ヤクザと家族 The Familyのレビュー・感想・評価
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3つの時代と3つの視点
俳優陣の演技の素晴らしさが、3つの時代の描き分けをより濃く際立たせる。映画を通して、俳優を見る視点、ヤクザのありようを見る視点、あるべき社会を探る視点の3つを行き来した。
終わってしばらく言葉が出なかったけれど、「すばらしき世界」と合わせて見たとき、私は自分がどうあるべきなのかわからなくなった。
綾野さんが劇中、最後に留守電で残した「少し退屈かもしれないけど小さな望み」を叶えることすらできない社会は、ほんとうに豊かなのか。「あの人たちには人権を与えん」とする社会は誇れるものなのか。わからなくなった。
わからなくなった自分の揺らぎと向き合うのが、怖くなった。そんな余韻を噛み締めている。
恐れは不寛容を生む。そのあとどうするのか、が今向き合うべき主題かもしれない。
古き良きものへの敬意と墓標
次世代へのメッセージを込めた、昭和以前の映画への敬愛と墓標になる、映画史に刻まれる作品だと思います。古風な画も革新的な画も全てが意味を持つ。社会も物も人も移ろいゆくが、魂は受け継がれる。社会の暗い場所に光を、どこまでも優しく愛に満ちた時間を、豊かな作品をありがとうございました。
劇場で観なければ気付けないこと、感じられないことがある。作った方々の誇りと反骨心に胸を打たれます。
個人的には、山本の最後の一言で、この物語を観た方々の日常の様々な葛藤や苦悩や悲哀が、救われるのだと思います。そして希望が残る。
この作品とテーマで常に優しさを感じるのは、作った方々の魂の美しさではないでしょうか。
映画は不滅です。
あなたに伝えたい想いがある限り。
高評価なので観に行きましたが…
正義のヤクザ
人の弱さと愛と、変わり続ける時代の残酷さ。
感情えぐられました。
こんな風にしか生きられない人間たちの精一杯の叫びを、スクリーンから浴びたような。
身震いがしました。
時間の流れ、移り変わる時代の残酷さ、やるせなくて切なくて涙が出てしまいました。
無様で、哀れで、なんだか情けないような。
それでも、ずっと変わらない大切な人がいること、受け継がれる命の愛おしさを知ること。
ラストシーンの若い2人のやりとりにとても報われました。
個人的には、
賢治の父親と、翼の父親(愛子の夫)についての過去の背景をもう少し映像で描いてくれていたら、☆5だったかも!
役者陣も音楽も映像も痺れました。
瞬きできないくらい、引き込まれました。
観て良かったです。
作ってくれてありがとうございました。
親を求める本能
さらば愛しきヤクザ
2021年映画館鑑賞21作品目
2月22日(月)イオンシネマ石巻
『新聞記者』の藤井監督
なぜか日本アカデミー最優秀作品賞に選ばれたが僕は未だに全く評価していない
『しあわせの黄色いハンカチ』で始まった長い歴史において最低最悪の汚点である
馬鹿なパヨクがどれだけ正当化しようがそれはブレない
反安倍の反安倍による反安倍のための自慰映画の長所を見つける方が難しい
だがこれは傑作だ
予告編を観たときくっさいくさいパヨク映画の次は安直にヤクザ映画かよと鼻で笑ったがそれは間違い
時代を反映しているものの平凡なヤクザ映画だ
だがその平凡がいい
よく観ると平凡の中に非凡が散りばめられている
これだけの実力があるなら『新聞記者』でもやれよ
藤井監督は有能だった
綾野剛と北村有起哉と市原隼人と駿河太郎はこういう役がよく似合う
そして圧倒的な存在感の舘ひろしが良い
ヤクザより警察より暴力団対策法よりネット掲示板の方が恐ろしい今の世の中
ネット社会マジで気持ち悪い
インターネットは人殺し
5年ルールっておかしい
自称人権弁護士は元ヤクザに手を差し伸べないのか
くだらない政治運動よりやるべきことがある
北野作品のヤクザ映画と違いエグいシーンはほとんどない
気軽に映画館に足を運んでほしい
ラストが最高に良かった
この違和感は何だ?
