本気のしるし 劇場版のレビュー・感想・評価
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後半の展開はもはや深田監督のオリジナル作品
TVシリーズ版の放送時は、自動録画設定がいつの間にか解除されていて全話を観ることが叶わなかったのだが、ほぼ同じ尺の再編集された劇場版で、その全貌をようやく観ることができた。あまりにも面白く、4時間の長丁場もアッという間に過ぎてしまい、原作マンガも買ってしまった。
原作との比較でいうと、終盤に近づくまでは、今回の映像化はかなり原作に忠実に進む。ところが主人公が浮世に逆転した辺りから、もはや深田監督のオリジナル作品と言っていいほど、独自の展開が進んでいく。
印象としては、原作では男女が性で結びつくことに重きが置かれているが、劇場版ではむしろ、性の結びつきよりも、一個の人間として自立していくことで、相手を求める気持ちを純化させていく。セックスに心の結びつきを重ね合わせないのはなんとも深田監督らしい気がする。
そしてある意味で乱暴とも言える大団円が果たしてハッピーエンドなのか、次なる波乱の幕開けなのか、ふたりの関係が始まったの同じように踏切の警告音が響く中で終わる。深田監督史上最もロマンチックであり、そのロマンチックさに騙されてはいけないと丁寧に忠告されているような、引き裂かれた後味も深田監督らしい気がする。
何なんだ、この人
深田晃司監督作品は「淵に立つ」「よこがお」を観ており、この作品も観てみようと思ったものです。
原作漫画は未読です。
とにかく、ヒロインの浮世の言動が、何なんだこの人!?という感じで気になり、物語に引き込まれてしまいます。
何事にも情熱を持てない様子の一路との、噛み合わないようなのに距離が近づいてゆくような奇妙な交流も、これからどうなるのかと気になります。
淡々として不穏な雰囲気が付きまとう映像や、それぞれの人物像にあった役者たちの演技も、良かったと思います。
細川先輩が目覚めたときに部屋の壁に×のように見える影がかかっている場面や、峰内がベッドで横たわると窓に打ち上げ花火が映っている場面など、相手に去られた時の孤独を強調させるような映像も印象的です。
隙のある女性が良くないという意見に、隙をついて利用してくる男性がいるのだという反論も、同感です。
やはり、悪意や下心を持って隙をついてくる人間の方が悪いと思います。
浮世の夫の身勝手なつけ込みぶりは、やはり醜悪だと感じます。
世間では浮世のような女性が悪女なのでしょうか。
振られた腹いせに仕事で嫌がらせをする美奈子が一番悪いように感じましたが。
というか、一路が落ちぶれたのは、浮世のせいではなく美奈子のせいのような気がしますが。
ラストは、浮世が自分で選んだ道を歩む希望を感じるもので、良かったです。
何回みても面白い!
連ドラでハマって毎週3回ずつみちゃった「本気のしるし」
何が面白いのか?というと予想がつかない展開にモヤモヤわくわくしました。
そして、はるばる池袋へ行き、4時間もある劇場版を鑑賞。
辻くんと浮世さんという2人が堪らなくダメな人なんだけど、何故か?目が離せない。
割とキチンと生きてきたタイプの人には理解し難い人物たち。
特に森崎ウィンさんは、レディプレやら遠雷やらで爽やか好青年を演じていたから本作の来るものは拒まない優柔不断な辻くんとのギャップが激しかった。
それと土村芳さん演じる浮世さん。普通ではない得体の知れなさといったら天下一品。
通算30回くらい言う〝すみません…〟でイライラした。
細川先輩や脇田さんやみっちゃんや旦那さんや…キャラ濃くて最高だった。
みんな2人に振り回されたけどね。
不思議といい人に見えた(?)
深田作品はサウンドデザインが素晴らしい。
カブトムシのオモチャの音、花火の音、水槽のブクブクの音などなど…辻くんの心情を補完してるように思える。
警報音で出会い、警報音で迎えるラストシーンは2人の行く末の波乱万丈さを暗示してるのかもしれない。
予想不能の浮世に惹かれた結果…全てを奪われ、けちょんけちょんに弱って地に落ちた辻くん。
それとは反対に、しっかり自立して面倒みるよ的な浮世。
ラスト、顔が映らない浮世が辻くんを抱きしめて言う〝愛してる〟に背筋が凍った。
辻くん、早く逃げて〜!
何回みても面白い!
東京国際映画祭で、また観ちゃおう。
ダメ人間だらけ
インターミッション(休憩)を挟んだ後半の加速感が素晴らしい。
ドラマ版はイライラが溜まってしまい、録画したまま再生を止めてしまったのだが、その先に面白さがあった。
土村芳が演じた浮世が、前半は他者と共依存しないと生きられないメンヘラにしか見えなかったのですが、途中で違うと気がつく。
「弱い人間に自分が求められて寄り添っていないと生きている実感がない」=「自ら道を選んだことのない、受身以外の生き方を知らない」人間なのだと。
依存といえば依存なのだが、おそらく「自分がない」ことが一番の問題。
頼まれたことしかできない人間。
実にめんどくさい。
現実にいたら、私なら「勝手に弱い人間と一緒にのたれ死ねばいい」と放置するタイプ。
そして、森崎ウィンが演じる辻こそ、自分のない流される人間であり、浮世と根が同じタイプなのだと。
そこに近づいてくる人間も、当然「精神の弱い、他者依存型」。
なので、ダメ人間オール大行進状態で、そう分かれば楽しめましたわ。
採点は3.5超4.0未満、3.75ぐらい
劇中で主人公と似たような性格の友人がスキはあるかもしれませんが、そうじゃない的な、自分たちが悪いわけではない的なセリフに、”いや(この主人公に限っては)違うだろう、それは”と突っ込みたくなった。
最後は皆イイ人的になり予定調和な終わり方で残念(こんな女性がいたら人が数人死んでもおかしくないよー)
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