ヤクザと家族 The Familyのレビュー・感想・評価
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このラストでも刺さらないから不思議
エンドロールに字幕付きで流れる主題歌の歌詞が、山本さんの心情であるとして。
後ろ向きに海底に沈んで行きながら、光に手を伸ばす。もう一度、愛が欲しかった男の願いは、叶わず潰えたかに見えて。堤防に訪れた娘は、父親だと名乗らなかった男への愛を、花束と共に海に投げ入れてくれるだろうか。的な。
このラストは最高だと思うんですが。
映画としては、不思議なくらいに刺さらないw
端的に言うと、全振りし過ぎの脚本に入り込めないんですよねぇ。藤井道人さんの場合。いつも。
と言う事で、役者さんの超熱演に拍手を送りつつ退散します。
小津の『東京物語』に伍する傑作
14年の流れは切ない。
時代の流れに打ち勝てず、さまざまな壁にぶち当たり肩身が狭くなっていく中で映像まで狭くなった表現で、衰退していく柴咲組の末路がリアルに描かれていた。
ヤクザは非日常、家族は日常と浮かんだけど、主人公は非日常で愛されたこそ名を挙げ愛された人物で、14年後は必要とされる人物で無くなった残党の1人という背景、その主人公の家族とは疎遠を選択して欲しかった。その一方、組の将来を見切って辞める人物に感情移入が行ってしまった。その人物こそ日常に溶け込む事に、計り知れない努力と苦労を過ごした永遠の苦労人だと思う。それだけに結末が納得してしまい、伏線も見事だった。親から子に伝わることは切ない運命としか言えない。
舞台挨拶でこの作品を誰に観て欲しいですか?と言う難問もキャストの皆さんが答えていたことが素敵でした。
大好きな綾野さんの作品
美化されないヤクザ映画
冒頭、綾野剛がシャブの売人に暴力を振るう場面。久々に感じた生々しい狂気。娯楽とは異質の狂気。その瞬間この作品は期待出来ると感じました。
今までのヤクザ映画はアウトローの美学を描くなど美化された作品が多かったけど本作は全く別。
ヤクザとして人の道を外れた生き方をして来た人間がことごとく全てを失う。映画的なご都合主義的展開はなく主人公が(単純な意味で)救われる世界は存在しない。
この世界は全ての人がハッピーになれるような優しい世界では無い。そんな世界で自分はどう生きるか。
藤井道人監督作品の人間に向けられた真摯な目線が好きです。「デイアンドナイト」でも感じたビジネス前提の作品では得られない人間への深い眼差し。
個人的にはここ最近の綾野剛主演作で一番好きです。
"現代"のヤクザ映画
全体を通してなかなか良かった。 中盤から後半にかけて色々な人達の感...
無知は怖くて馬鹿は怖いもの知らず
これも家族
家族とは何か?、を問いかける映画監督と言えば、山田洋次や是枝裕和、旧くは小津安次郎が有名ですが、この作品はもうひとつ異なったアプローチで描かれています。
「新聞記者」の時もそうでしたが、この監督の作品って不思議と尾を引きますね。エンドロールが流れて、ああ終った…では無く、そこから新たに自分の中で何かがスタートする感じ。鑑賞後あれこれ考え込んでしまい、結果、何度も劇場に足を運んでしまう。
俳優陣の演技も見事ですし、映像、脚本、伏線の回収も素晴らしい。特に14年の歳月をそれとなく表現する手法、出所する主人公を迎えに行くヤクザの車がプリウスだったり、工場地帯の茶色く汚れた煙突の煙が純白できれいになっていたり、刑事の吸う煙草がアイコスに変わっていたり、なかなか芸の細かい演出。社会全体がエコでクリアーでケミカルに変貌し、もう(旧態依然とした)ヤクザには居場所が無いぞというメタファーに感じました。
まだまだ若い藤井監督(34)、是枝裕和(58)まであと24年、山田洋次(89)まであと55年、長い道のりですが良い作品を作り続け、ずっと感動させてくれると嬉しいです。応援します。
綾野剛を見直した
繋がり…
自分は人間関係に関して器用な方ではない。
ヤクザ映画はヤクザを善人に描く事も屑に描く事もあると思うが、どちらにしろ、
演者の格好良さはあれど、ヤクザを格好いいと思った事はないし憧れもない。
ただ思うのは、ヤクザと言われる人達は、一方では義理や人情を重んじるという意味で、今のネットの繋がりだけ(に自分が見えてるだけかもしれないが)で満足してる人達より、人間関係においては、多少は幸せなのかもしれない。本気で愛を持って接する関係。家族のように
が、その家族のために、家族のせいで、本当の家族を持てなくなる皮肉…
もちろん自分は、現実世界のヤクザを知らないし裏社会の事なんて知らないので、あくまで「映画の世界のヤクザ」強いては「ヤクザと家族」を観ての話だが。
舘ひろしと渡哲也、渡哲也と石原裕次郎
のような男が惚れる、男同士の関係には強く憧れる。
ヤクザじゃなくても、不器用でも本気な人間関係を、今のこのSNS時代だからこそ築いて行きたい。そんな映画だった。
お父さんてどんな人だったの?
