させれくれないと聞くと、自分が両親と話そうか?と提案するイカれ具合のエレナ。
一緒にコーヒーを飲もうと言ってきたのはジャンの母親か?だとしたらその母親に何を言われても切れる筋合いはないと思う。
元夫は生きてたのか、終盤になってわかるという。息子と一緒に失踪したのかと思っていた。
「あなたに耐えられるなんて、どんな人?」と言って夫の新しい恋人に会いたがる。役立たず、家族も守れず、自分勝手で間抜けと、言いたい放題。この夫がどんな人物かは描写がないのでわからないが、エレナの言動を見てきた観客としては、夫はこの女には言われたくない、が、負い目があるので耐えている、そんなとこだろう(^_^;)夫に男らしさを求め、満足できないとなじる。息子が失踪した時、元夫が何をしていたのかも語られないから、エレナの態度をどう判断していいのかも迷う。
携帯のジャンからの着信を見て、夜にジャンの家を押し掛け、親に面会を断られたのに裏口から勝手に侵入する。エレナの異常行動。
ジャンがどうしてエレナに惹かれるのか理解できない。本当に失踪した息子なのなら本能で母親のおもかげを求めたということかもしれないが、ジャンが誘拐された子供というのはジャンの家族関係を見ても無理がある。
最後までプラトニックな関係だったのがせめての救い。
非常に複雑な…
これは母性愛なのか、それとも初めはそうだが、一人の男性として惹かれているのか。ずっと悩みながら観ていたが、ラストの車のシーンでこれは後者の方ではと思い直した。ジャンとしては年上の女性の憧れもあって、普通の愛なのだが。しかし、親ほど離れている女性に恋するというのも外国らしい。マルタ・ニエトはどことなくモニカ・ベルッチにも似てて美しいが。彼女の心の支えだったヨセバがとても気の毒でならないが、男女の仲はそんなものなのかもしれない。ラストに吹っ切れたことで、ラモンに電話したのは彼の息子ができたことを恨めしく思い、悪態ついたことへの謝罪と捉えた。しかし、ジャンが彼女の息子に似ていると知っていたのは驚きだった。同じ子供の失踪をテーマにした韓国映画ブリング・ミー・ホームを見たばかりだったので、こうも違うかと映画は面白い。
【”深い哀しみの果てに出会った少年との禁断の恋”一人の女性が深い失意から10年掛けて立ち直り、新たな人生の一歩を、赦しと共に踏み出す姿を描いた作品。余韻が素晴しい作品でもある。】
ー 冒頭、エレナ(マルタ・ニエト)が別れた夫ラモンと共にフランスの海岸に行った6歳のイバンから掛かって来た”パパが居ない・・、男の人が近づいてくる・・”と言う言葉と共に、イバンの携帯が切れるシーンの緊迫感の凄さ。
そして、10年後、エレナはイバンが居なくなったフランスの海岸の観光客向けの飲食店で働いていた・・。ー
◆感想
・今作は序盤のスリラー要素の強い序盤(このシーンは短編映画「Madre」として、アカデミー賞短編実写映画賞にノミネートされている。)から、一転し、エレナが息子イバンを失ったフランスの海岸の観光客向けの飲食店で働いているシーンから、静かなトーンで綴られる。
- 10年間、息子を探し続けるMadre(母親)の強い想いが伝わって来る。-
・そして、息子の面影を残すフランス人の少年、ジャンとの出会い。
ジャンも、エレナを慕って惹かれ会って行く姿。
・だが、年齢差のある二人の関係は、エレナの現在の恋人ヨセバや、ジャンの家族に戸惑いと混乱を齎して行く・・。
<ジャンの家族が、エレナと引き離すようにフランスに帰る途中、ジャンが抜け出してエレナと会うシーン。車中での抱擁。
エレナはヨセバと別れてでも、ジャンに一目だけでも、会いたかったのだ。
ラスト、独りになった部屋から、穏やかな表情で息子イバンを失うきっかけを作った元夫ラモンに掛けた電話。
彼女が、深い哀しみを10年掛けて克服し、総てを赦し、新たな一歩を踏み出す姿が印象的な作品である。>
おもかげを追うだけの人生
予告編がワンカットですごかったなー、という印象のままに鑑賞。
なかなかに楽しめました。女の人生は波乱万丈。
大切なものを失うのは自分の全てを失うのと同義だよね。息子を失ったその日から、主人公の人生は息子のおもかげを追うだけ人生になってしまった。
この話は「娘を失った母親」とか「子供を失った父親」では成立しないものだと思いました。女性の息子を想う心(性的な意味では無く)ならではだなと。
とにかく婚約者が気の毒なのと、前夫がクソです。
母性愛と性的欲求は一緒なの?
母性愛と性的欲求は一緒のものなのか?と思うけど、挿入するのは男の側で、彼女は息子似の少年の求めに応じただけだしなあとも思ったり。(美少年でよかったね)
「息子の喪失に向き合えるようになった」ことの表れが元夫に電話で連絡したことなんだろうけど、要約してしまえば「息子似の少年とヤッた多幸感で喪失に向き合えた」という単純な因果。ヤるまでの障壁の設定が上手い脚本だなあ。
主人公には今カレがあり、少年には両親による監督があり、2人のあいだは20歳も離れていて。
主人公は母親で、原題も"Madre"(母親)なんだけど、むしろ少年と同年代の、初恋のような気恥ずかしさがあった。そんな見つめ合い、笑顔、肩のすくめかた。
恋敵も少年と同年代の巨乳ビッチ。
主人公がいま何に迷っているか、何と何のあいだで板挟みになっているか、結局何を優先し何を選択したか、映像で伝えるのが上手かったなあ。
テレンス・マリックのような映像。人物に張り付き、共に歩き、自然や風景に溶け込んでいく感覚をもたらす。思索的・瞑想的。
『レヴェナント』(イニャリトゥ監督)のようでもあった。
ラストで主人公が携帯で元夫に連絡するのが終着点(ハッピーエンド)になる経緯が不明だし、息子の捜索が進められたかどうかは伏せられたまま。そのへんは納得不足かも。
他のレビュアーの方も似たようなことを書かれていますね。
少年の側からすれば、思春期の性欲のやり場が都合よく見つかったなあという感じ。彼は、自分が「主人公の息子の代替」であることに気づいていたの?
