「助けを求めて来た我が子を探し彷徨った10年」おもかげ ezuさんの映画レビュー(感想・評価)
助けを求めて来た我が子を探し彷徨った10年
恐怖に怯える幼い息子はどこに行ったのだろう。
息子の面影のある少年ジャンに、なぜ思い切って「あなたは私の息子じゃないの?電話したことを覚えているでしょう?」と言わなかったのか。
大人の理性と言えばそれまでだが、助けを求めて電話して来た6才の子を探して、あの砂丘を10年間も彷徨ったのに、再会する瞬間を期待するのは、見る者の期待でもある。
これは、ただの未成年と30代女性の淡い恋愛ではない。
どういう見方をするかは見る者の勝手だが、ドラマは最後までその夢を打ち消してはいないし、監督は失踪の余韻を最後まで丁寧に描いている。これはデボラ・カーとジョン・カーの名作『お茶と同情』の物語ではない。サスペンスの秀作だ。
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