最初、水から始まって嬉しかった。それが枠構造だと最後に分かってショックだった。でもその後に若い二人が「お父さんてどんな人?」彼女のお父さんを問う言葉でもあり、彼のお父さんの話を聞くことでもあるかもしれなくて、繋がるんだ、素敵な台詞だと思いました。
ちょっと前に見た「聖なる犯罪者」同様、1回でも悪いことしたら当たり前の生活も仕事もできないのは、人間が普通に生きる権利を奪われていることなんだと思う。一方で、すでに教師や聖職者である人、まして親が、生徒や子どもに向ける性的虐待や暴力に対しては、なぜ緩いんだろう?親や先生は怖くて子どもは何も言えない。それに性的な犯罪は繰り返される。
居場所がない子ども、両親含めて家族が居ない子どもたちを受け入れる場所を確保して用意して迎えることをしないでおいて、「ヤクザ」つぶしをするんで済むんですか?と、私は思いました。あまりにナイーブなことを言ってることはわかってますが。
綾野剛の眼が凄く良かった。あと彼が出る他の映画を考えると、声が全部違う気がした。話し方はもちろんだけれど、発声も声そのものも。
1999年パートのカメラワーク、凄くかっこよかった。賢坊の目から見た情景だった。
期待は外れた。配役、芝居は最高。でもね、、、😭😭😭
素晴らしい‼︎
最高だった。
新聞記者の監督がただのドンパチ映画を撮るわけない
と思ってたけど、
今日本でヤクザ映画撮ったらこんな感じになるのかと
憂い嘆き悲しみを感じました。
3部に映画は分けられるのだけど、
99年のヤンチャな時代は血湧き肉躍るって感じで
ワクワクする導入だったし
なんと言っても舘ひろしの登場シーンが痺れる。
タイトルロールの入り方もヤクザ映画の系譜を感じて
鳥肌がたった。
05年は充実のヤクザ時代。
バリバリ王道のヤクザ映画で興奮しました。
主人公始め周りのキャラも立ってて、
因縁も絡まりとても良かった。
19年ここが新境地という感じで、
内容的には鬱展開が続くけど、ヤクザの真実が描かれてて
こんな事になってたのかと驚愕すらした。
時代の変化、街の変化、人の変化が描かれてて、
日本の進んでる道は正しいのか?と感じました。
仁義なきから続くヤクザ映画。
ヤクザ映画はその時代その時代の日本が描かれてると
思うけど、大丈夫か日本?
住む世界はヤクザとは全く違うけど、
ずーんと気持ちが重たくなりました。
ただヤクザ映画の新しい傑作だと思います。
質が高く内容も良かった
正直、タイトルがちょっと…って思ってしまいますが、その思いとともに明確なテーマを見せつけられると、これ以上の題名は有り得ないと実感できました。
始まりの画面の妙な縮小具合にかなり違和感を持ちましたが、それも工夫であり、全体的に映像やカメラワークといったビジュアル的な創意工夫が見て取れて、とかく古めかしいものに陥ってしまいそうになるテーマを、見事に現代的なものに仕上げていた印象です。
栄枯盛衰を丁寧に描いていた内容に非常に引きつけられましたが、映像や音なんかでも見ている者を楽しませてくれる作品なのかなーと思いました。
著名な役者を揃えて、そのパフォーマンスが存分に生かされているところも魅力的です。
ここ最近見た邦画では、ここまで質と内容ともに素晴らしく感じた作品はありません。
最後思わず泣いてしまいましたが、それでも回顧主義とか暴力的な解決を良しとは思えないような作風(と勝手に捉えているのですけれど…)それも相当に良かったところです。
綾野剛と尾野真千子 10
カッコ悪くてもカッコ良く生きたい
ヤクザとして生きていくしかなかった男が、不器用ながらも愛を求め続けた物語。しかし時代は変わりゆき、残酷にも社会が存在を抹殺していく。それでも仁義を貫き、家族に憧れ、もがいた先の結末とは…
これは、ただの任侠映画でも救いのない物語でもなく、人それぞれの善も悪もリアルを描ききった作品。
反社への風当たりが厳しくなるなか、それが必要悪だとしても悪は悪だ。駆逐されるべきだと考える人が大多数だろうが、その大多数が当たり前のように生きている社会の裏に蔓延り、誰もが足を踏み入れる可能性がある世界で、そこで実際に生きている人たちがいる。みんな毎日食べていくことに必死なんだ。
そこに斬り込んだ作品。ただ残虐ななかにもクスッと笑える、その世界での日常の掛け合いもあり、緩急の使い方が流石である。みんな同じ人間だ。
『新聞記者』に続き現代社会をエンタメの力で軽やかに抉り、ますます藤井道人監督が面白い映画をつくっている。
目線のカメラで臨場感を演出したり撮影も巧み。そこ反射で映り込まないの?とヒヤヒヤするぐらい。笑
そして綾野剛の三時代を演じ分け、役の一生を生ききった芝居が素晴らしい。舘ひろしは渋すぎし、北村有起哉など実力派名バイプレイヤーたちが周りを固める。どの役もこの人しかいないという見事なキャスティング。綾野剛は『新宿スワン』と『日本で一番悪い奴ら』に続いて、こういう役が定着してきたか。