前作『新聞記者』が高く評価され、今作でも実力派のキャスト陣が脇を固める期待作。
だが、結論から言えば何とも心に残らない作品だった…。
この違和感は何だろうか?
『新聞記者』の時も薄々と感じていたが、藤井監督は"現代劇でファンタジー"を撮ってしまう人なのだろうか?
よく言えば寓話的、悪く言えば頭でしか考えていない(※もしかしてあまりリサーチをしていない?)ストーリーが個人的に合わない。
しかも、同時期に似たような境遇の主人公を描いた『すばらしき世界』が公開されていることもあり、それが如実に出ているように感じた。
物語冒頭は、スペクタクルで縦横無尽にカメラが動くような演出がある。
鬱屈とした思いがありながらも、主人公・山本がのびのびと生活していた様を表しているのだろう。
だが、地元のヤクザのシャブに手を出したことがキッカケで裏社会へと足を踏み込む。
敵方のヤクザとどのように話をつけたのか端折られているが、全てを包み込むような懐の深さと渋さを含んだ館ひろしの演技には安心感がある。
正式に盃を交わすシーンの古風なクレジットや、堂々とした音楽は正直アガった。
時は流れ、組の中で生きていた山本は自分の揉め事が原因で隣の組との争いに発展する。
ここの流れは「龍が如く」シリーズに触れたことがある人なら容易に読めたと思う。
「別のシマでヤクザが暴れる」→「ケツモチのヤクザたちと争う」→「暴れたヤクザが『そっちが手を出した。どう落とし前をつける?』とすごむ」という流れ。
そして、組員の気持ちを汲み取ってか決裂を言い渡し、争うもやぶさかではないとする組長。
でも、それからすぐ呑気に釣りなんか行くのか?
しかも、あんなに手薄の護衛で?
もっと気を引き締めて抗争の準備でもするものと思うが…。
おまけに警察と敵方のヤクザが裏でつるんでいたとわかり、復讐に行くも手を下したのは兄貴分。
その身代わりに長いムショ暮らしをすることになる。
ところどころ、既視感のオンパレードである。
先が読める脚本やジャンルものの作品が悪いとは言わないが、特に目を見張る演出も無いので、結果として印象が薄くなってしまう。
出所後はすっかり弱まった組と組員たち。
画面のアスペクト比も16:9から4:3に変わり、現代がヤクザにとって閉塞感漂う時代ということを見せている。ちなみにこの後に、想いを寄せていたユカとその娘と暮らし始めるのだが、山本の心情の変化とともに露骨に画面が色づき出したのは苦笑いだった。
監督がこういったコテコテの演出を恥ずかしげもなくやるのも、作品のリアリティを下げている一因かもしれない。
(※そういえば、『新聞記者』の一部のシーンもそうだった気がする)
癌を患い余命幾ばくもない組長と弱体化の一途を辿る組。
存続のために密漁と禁じ手とされていたシャブに手を出す。細々と密漁をやっている姿は少し分かりづらかった。
山本とカシラの車の前での諍いも、類型的というか何というか…。
かつての弟分も弱りきり、ヤクザである以上付き合えないと割り勘すら断る。
馴染みの店の息子はヤクザ崩れのチンピラになっていた。地下闘技場でファイトマネーを稼いでいたのだろうか、これまたファンタジーというかゲームっぽい展開。
足を洗って働き始めるも、若手の同僚のバカッターであっさりと身バレして追い詰められる。娘の学校でも案の定のいじめが始まる。この辺のカットの手の抜きようは目に余る。
あまりにも型にハマったストーリーがトントン拍子で進むので、涙腺も緩まなかった。
翼が敵方のヤクザに呼ばれたのは?なぜ襲撃を山本にばらしたの?最後は怒涛のハテナの積み重ねで、首を捻らざるを得ない。
翼が襲撃したように見せて、山本が代わりにカタキを打ったのだろうが、ハッキリ言って『龍馬伝』の最終回くらい見辛かった…。あの悪徳刑事が犯人ってことですか?
