「モンペの作り方。あるいは遺伝、ひょっとすると感染!」哀愁しんでれら kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
モンペの作り方。あるいは遺伝、ひょっとすると感染!
児童虐待やイジメの問題もさらりと扱っているような反面教師的な内容でしたが、最初の母娘以外はかなり矮小化してあると思うし、レアケースなんだと思う。「モンペにはなりたくないね」などという大悟(田中圭)と、虐待や子どもを見捨てる親を許せない小春(土屋太鳳)だったけど、意外な方向へと展開する物語。
00年代にブレークした中島哲也監督を彷彿させるような作品でしたが、そこからポップさを抜いたようなテイストととでも言えましょうか。すっきりしないどころか、気分の悪くなる展開は、ハマる人にはハマるイヤミス作品とも感じます。
踏切とかインスリンだとか「子どもの将来は・・・」という名言の伏線も効いているし、小春の経験した母親の言動、そして大悟の母親のエピソードも見事に絡んでくる。さらに大悟の左耳を触る癖が絶妙であり、娘にその遺伝子が受け継がれていることも見逃せないのですが、夫婦となった小春にまでそれが伝染している意外性が面白い。最初は右耳だったのにね。
終盤には学校におけるイジメ?ネグレクト?どっちが嘘をついているのかわからなくなる児童心理。耳打ちした言葉は「みんな殺してしまえばいいのよ」だったのか?医者が行えば簡単だと思わせるところに背筋が凍り付きそうになりました。
ただし、謎もいくつか残したまま放置状態になってるのが鑑賞後に意見を戦わせる目的なのか、単に手抜きだったのかわかりませんが、1)先妻が酷い女だった?、2)結婚指輪は夫が見つけたのか?、3)五円玉などを入れたオニギリの行方は?、4)クルミちゃんは事故?ヒカリが犯人?(最大級の謎)etc.と、つい忘れがちだが答えがみつからなかった。
そうした人間の奥に潜む悪の部分を曝け出した恐怖心理映画でしたけど、人間関係において可笑しさをも露呈していた。ちょっとしたことで崩れる弱い人間関係。そんな中で、最も面白かったのが元カレヒロムが弾き語りで謝罪しようと「ゴメ」と歌った瞬間にブツ切りとなる編集。『スウィングガールズ』のフォークデュオまで思い出してしまった!
kossy様いつもお世話になっています。ヒカリは突き落としていません。パンフレットで監督が明言しています。まあ因果応報ですが。鹿のペニ◯とか馬刺しの意味も良く分からないです。踏切で死んで、あとは幻想かなと思います。イヤミスが好きな人向けですね。湊かなえ、真梨幸子なんか。
児相の家庭訪問シーンで、母親が戸を閉めようとした瞬間に小春が手首を掴んで放しませんでした。普通は肘かげんこつを突っ込んで止めれば済むことです。あの母親はかなり怖かったでしょう。小春は激しい所があると思いました。子供の頃からかも、というのは私の妄想ですが。
大悟は偏執的な所があります。理想の母親像と、隠し事は許さない、ということに強いこだわりがあると思いました。
コメント失礼します
kossyさんの疑問点は私も気になったのですが私なりの考えでは①浮気はあったのだと思いますが大悟のモラハラの果ての可能性あり②指輪がブカブカだったので大悟の指輪を渡した③ヒカリが嘘をつくために捨てた④同じ部屋にいた眼鏡の子はやっていないと言っているのであれはヒカリの嘘で悪者にされたワタルくんの嘘返し(もしくは本当にやったと思っている)ではないでしょうか。
しかし恐ろしい映画でした(汗)
私は、結婚指輪を見つけた夫が、しまってあると嘘をつき続ける妻に、怒りを募らせていたと思いました。おにぎりは食べずに捨てたんですよね。それを追求しない妻も優しいようで陰険な気もしました。