劇場公開日 2022年7月15日

「アクション>ドラマに大幅に舵を切った一大叙事詩の激闘篇!!   "高潔な戦場"の描き方には意見が分かれるか?!」キングダム2 遥かなる大地へ O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アクション>ドラマに大幅に舵を切った一大叙事詩の激闘篇!!   "高潔な戦場"の描き方には意見が分かれるか?!

2022年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 原作の5巻から7巻の部分の蛇甘平原の戦いに絞って実写化したことで、中国の紀元前戦史としてのダイナミズムを保ちながらも一兵卒の主人公の活躍を主軸に魅せてくれるバランス感覚がまずもって見事だと思います。
 個人的にはなんといっても『カメラを止めるな!』『絶メシロード』で知られる濱津隆之さん演じる中間管理職的な苦労人兵士の澤圭に入れ込んでしまいました。主人公の信のように怖いもの知らずで大志を抱き続けるほど若くはなく、かといって兵士以外の生き方も見出せず、せめてものそれまでの人生における知見で身を立てていく。功成り名遂げたわけではない中年の身にはこれ以上ないぐらいに身近で、尚且つ演じる浜津さんの人懐っこさも相俟ってとても好もしいキャラクターになっていると思いました。

 他方、とにもかくにも上も下も礼節の整った武人ばかりで、"戦場の非情さ・狂気"というものとは全くの無縁に見えるのは些か問題あり、と見えました。加えて主人公たちチーム”伍”の五人がこの戦いを経て竹馬の友のような友情と信頼を互いに築いているのも、ある種危険な高揚感の共有のようにも感じてしまいます。

 次作は早くも確定済みのようですが、原作内でも各登場人物とも年齢は重ねるとはいえ、製作ペースを考えるとやはり製作陣のセンスを十二分に絞っての映画ならではの大胆な省略やダイジェストで原作既読勢も未読勢も納得させつつ、原作に追いつくぐらいの更なる怒涛の勢いを見せつけて欲しいものです。

O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)