息子が見つかってしまったら、あるいはその生死が判明していたら、主人公の取る行動によって少年の感情は大きく揺れ動いたかも知れない。でもそれは主人公の転移。あくまでエレナの心の機微の映画だと考えた時に、少年の心を大きく動かすような脚本にすることは思い留まったのかもしれない。(あくまで劇中では一貫して「少年は主人公に恋している」状況に設定しておくのが大事。)
生死は判明せず、捜査状況もはっきりせず、ただ息子が喪失するという宙ぶらりんの状況を観客の中に作り出すからこそ。結局映画というのは観客の心を操作することを想定して作るものなんだね。
(息子か少年かという二者択一ではなく、あくまで息子の欠乏を埋めたい)
推理物でもサスペンスでもなく人生を描きたいんだよと。
主人公が今カレと一緒に住むかどうかが分からないですね。
めちゃくちゃ良い映画だと思います。
【追記】
物語終盤、森に迷った少年と、携帯で通話する主人公。
物語冒頭と全く同じ状況が再現される。
「今度は逃さないよ」ってことだね。
主人公自身が、少年の屹立した男性器を眺めることで、ムスコの成長を見届けた……(手っ取り早く見届けたつもりになる)ということでしょうか。
性交の描写はないけどね。雨降りの森の中、ポツンと停車する軽自動車を遠くから写すだけ。
中盤、祭りの日、少年を海辺から自宅まで送り届けたあと、ディスコで若い男たちと盛り上がったのは……ヤケになっている感じもあるし、欲求不満なのかなあという感じもある。
おそらく息子から目を離したであろう元夫が、(10年経過したとはいえ)新しい子供を設けて幸せそうにしている。主人公はまだ息子の面影を求めて彷徨っている(禊が終わっていない)のに。これは怒って当然かもしれない。
じゃあ、息子似の少年を世話し、結合し、ムスコは立派だなあと確認することが彼女にとって禊になったのか?
主人公や少年の奥底に性欲はきっとあるんだけど、表立った描写はせず、性愛ではなくて「恋」(あるいは青春映画?)の次元で、静謐な映像づくりを壊さないようにしたところは上手いなあと思います。
【謎】主人公の生活する海辺には「人が多い」というセリフが各所で見られる。しかし冒頭、主人公の息子は「誰も周りにいない」と電話口で話す。ただしあの海辺は「冬は人が少ない」というセリフもある。息子の失踪時、季節は冬だったのだろうか。それとも、あの海辺は息子が失踪した場所とは異なっているのだろうか。
主人公が失踪現場で働いているかどうかはどうでもいい、のかもしれない。帰ってこないとわかりつつも「息子」の居場所を心の中に作っているのなら。息子はあくまで類似でいい。
★「次」に行くのか?過去の息子を取り戻すのか?そんなニュートラルな状況。登場した美少年は息子似。
おもしろいけど共感はしない
子どもを持ったことがないからなのか、主人公の女性にはまったく共感しなかった。だって、ジャンの家族に自分が味わったのと同じことしてるも同然だもん。最後は元夫のラモンにも優しくなれたようで良かったね。あの理解の深い彼氏ともちゃんと元に戻れれば良いのだけど。
独特なミステリアスさに引き込まれる
6歳の少年を失ったところから物語は始まる。
主人公のエレナは10年経った今もなお息子を失った事から立ち直ることが出来ず、また息子を失った原因となった元夫の過ちを許すことが出来ずにいた。
現在ビーチで働くエリナだがこれまた息子が失踪した場所(正確にここのビーチではないと思うが)で働く事でなにか心の気休めになっているのか…情報量が少ないためこちらがエレナの心の闇に入っていてしまう。
この辺りのこの作品特有のミステリアスさに引き込まれるのがこの作品の良いところであろう。
そこから海岸で失った息子によく似たジャンと出会う。ここからいわゆる息子の「おもかげ」に心が囚われてしまう。彼を目にし、彼と会話をし、時には共に行動し、そして彼といない時間まで彼の事で心が囚われてしまう。
これは決して恋愛感情ではない。本来息子に注ぎ込むはずだった愛情への高ぶりのように僕には感じた。
ジャンはおそらくエレナに恋愛感情を少なからず抱いてたようにも思えるが、エレナが自分に注ぎたいはずであろう愛情の心の扉を開けるよう優しく接していたようにも思えた。
ただ忘れてはいけないのはジャンは未成年の少年であり、決してエレナが失った息子ではない。
この現実と心囚われたた「おもかげ」の溝を終始ゆっくり丁寧に描かれていたように思えた。
序盤はほんの一瞬ジャンがまさか失った息子なのかなと疑ってしまった瞬間はあったが、早い段階でこの作品はそういう作品ではないというのは気付かさせられる。
その点においては間違った方向で見る事なく非常に見易かった作品のように思える。
心の闇やトラウマといったミステリアスな世界を楽しめる面白い作品であった。
全8件を表示