「完全版3時間あっという間でした」海の上のピアニスト イタリア完全版 IZNさんの映画レビュー(感想・評価)
完全版3時間あっという間でした
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昔インターナショナル版を観た時は、自分もまだ若く、1900が船を降りなかった理由にあまり共感できなかった。
女の子に会いにいけば良いのに、新しい自分に出会えるかもしれないのに、そう思っていた。ほんのちょっとだけ降りてみて、ダメならまた戻って来れば良いじゃない。
けれど、広すぎる世界、変わり続ける時代、多すぎる情報、戸籍はあっても、年齢、性別、資格なんかで篩にかけられ、どうやって生きていけば良いのか、この先に何があるのか、悩み続け、迷い続ける今は、少しは共感できるかな。コロナ禍の中、本当に先が見えない。
今回、完全版では幼少期のエピソードも増え、ぶつ切りに感じられた1900の半生も、以前は唐突に思えた廃船の中の1900の現在へのつながりも感じられた。
病院船の中で、1900はどんな演奏をしていたのだろうか。
マックスは知らないので、語ることができないし、観客も聴くことはできない。
ダニーとの別れの中で、ダニーと入れ替わるように1900の元へ届いた微かな「音楽」。そんな儚い演奏を想像してしまう。
1900の音楽が死で始まり死で終わるのは、あまりに寂しいから、最後に彼は音楽そのものになったと思いたい。
サントラもオススメです。
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