また主題歌のmillennium parade「FAMILIA」は、常田大希にしかつくれない異次元の曲。
あらゆるパーツにこだわり抜いた珠玉のファミリーでつくり上げた映画である。
日本社会の変遷と"古き良き(?)"ヤクザの衰退 --- 試写会
オヤジとアニキ。日本社会の変遷と共に描かれるヤクザの衰退、そして何より家族(像)の物語 =【父権・オヤジ像の変化?】。作中何度も映し出される【工場】から出る煙のようにやがて消えていく定めか……。
1999年パートからのタイトルで鳥肌。けど、ワルにはあまりに気の良さそうな弱っちい奴の末路や、主人公と関わる女性の気丈さ。…など、とりわけ2005年パートにおける脚本(設定、展開)の点での既視感にも似た普通さ =【王道】感は否めないが、それを問答無用力技に超えてくる脂の乗りきった演出。時に大胆に動き回るカメラワークはじめ、撮影が良い。暴力描写ばかりかアクションっぽいシーンにも挑戦している。話の筋自体は小細工抜き至極真っ当な脚本もまた、本作の大きく出たタイトルや家族写真的ポスタービジュアルのように普遍的で、作品としての受け皿を大きくするためかもしれないとも思えなくもない。一方でコミカルな瞬間も入れられるのは流石。ヒッチコックじゃないけど、観客の興味集中保つためにも緩急の付け方大事。大局的にいい塩梅になっているばかりか、作品を見終えたときにその作中で"浮いた"部分が決して悪い部分として目立つのでなく、むしろ二人のかけがえのない瞬間・時間として愛しさすらある。
綾野剛の演技に震えた... --- 以前、バラエティー番組か何かで「自分の声で演じたことがない」というような事を言っていたけど、正直あまり分かっていなかったかもしれない。今回、その意味を感じた。とりわけ2019年パートでのそれが、達観しているじゃないけど、山あり谷あり苦労してき(てトゲの抜け)た主人公・山本賢治の人生経験が滲み出ているよう。声という点では、それまで威厳・重厚感そして歴史を体現していた、作品後半の舘ひろしさんも同様。義理人情だけではやっていけない、避けては通れない盛者必衰の理。
【適材適所】全編にわたって、恥ずかし気もなく悪びれもせず、容赦ないほど最適な役柄にキャスティングの妙が活きていた。言ってしまえば演じている人だけで、既にもう「そのキャラクターはこんな人なのだろう」と推測できるような。組長"オヤジ"舘ひろしさんは勿論、他にも例えば、主人公の友人(というより地元の先輩後輩みたいな舎弟?オラオラ市原隼人と『アンダードッグ』の友人店長!)の2人も、実に彼ららしい。寺島しのぶさんのキャラクターは比較的薄かった。あと、一番分からないのは2019年パートでドライバーをしたりしている若い衆の存在。どういう経緯であんな所に入ってしまった?きっと監督の中では理由バックグラウンドがあったり、作中でもよく見ればそういうヒントがばら撒かれていたりしたのかもしれないけど、少なくとも自分は見つけることができずハテナ。甘い汁・旨味なさすぎるだろ。あと、若頭アニキのドラッグ問題、その後の本筋に影響与えないならさして描く必要も感じない。
最初の方では、血気盛んじゃないが、若々しくバキバキにギラついた色合いが次第に(というより2019年パート?)、淡く薄くなっていくのが印象的・象徴的だった。主人公の若さや尖り具合だけでなく、社会的なヤクザの威光・威厳や影響力を端的に表すパラメータのようだった。
俯瞰ショットと【水】。銭湯のシーンのファーストカットと、作中終盤での似た構図での、差異を伴う反復。話が一周して終わりが近いのを感じさせる。
過去の自分を救う --- そして父になる(疑似)親子。例えば、1999年/2019年両者目を引くほどパッとした金髪という点以外にも、主人公が最初に白色のダウンを着ているのに対して、もう一人の彼が赤色のアウターというのも、1999年パートにおける主人公と彼の白色ダウンが向かえる展開を考えると頷ける。これもまた差異を伴う反復で示唆的、重ねられる。20年の時を経て守られる側から守る側へと、一人の人生を追った一大叙事詩。終盤の展開は読めるものであったが、そんなことはこの際重要ではない。キャラクター達や主人公の動線・葛藤を汲んだときに、好き嫌い超えて、何とも形容し難いカタルシスを放っていたのは間違いない。
少し話そうっか。millennium paradeの手掛ける主題歌は、常田さんらしい真っ直ぐな歌詞と共に、音楽面でもこの上なく作品に寄り添っていた。2時間超本作を見てきた後に流れるこの曲がべらぼうに刺さる。僕たちもまた水の中みたい。そりゃ歌詞も載せたくなるよ、と。
THE
NORTH
FACE
ファーストカットから引き込まれた
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