劇場公開日 2021年1月29日

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「金子正次の「竜二」を思い出しました」ヤクザと家族 The Family けいちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0金子正次の「竜二」を思い出しました

2021年1月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 封切り初日、仕事帰りに期待に胸を膨らまして観に行きました。主演の綾野剛さんは圧巻の演技です。途中から山本賢治そのものに見えてきました。1980年代に観た伝説のやくざ映画である「竜二」を彷彿とさせてくれました。既に死を覚悟した金子正次が(封切り後まもなく癌で亡くなりました)、悲しさと焦りのようなものを一身に体現していた「竜二」。あの作品は僕は傑作だと思っていますが、本作は綾野剛さんの熱演で「竜二」に勝るとも劣らないと感じました。
 また、北村有起哉さんも本当に良い。浅田家!でも家族を津波で亡くしてどうしようもなくなっているおじさんを好演していましたが、本作でもどこか寂しさを身にまとった感じが滲み出て、すごく良かったです。磯村勇人君も思いのほか素晴らしい、彼は良い俳優になれると思います。
 一方、われらが舘ひろしさんはキャラが立ちすぎていて、やくざの親分というより、「舘ひろし」のままでした。彼が出てくると、一気に映画の中から現実世界に戻ります。今にも組事務所でハズキルーペをかけそうでドキドキします。こんなダンディーな日焼けしたやくざの親分は本当にいるの?とつっこみたくなりました。「暴力教室」の非行少年でも舘ひろし、刑事を演じても舘ひろし、「終わった人」でも異常にダンディーな現実離れした定年退職サラリーマンの舘ひろしでした。
 とはいえ、昨年観た「ミッドウェー」では山本五十六を好演し、あの映画では舘ひろし臭さが抜けて本当に山本五十六になっていて、国村準さんにも負けておらず「オォ!」と感じたのですが、それは外人監督が日本のビッグスターに遠慮しなかったことで生じたものかもしれません。もちろん、僕は舘ひろしさんが大好きです。クールス時代の「朝まで踊ろう」はレコードも持っています(脱線しました)。
 藤井監督は本当に才能に溢れていると感じました。これからもどんどん映画を撮ってください!応援しています。

けいちゃん
Lucky!さんのコメント
2021年1月30日

「ハズキルーペをかけそう」のコメント、最高です!(笑

Lucky!