「ヤクザをグレーから黒にした事で、世間の悪意が黒からグレーになった。」ヤクザと家族 The Family ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)
ヤクザをグレーから黒にした事で、世間の悪意が黒からグレーになった。
人によっては、ヤクザごときが人権を語るなとか、
格好良くないヤクザなんてみたくないとか、言うかもしれない。
そういう人には、これは刺さらないかも。
求めていない、観たくない種類のヤクザ映画になるから。
ヤクザというものが、近くにいないと、概念的にしかわからないはず。
そもそもわかろうともしないはず。
一方で、身近な存在にヤクザがいる人、そういうヤクザがいた人には、
これ以上刺さるヤクザ映画は、他に見当たらない。
残念だけど、私は後者だ。多くは語りたくもないが。
ようやくヤクザの、本当の姿を描く映画が出たんだなと感慨深い。
この20年、30年の、ヤクザを取り巻く環境の変化は、これを観ればわかる。
昔は、ヤクザが外車に乗ってるのは当たり前だった。
今は生きてくだけで精いっぱい。
加えて、ヤクザをバカにしていい、差別していいと、
社会からお墨付きを得たような時代になった。
それで良いとも思うし、一方で半グレはOKなのも解せない。
不倫した芸能人でも、叩いていい芸能人と、叩かれない芸能人がいるように。
なんか、モヤモヤっとする。
ヤクザをグレーから黒にした事で、基本的人権を黒からグレーにしたような気がする。
逆に、世の中や世間が内包していた悪意なるものが、
黒からグレーに、突然変異したような気もする。
本当にそれでいいのか?
世の中への解せない矛盾。いら立つ倫理観。偽りの正義を感ずる。
ヤクザは公的に、人ではなくなった。
ヤクザは幸せになれない。ヤクザが身近にいる人も、幸せになれない。
私は幸せにはなれない。
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