ヤクザと家族 The Familyのレビュー・感想・評価
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時の流れとは、残酷なのかそれとも…。
観終わってから、藤井道人監督がなにを言いたかったのか、ずっと考え込んでしまった。
単なる社会派ドラマとしてでなく、極道もんの生涯を描いたのでもなく、
なんだろう、この喉の奥に突っかかったままの異物がとても気になる。
しかし藤井監督がこういう設定の映画を撮る時、
一度は必ず背筋が凍るような場面を敢えてこしらえるのは、
なにか意図があるのだろう。
今はまだ解らないけど。
にしても綾野剛のキレッキレに終始、目を奪われる。
あぁ、この人きっと中身が空洞なんだろうな。
スルっと役に入り込んで、スルっと抜けてを繰り返す人なんだろうなと。
そこに良い出汁が出てくるのは、もう少し後の話なのだろう。
周りを囲んだ演者さんたちもとても良かった。
(宇野祥平さんが一瞬だけ出てて笑ったw)
時代とともに、
ヤクザも、モラルも変わっていく…。
それに乗っかるのが正しのか、抗うのが正しいのか、
自分の足元を見つめ直す、良い機会をもらった気がする。
切なくて、愛おしい
【過去と現在をつなぐもの】
この生きた証をめぐる物語は壮絶だ。
そして、自分は一体、何者かと問い続けているとしたら、それは、ヤクザも僕達も同じではないかと思った。
(以下ネタバレあります)
↓
彩が、「父はどんな人だったんですか」と、翼に問いかける。
翼は、ヤクザに父を殺されていた。
「話そうか」と答える翼。
このエンディングの場面、とても胸が熱くなる。
賢治は、翼の決意を察知して、行動に出たのだ。
賢治も、ヤクザに父を殺されていた。
賢治は、自ら中村の身代わりになった。
賢治は、自ら翼の意図を察し、行動に出たのだ。
賢治の短い人生は身代わりの人生だ。
ヤクザの人生なんて、こんなものだと、賢治は自分自身に言い聞かせていたのかもしれない。
救いは、ヤクザにではなく細野に送ってもらったことかもしれない。
贖罪でもあったのだろうか。
ヤクザの血で血を洗うようなことはもうないのだろう。
ヤクザの契りの物語かと思っていてが、見事に裏切られた。
自分は一体、何者かと問い続ける葛藤の物語だ。
描かれた反社会的勢力を取り巻く環境や、その変化は、この作品のメインテーマではないと思う。
一人のヤクザの決して長くはない人生を通して見た、家族の過去と現在をつなぐ、重厚な物語だ。
暴力団を追放した国家。しかしヤクザの介在を求める存在が民間にも厳然として存在する以上、ヤクザが抜けた穴を別の存在が埋めるのは当然のことなのかも知れません。
暴対法以後、警察によって痛めつけられてきたヤクザの悲哀を描いた映画です。
人を殺し、14年間の懲役に行っているあいだに世の中が様変わりしてしまい、対応に苦しむ主役が綾野剛で、そりゃあ迫力がありました。
ヤクザを抜けたあとも5年間は銀行取引もできないし、家も借りられないし、まともな人間として生きる道も認められないという現実のなかで、前科持ちの元ヤクザ・綾野剛はほんとうに苦しみ、愛する人を不幸に陥れ、ズタボロにしてしまいます。
警官に言わせると、「ヤクザとして市民社会に与えた被害から見れば、こんなのは甘いぐらいだ」ということですが、家族で朝食を食べる、それだけのことすら認めてもらえない人たちがいるのだという現実は、胸に突き刺さりました。
しかしまあ、現実は、暴力団ではない半グレという存在が、ヤクザの抜けた穴を埋めてしまうものであり、まだしも礼節を知っているヤクザであったほうが良かったんじゃないですか、ということなんでしょうか。
私はどっちも好きではないですけど。
小津の『東京物語』に伍する傑作
大好きな綾野さんの作品
"現代"のヤクザ映画
全体を通してなかなか良かった。 中盤から後半にかけて色々な人達の感...
