「ヤクザとは何なのか」ヤクザと家族 The Family せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
ヤクザとは何なのか
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父親がヤク中の中自殺し、チンピラとして街をウロウロしてたところ柴咲組の親分に拾われた山本を平成から令和にかけての時代と共に描く話。
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私はヤクザ映画が大好きで、コワモテのおっさん達が罵りあったり、親子兄弟の盃を交わしたり、殺しあったり、とことんいかつくて口が悪くて凶悪な感じが面白いんですね。
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ただ、私もこのおじさんたちがなんでこんなことをしてるのかはよく分からず見てて、劇中2回ぐらいヤクザって一体何してるのかと聞くセリフがあるように、そんな「ヤクザとは一体何なのか?」を今作を見てそれぞれの答えを出す映画。
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前半の90年代から00年代はまだ、ヤクザへの取り締まりが厳しくなるちょっと前で、まだヤクザの勢いがある。なので私の好きなヤクザ映画の要素があって、掴みは最高。特に山本が盃を交わすシーンの音楽とこれぞヤクザという絵面とスタッフの名前が縦書きの明朝体(?)で出されるとこめっちゃ好き。
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後半は山本がある事で捕まり刑務所から出てきた2019年代を描くんだけど、暴対法の改正で時代は変化し、かつて勢いのあった柴咲組の衰退具合が悲しい。
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私は親分と兄弟のおっちゃんが前半で威勢よくクソガキとか言ってたのが、砂浜で金になるなんか(何探してたんだっけ?)探してる姿が辛すぎた。翼が柴咲組と敵対していた組に乗り込んで脅されても全く翼に効いていない、あそこも虚しい。
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社会はヤクザを完全悪として排除したけど、その人達は元々弱者でどこにも行き場のなかった人達。『鬼滅の刃』で言ったら、いろんな事情で鬼にならざるを得なかった/鬼になることを選んだ人達。そんな鬼に炭治郎は優しさを与えたりもして、『鬼滅の刃』が好きな日本人ならきっとこの映画も理解できるはず。
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ヤクザというものを排除したとて、歌舞伎町でキャッチしてるようなヤクザに変わるような勢力は出てくるし、盃を交わすという行為はないもの翼と山本は兄弟の関係だし。目に見える悪を排除したって、根本は何も解決しない。
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初めは白い服を着た山本がヤクザに入り真っ暗なスーツを見にまとい、出所後はグレーの服を着ている。その色でもヤクザの存在が善か悪か限りなくグレーであることを表してるのかな。
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最後の主題歌も最高すぎた!.
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