劇場公開日 2021年1月29日

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「闘う〝母子家庭〟こそがもっと救われるべき❗️」ヤクザと家族 The Family グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0闘う〝母子家庭〟こそがもっと救われるべき❗️

2021年2月7日
iPhoneアプリから投稿

2時間強、深く作品世界に没入して感情を揺さぶられる。
そういう意味では、満点の映画だと思います。
冒頭から、暴力シーンや裏社会の描き方が悪寒を覚えるほど真に迫っていたので、その雰囲気に圧倒されたまま、リアルな感覚が最後まで続きました。
その計算ずくの演出は見事としか言いようがありません。

ただ、映画の出来とは別にどうしても気になって仕方がない点があったので、記録しておきます。

それは〝母子家庭〟について。
コロナ禍であらためて報道される機会が増えましたが、貧困や児童虐待やその結果としての教育格差など、社会的な弱者の中でもかなりの割合が母子家庭に集中しています。
翼くんの逞しき成長ぶり(まぁ健全とは言い難いですが)は、それなりに想像できますが、由香母娘がこれまで生きてきたプロセスには経済面や偏見との闘い、精神面の行き場の無さなど様々な苦労があったはずで、役所のあの出方に対抗できるだけの強さや法的制度利用などのスキルもまた備えているはずです(だって、福祉関係と思われる窓口にいませんでした?)。
映画のストーリー展開上の必然性とはまったく関係なく、心ない組織や周囲の人間に対する母子家庭の闘い振りが見たかった、きっと勇気づけられる人たちはたくさんいるに違いない、と思ったのです。
14年の月日は、綾野剛を浦島太郎にする一方、尾野真知子母娘をもっと強くしてくれたと信じたい。

グレシャムの法則