そして、現行犯で逮捕されたはずの山本は何故か海岸で黄昏る。
上記の襲撃のついでに家族離散のカットを処理された弟分が、怒りに任せて山本を手にかける。
思わず声に出して『いや、それは山本のせいじゃないだろ!』と漏れてしまいそうだった。
まあ、色々と欠点を上げてしまったがクールに決めきれない山本のチャーミングさや、翼とアヤの似たもの同士の邂逅など、好きなシーンも多くある。携帯すら買えないことや5年ルールなど、細かな要素を増やしていけば、本作も良作となったのだろうが…。
ちょっと期待感高めすぎた
同じ元のヤクザの話を題材にした「すばらしき世界」がとても良くて(良すぎて)、その期待感そのまま持ったままで鑑賞。だって「新聞記者」「宇宙でいちばんあかるい屋根」の後の藤井作品だったから、期待せずにはいられないでしょう。
最近観た「すばらしき世界」のタイトルが秀逸(最初は単に皮肉の意味でつけられたのかと思ったが、終盤の展開にその意味がストンと腑に落ちた)で、作品にすごい深みがあった。家族への渇望(例えそれがヤクザの親子関係などのように、擬制的なものであっても)が主要テーマで、それを描こうとしたのであろう。でもちょっと取って付けたような設定が目について、誰も幸せにはなれないバッドエンドにも、いまいち感情移入出来なかった。演者の演技はどれも素晴らしかったのに、残念です。
「ヤクザと家族 The Family」王道のヤクザ映画の形式を守り...
綾野剛やっぱり良い
久々に感動した作品。
後半がハイライト。
東野圭吾の「手紙」を連想させるようなストーリーで、
関わった人々がヤクザというレッテルに翻弄される様子は、涙を誘った。
いつになったら、日本人は世間体を気にする体質から変わることができるのだろうか。
主人公が亡くなり、ラストの展開をどうするのかと見守っていたが、
「私のお父さんって、どんな人だったんですか?」
という問いかけは、彼女が前に進むための大きな一歩に思えて、
素晴らしいストーリーだと感じた。
あと、磯村勇斗の演技がこの上ないくらい良かった。最後のシーンの泣くまでの表情の変化は名演技。
本当の幸せとは?
「ヤクザと家族」
ほんまの幸せとは大事な人と普通の暮らしをすることかもしれない。
この映画をみるに、この普通とは社会に受け入れられている状態のことをさすと考えられる。
一度社会の普通から踏み外してしまうと戻れないような構造どうにかできないのか。でもそもそもヤクザだって社会が生んだもんではないのか。てかこの社会も普通じゃないんちゃうか。わからんなぁ。愛は憎しみさえ生んでしまう。でも愛が人を救うんかな。
家族とは何か。愛を求め続けたけど家族になることを許さなかった社会。権利を奪うことで排除することはできるかもしれないが、ヤクザという肩書きを排除するのであって人間を排除するのはちゃうと思う。
絶滅危惧種の物語
この世界でしか生きられなかった
当初は、ヤクザをメインした映画は見る気持ちにはなれませんでしたが、これまでのヤクザ映画とは違った視点で描かれていると聞いて見ることにしました。
綾野さんはもちろん、役者の皆さんの演技が圧巻でした。
主人公を見てると、もっと賢く上手く立ち回れるんじゃないかと思うかもしれない。だけど、本来の家族を失った(または元から恵まれていなかった?)からこそ、手をさしのべてくれたヤクザというもうひとつの家族を愚直なまで守ろうとしたのでは。
ヤクザになったがために、愛や安らぎを得ることが難しくて、でも彼らはそこにしか居場所がなかったんだろうと思うと切ない。
エンドロールで流れるmillennium parade の楽曲がレクイエムのように響いて、映画の余韻をより高めてくれました。是非最後まで席を立たないことをおすすめします。
藤井演出をどう取るか。
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