無知は怖くて馬鹿は怖いもの知らず
これも家族
家族とは何か?、を問いかける映画監督と言えば、山田洋次や是枝裕和、旧くは小津安次郎が有名ですが、この作品はもうひとつ異なったアプローチで描かれています。
「新聞記者」の時もそうでしたが、この監督の作品って不思議と尾を引きますね。エンドロールが流れて、ああ終った…では無く、そこから新たに自分の中で何かがスタートする感じ。鑑賞後あれこれ考え込んでしまい、結果、何度も劇場に足を運んでしまう。
俳優陣の演技も見事ですし、映像、脚本、伏線の回収も素晴らしい。特に14年の歳月をそれとなく表現する手法、出所する主人公を迎えに行くヤクザの車がプリウスだったり、工場地帯の茶色く汚れた煙突の煙が純白できれいになっていたり、刑事の吸う煙草がアイコスに変わっていたり、なかなか芸の細かい演出。社会全体がエコでクリアーでケミカルに変貌し、もう(旧態依然とした)ヤクザには居場所が無いぞというメタファーに感じました。
まだまだ若い藤井監督(34)、是枝裕和(58)まであと24年、山田洋次(89)まであと55年、長い道のりですが良い作品を作り続け、ずっと感動させてくれると嬉しいです。応援します。
綾野剛を見直した
繋がり…
自分は人間関係に関して器用な方ではない。
ヤクザ映画はヤクザを善人に描く事も屑に描く事もあると思うが、どちらにしろ、
演者の格好良さはあれど、ヤクザを格好いいと思った事はないし憧れもない。
ただ思うのは、ヤクザと言われる人達は、一方では義理や人情を重んじるという意味で、今のネットの繋がりだけ(に自分が見えてるだけかもしれないが)で満足してる人達より、人間関係においては、多少は幸せなのかもしれない。本気で愛を持って接する関係。家族のように
が、その家族のために、家族のせいで、本当の家族を持てなくなる皮肉…
もちろん自分は、現実世界のヤクザを知らないし裏社会の事なんて知らないので、あくまで「映画の世界のヤクザ」強いては「ヤクザと家族」を観ての話だが。
舘ひろしと渡哲也、渡哲也と石原裕次郎
のような男が惚れる、男同士の関係には強く憧れる。
ヤクザじゃなくても、不器用でも本気な人間関係を、今のこのSNS時代だからこそ築いて行きたい。そんな映画だった。
お父さんてどんな人だったの?
最初、水から始まって嬉しかった。それが枠構造だと最後に分かってショックだった。でもその後に若い二人が「お父さんてどんな人?」彼女のお父さんを問う言葉でもあり、彼のお父さんの話を聞くことでもあるかもしれなくて、繋がるんだ、素敵な台詞だと思いました。
ちょっと前に見た「聖なる犯罪者」同様、1回でも悪いことしたら当たり前の生活も仕事もできないのは、人間が普通に生きる権利を奪われていることなんだと思う。一方で、すでに教師や聖職者である人、まして親が、生徒や子どもに向ける性的虐待や暴力に対しては、なぜ緩いんだろう?親や先生は怖くて子どもは何も言えない。それに性的な犯罪は繰り返される。
居場所がない子ども、両親含めて家族が居ない子どもたちを受け入れる場所を確保して用意して迎えることをしないでおいて、「ヤクザ」つぶしをするんで済むんですか?と、私は思いました。あまりにナイーブなことを言ってることはわかってますが。
綾野剛の眼が凄く良かった。あと彼が出る他の映画を考えると、声が全部違う気がした。話し方はもちろんだけれど、発声も声そのものも。
1999年パートのカメラワーク、凄くかっこよかった。賢坊の目から見た情景だった。
期待は外れた。配役、芝居は最高。でもね、、、😭😭😭
素晴らしい‼︎
最高だった。
新聞記者の監督がただのドンパチ映画を撮るわけない
と思ってたけど、
今日本でヤクザ映画撮ったらこんな感じになるのかと
憂い嘆き悲しみを感じました。
3部に映画は分けられるのだけど、
99年のヤンチャな時代は血湧き肉躍るって感じで
ワクワクする導入だったし
なんと言っても舘ひろしの登場シーンが痺れる。
タイトルロールの入り方もヤクザ映画の系譜を感じて
鳥肌がたった。
05年は充実のヤクザ時代。
バリバリ王道のヤクザ映画で興奮しました。
主人公始め周りのキャラも立ってて、
因縁も絡まりとても良かった。
19年ここが新境地という感じで、
内容的には鬱展開が続くけど、ヤクザの真実が描かれてて
こんな事になってたのかと驚愕すらした。
時代の変化、街の変化、人の変化が描かれてて、
日本の進んでる道は正しいのか?と感じました。
仁義なきから続くヤクザ映画。
ヤクザ映画はその時代その時代の日本が描かれてると
思うけど、大丈夫か日本?
住む世界はヤクザとは全く違うけど、
ずーんと気持ちが重たくなりました。
ただヤクザ映画の新しい傑作だと思います。
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