劇場公開日 2021年1月29日

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「ヤクザをグレーから黒にした事で、世間の悪意が黒からグレーになった。」ヤクザと家族 The Family ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ヤクザをグレーから黒にした事で、世間の悪意が黒からグレーになった。

2025年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

人によっては、ヤクザごときが人権を語るなとか、
格好良くないヤクザなんてみたくないとか、言うかもしれない。
そういう人には、これは刺さらないかも。
求めていない、観たくない種類のヤクザ映画になるから。

ヤクザというものが、近くにいないと、概念的にしかわからないはず。
そもそもわかろうともしないはず。

一方で、身近な存在にヤクザがいる人、そういうヤクザがいた人には、
これ以上刺さるヤクザ映画は、他に見当たらない。

残念だけど、私は後者だ。多くは語りたくもないが。

ようやくヤクザの、本当の姿を描く映画が出たんだなと感慨深い。

この20年、30年の、ヤクザを取り巻く環境の変化は、これを観ればわかる。
昔は、ヤクザが外車に乗ってるのは当たり前だった。
今は生きてくだけで精いっぱい。
加えて、ヤクザをバカにしていい、差別していいと、
社会からお墨付きを得たような時代になった。

それで良いとも思うし、一方で半グレはOKなのも解せない。
不倫した芸能人でも、叩いていい芸能人と、叩かれない芸能人がいるように。

なんか、モヤモヤっとする。
ヤクザをグレーから黒にした事で、基本的人権を黒からグレーにしたような気がする。
逆に、世の中や世間が内包していた悪意なるものが、
黒からグレーに、突然変異したような気もする。

本当にそれでいいのか?

世の中への解せない矛盾。いら立つ倫理観。偽りの正義を感ずる。

ヤクザは公的に、人ではなくなった。
ヤクザは幸せになれない。ヤクザが身近にいる人も、幸せになれない。
私は幸せにはなれない。

ソビエト蓮舫