「暴力団を追放した国家。しかしヤクザの介在を求める存在が民間にも厳然として存在する以上、ヤクザが抜けた穴を別の存在が埋めるのは当然のことなのかも知れません。」ヤクザと家族 The Family お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
暴力団を追放した国家。しかしヤクザの介在を求める存在が民間にも厳然として存在する以上、ヤクザが抜けた穴を別の存在が埋めるのは当然のことなのかも知れません。
暴対法以後、警察によって痛めつけられてきたヤクザの悲哀を描いた映画です。
人を殺し、14年間の懲役に行っているあいだに世の中が様変わりしてしまい、対応に苦しむ主役が綾野剛で、そりゃあ迫力がありました。
ヤクザを抜けたあとも5年間は銀行取引もできないし、家も借りられないし、まともな人間として生きる道も認められないという現実のなかで、前科持ちの元ヤクザ・綾野剛はほんとうに苦しみ、愛する人を不幸に陥れ、ズタボロにしてしまいます。
警官に言わせると、「ヤクザとして市民社会に与えた被害から見れば、こんなのは甘いぐらいだ」ということですが、家族で朝食を食べる、それだけのことすら認めてもらえない人たちがいるのだという現実は、胸に突き刺さりました。
しかしまあ、現実は、暴力団ではない半グレという存在が、ヤクザの抜けた穴を埋めてしまうものであり、まだしも礼節を知っているヤクザであったほうが良かったんじゃないですか、ということなんでしょうか。
私はどっちも好きではないですけど。
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