劇場公開日 2021年1月29日

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「文句無しで痺れた」ヤクザと家族 The Family 映画鑑賞1000作さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5文句無しで痺れた

2021年2月13日
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久々の劇場鑑賞作は、大傑作のヤクザ映画だった。そう、敢えて言うが、これは立派なヤクザ映画。但し、アウトレイジや狐狼の血のようなバイオレンスフィクション臭満載作品(これも決して嫌いでは無い)では無く、現代社会での等身大のリアリティヤクザ映画とでも言えば良いのか。ま、偶然や不幸の連鎖なんかは作り物感あるが、とにかく時代の流れの中で主人公の生き様を、ただただ自然体で見つめるだけでグイグイ引き込まれる。実に人間味溢れた傑作品。
言わずもがな、(本作ポスター見ても察せるが)タイトルの意味は、ヤクザ組織内の家族表現と、リアル家族の2種類の意味を指している。
義理人情とメンツ重視のヤクザ界故に、常にいざこざが瞬間沸騰で起こるが、反面クールな時間帯はどこか居心地良く、微笑ましく暖かみあり実に人間深い。暴力団を肯定する事は無いが、本来の地の通った人間味とは今の時代には決して合わないヤクザ、この生き様には今の時代だからこそ何か愛おしさを感じる。しかし、5年ルールとかネット晒しからの周囲の目、癒着警察から浴びせられる非常な言葉で現実に戻される。だからヤクザにならない方が良いんだよの警告にも思えて、甘っちょろい気持ちは吹き飛ばされる。あれ?振り回されてる、この映画にのめり込まされてるな、俺w。
脚本の出来は素晴らしいし、出演者全ての演技力が凄い。間違いなく綾野剛の代表作となるだろう。
冒頭から最後まで、あの煙突から出る煙は変わらずもくもくと出ている事に、色んな事を考える。
とにもかくにも、久々の劇場鑑賞は大当たりだった。ありがとう。

映画鑑賞1000作