「前作よりもちょっと大味」キングダム2 遥かなる大地へ サブレさんの映画レビュー(感想・評価)
前作よりもちょっと大味
前作では信が秦王エンセイを反乱から助けるところまでを描き、本作では信が初の戦場で奮闘するところを描く。新キャラ(しかも人気キャラ?)のキョウカイの人となりを描き、さらに複数の将軍の活躍を二転三転する戦場を通して描く。それが忙しすぎたのか、前作よりもちょっと大味に思えた。
特に大味に感じたのはバクコシン千人将とヒョウコウ将軍の活躍だ。バクコシンは特攻好きの異常者として描かれたのかと思いきや、自ら先陣を切って、文字通り己の命をかけて任務をまっとうする。映画のはじめと終わりとでは全く印象が異なるが、キョウカイほど丁寧に描かれていないので唐突に感じた。
ヒョウコウ将軍もそうだ。無謀な策を推進する無能な将軍にも見える描写から一転、戦争の終わりには一騎当千の最強の将軍にまで変化を遂げる。とはいえ、信がいたおかげでたまたま戦争に勝てただけのようにも見えて、なんとも言いがたい。いや、かっこよくはあったのだけども…。
思うに、キングダムのような大規模な戦争を描く漫画は映画化に向いていないのではないか。もちろん、戦争をよりリアルに描くのは実写映画の十八番とするところだ。しかし、漫画はキャラあっての人気ということもある。戦争を大きくリアルに描くほど、それぞれのキャラクター性にスポットを当てるのが難しくなるため、各人のキャラや活躍が薄くなってしまう。
私は前作には大満足したのだが、それはメインのキャラクターが少ないゆえによくキャラ立ちしていたからではないかと思っている。戦争終結までを描くならば、前後編か3時間映画にでもして、バクコシン千人将とヒョウコウ将軍をもっとかっこよく描いてほしかった…。
と、文句まみれではあるが、観ている最中は引き込まれて大変面白かったことは間違いない。ぜひ観てほしい。