「"衝撃的"に描かれていない、という衝撃。」哀愁しんでれら すもーるもっちさんの映画レビュー(感想・評価)
"衝撃的"に描かれていない、という衝撃。
予告を見て、シリアスでズドーンと重くて辛い映画なんだろうな、と思っていた。
しかし実際に観て終わってみると、どちらかと言うと幸福感のようなものの方が多く心に残っている。…でも…アレ?と違和感も感じる。小さい子どもの姿を見るとゾワっとする。そんな映画でした。
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「それ変だよ」って言われたことがあります。きっと、大なり小なり誰しもが言ったり言われたりしてるんじゃないかと思います。
この家族の3人も、偏っている所があり、個性が強いなと思う部分がある。それを踏まえた上で、どこにでもいる人。
誰かが悪人とか、サイコパス…という訳ではなく。
絵の具の色はどれも綺麗なのに、筆を洗う水はいつの間にか濁っていく。そこに境目はない。また色を足しても、すうっと、音も立てずに濁っていく。
そんな風に、順接的に、ごく自然に、自分たちが幸せになれることを目指した結果、衝撃の事件を起こす。まるでおとぎ話かのように、美しく。
この衝撃に思考が追いつくまで、直ぐは言葉が出ませんでした。
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最後の展開に、また魅せ方に共感できない!と思う方もいると思います。誰かが悪人で、サイコパスで…と思った方も。
もちろん、どう捉えるのも自由なんですが、
どうか、次観る機会があれば、この家族3人に愛を持って、信じて、寄り添って見ていただきたいなと感じました。きっとまた違った景色が見えるのではないか、と思います。
これは余談ですが…
どれだけフラットな視点で観ようと思っても、バイアスがかかる、なんとも秀逸なシーンが出てきます。2回目以降観る方は、そのシーンの凄みに注目するのも面白いと思います。