劇場公開日 2021年1月29日

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「ヤクザ<家族」ヤクザと家族 The Family ごんすさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ヤクザ<家族

2021年1月30日
iPhoneアプリから投稿

大変満足致しました。
オススメです。

かなり期待値高めで見始めましたが、
タイトル出るまででかなりボルテージ上がりました。
そして、そのまま、だれる事なく主人公の波乱の人生が綴られていきます。誇張した芝居もなく、極力リアルに徹しながらも、要所に緊張感を持たせることで飽きることはありません。

キャスティングも抜群で、体格や顔つき、所作まで隙がありません。衣装、小物、美術全般も時の流れをうまく説明するアイテムとして機能し、無駄なセリフを使わずに自然に事柄を理解できるので、シラけることもありませんでした。
圧巻は、綾野剛の演技ですが、泥臭いアウトローをやらせたらこの世代ではNo.1ではないでしょうか。

主人公の波乱の人生と冒頭書きましたが、彼を取り巻く人々と、社会との関係がこの作品の肝で、たった20年程でここまで社会は変わったかと改めて意識させられました。ヤクザの息苦しさは半端なく、当然の報いと言えばそれまでですが、それ以上に考えさせられる、深いテーマがありました。

親分と子分。親と子。「分」とは何か。身の程、分際。
親であろうとする、子であろうとする。血のつながりの無い分、家族であろうと血のつながり以上の絆を求める。ヤクザは、家族である事を重んじるが、組を抜けることを勧めたりもする。それは家族への思いやりなのだ。理想では語れない現実を身をもって表してくれる。

主人公を軸に社会のありようを炙りだし、次の世代への希望を見せてくれたようにも思えるラスト。しかし、自分にはこの鎖が切れるようで切れないように思えてしまった。映画館を出ても、その先が気になってしょうがない。

ごんす