劇場公開日 2020年10月23日

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「彼女だけがわからない。」おもかげ MARさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0彼女だけがわからない。

2020年11月15日
PCから投稿

悲しい

難しい

10年前、息子を失ってしまった母親が、息子がいなくなったビーチ(⁉)で働くなかで、息子のおもかげがある16歳の少年と出逢い、そこから巻き起こっていく不思議な物語。

序盤、短編部分での、息子がいなくなったとヒステリックを起こす母親の演技は鬼気迫るものがある。非常に緊張感のある場面だったが、話が10年後に飛ぶとがらりと雰囲気が変わり。。

美しい夕日とビーチに癒される空間。
見た目も若々しく美しい主人公だが、16歳の少年があそこまでグイグイ行くとは。
ワタクシも十代の時分には年上の女性に強いあこがれを抱いたものだが、まさかあんなことはできるわけもないよなぁ…と思いつつ、エレナとジャンの奇妙な関係が始まっていく。

エレナに憧れを抱くジャン、エレナに未練がある元夫、ジャンとエレナの関係を快く思わない彼氏、エレナを不審に思うジャンの家族。登場人物の誰にも感情移入できるが、唯一エレナの気持ちだけが読めない。

ジャンの友達たちにも、比較的溶け込めている印象、それでいて彼ら彼女らをうまくかわす能力も持ち合わせている大人なエレナだが、ジャンを見る目は母親としてのそれなのか?

個人的にはそうであってほしいと願いつつ、最後の車での展開は?
ジャンの気持ちはわかるがエレナは…そうはなってほしくはなかったかな。。

そして最後の最後のシーン。ああしたってことはつまり、このひと夏の物語の結果で、ずっと抱えていた思いに区切りがついたということか?

多くの謎は残るし、色々な解釈がありそうだけど、子供を失った一人の女性が立ち直る物語とのことなので、この解釈で正しければ個人的には良い物語だったので、そう思うことにしよう。
ホワイトアウト(というと意味が違うか?)な幕引きは手法として好き。

物語の他、賑わっていて綺麗なのに、どこか物寂しさも感じるビーチが美しかった。

MAR